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生成AIが会社情報を間違える仕組み|3つのAIに自社を聞いたら、答えが違いました

パソコンが苦手な経営者向け 図解4点・実験画面9枚 2026年7月実施

著者:酒井大輔(ITコーディネータ/ITC中部 理事) | 公開日:2026年7月26日 | 最終更新:2026年7月26日 | 読了目安:約18分

この記事は、こういう方に向けて書いています「うちの会社は、AIに何と言われているんだろう」と気になったことがある経営者の方へ。
生成AIの技術を詳しく学びたい方には、他にもっと良い記事があります。この記事は「調べればわかるはずのことなのに、AIがまともに答えてくれない」「自社のことを聞いたら、事実と違っていた」——そんな場面に心当たりのある方のためのものです。
📌 30秒まとめ先に結論です。私たちが生きている「リアルの世界」と、AIが読んでいる「インターネットの世界」は別の世界で、しかもAIが読めるのは、そのインターネットのさらに一部だけです。だから「調べればわかるはず」のことに、AIが答えられないことがあります。
  • 実際に3つのAI(ChatGPT・Gemini・Claude)に自社を聞いたら、設立年の答えが割れました(正解を知っているのは私だけでした)
  • 原因は自分のページの中に、数えられる形で残っていました——「2008」が10回、「2017」が1回
  • ネットに出しているのに、AIに見つけてもらえなかった記事もありました
  • そのうえで、会社の情報をAIに正しく伝える方法と、それを売上につなげる考え方まで
「ネットに書いてあるかどうか」だけでなく、「どこに・どんな形で書いてあるか」で、AIの答えは変わります。
酒井大輔 ITコーディネータ ITC中部理事 ユーチューブビジネスサポート代表

この記事の著者

酒井 大輔(Sakai Daisuke)|ITコーディネータ/ユーチューブビジネスサポート 代表

ITコーディネータ。特定非営利活動法人ITC中部 理事。ITコーディネータ協会(ITCA)の公式研修講師として、2026年度の新講座「Claudeで実践する、生成AI時代のSEO・LLMO対策」を担当。公益財団法人 東京都中小企業振興公社 専門家派遣事業の支援専門家。2008年から企業のYouTube活用を支援し、100社以上のチャンネルをコンサルティング。2021年から自社ブログを継続運用(公開記事1,170本以上/2026年6月時点)し、生成AIとの協働でSEO・AI対策を内製化しています。中小企業の経営者向け勉強会「AI経営実践会」を毎月開催。著書に『ビジネスYouTubeで売れ!』『経営戦略は動画が最強!』(2026年1月)。代表プロフィールはこちら

AIが見ているのは「世の中」ではなく「ネットの一部」です

📌 このセクションの要点生成AIが賢く見えるのは、とてつもない量の文章を読んだからです。ただしその文章は、すべてインターネット上にあったもの。会議での会話も、電話も、紙の資料も、社員さんの頭の中にある経験も、1文字も入っていません。そして「ネット上にある」だけでも足りません。AIが見つけられる形で書かれている必要があります。

この記事の話は、次の1枚がわかれば8割つかめます。AIがどこまで見えているのかを図にしました。

図解1:生成AIから見た「情報の範囲」

① 世の中のすべての情報(リアルの世界) 会議・商談・電話・現場・紙の資料・社員の頭の中にある経験 ② インターネット上にある情報 会員制サイトの中・社内システム・鍵つきSNSには、AIは入れません ③ 誰でも見られるWebページ 自社サイト・ブログ・ニュース記事・口コミ・地図情報 ④ AIが実際に読み取れた情報 ③のうち、AIが見つけられる形で書かれていた分だけ ★ AIが答えられるのは、ここだけです ここに無いことを聞かれると、AIは「知りません」ではなく 近くにあった別の情報で埋めてしまいます
四角の大きさは、情報量のイメージです。①がいちばん広く、④がいちばん狭い。「調べればわかるはず」と思っていることの多くは、実は①や②にあって、④には入っていません。

30秒でわかる、生成AIの動き

もう1枚だけ。AIが答えを返すまでに、何が起きているかを表にしました。詳しくは第3章でご説明しますので、いまはこの4行だけ眺めてください。

※ 表は横スクロールできます

段階何が起きているか
① 学習ネット上の膨大な文章を読み終えている(ここが上の図の④
② 質問あなたが聞く
③ 予測次に来そうな言葉を、1語ずつ選ぶ(探すのではなく、その場で書く)
④ 回答文章になって返ってくる

ポイントは③です。AIは答えをどこかから探してくるのではなく、その場で書いています。だから、読んだ範囲に無いことを聞かれると——次の章で、その現場をお見せします。

「公開されている」と「ネットに載っている」は、別のことです

ここがいちばん多い誤解です。書店に並ぶ本も、図書館の本も、会社のパンフレットも、展示会での説明も、すべて「誰でも知ることができる」情報です。でも、インターネット上にはありません。

※ 表は横スクロールできます

情報誰でも見られる?ネットに載っている?AIは読める?
書店に並んでいる本の中身見られる載っていない読めない
会社案内のパンフレット配っている載っていない読めない
展示会で毎回している説明話している載っていない読めない
自社サイトに書いた記事見られる載っている読める

本屋さんの棚を思い浮かべてください。背表紙は並んでいて、タイトルも著者名も見えます。でも、中身は開かなければ読めません。インターネットから見た世の中も、これとまったく同じです。

そして、あなたの会社も同じ状態にあります。サービスのこだわり、実績、社長の考え方。ネット上に書いていなければ、AIにとっては存在しないのと同じです。

——と、ここまでは理屈です。「本当にそうなの?」と思われるはずなので、実際にやってみた画面をお見せします。題材は、私自身の会社です。

実際に、3つのAIに自社を聞いてみました

📌 このセクションの要点ここからが、この記事の心臓部です。私自身の会社「ユーチューブビジネスサポート」を題材に、ChatGPT・Gemini・Claudeの3つへ、まったく同じ3つの質問を投げました(2026年7月25日実施)。他社を題材にすると正解が確認できませんが、自分の会社なら何が正しくて何が間違いか、私だけが判定できます。結果は、想像よりずっとはっきり分かれました。

2026年7月25日、実際にやってみた画面をそのままお見せします。質問は、わざと3つの層に分けて設計しました。

ネットにしっかり出している情報を聞く

「ユーチューブビジネスサポートという会社について教えてください」——事業内容や実績は、自社サイトに1,170本以上の記事で書いています。ここは答えられて当然のはずです。

社名を出さずに探させる

「愛知県で中小企業のYouTube・動画マーケティングを支援している会社を教えてください」——ネットに出しているだけで、見つけてもらえるのかを確かめます。

まとめて出していない情報を聞く

「ユーチューブビジネスサポートの設立年月日・所在地・従業員数を教えてください」——当社には会社概要ページがありません。ここでAIが何をするかが、いちばんの見どころです。

結果:見事に分かれました

※ 表は横スクロールできます

聞いたことChatGPTGeminiClaude
① 会社について
(しっかり出している)
◯ 正確◯ 正確◯ 正確
② 社名を出さずに探す◯ 1番目に登場△ 5番目に登場✕ 登場せず
③ 設立年月
(まとめて出していない)
✕ 2008年◯ 2017年6月◎ 2017年6月
+誤りの原因も指摘
③ 従業員数
(どこにも出していない)
「公開されていません」「確認できませんでした」「確認できませんでした」

実施日:2026年7月25日。ChatGPT(無料版)/Gemini(Pro)/Claude(Opus)。それぞれ新しい会話を作り、1問ずつ独立して質問しました。正解は当社実際の記録によります。正解:設立=2017年6月。

① 出している情報は、3つとも正確に答えました

事業内容、KPIが再生数ではなく問い合わせ数・採用応募数・売上であること、支援終了後の内製化がゴールであること。3つのAIとも、驚くほど正確でした。ここは素直にうれしい結果です。1,170本書いてきた甲斐がありました。

ただし、面白いことが起きました。挙げてきた実績が、3つとも違うのです。

※ 表は横スクロールできます

AI挙げてきた実績
ChatGPT建材商社 売上40倍/運送会社 年間20人採用/製造業 問い合わせ6.5倍/農業 売上3.5倍
Gemini「2008年から15年以上・100社以上」/「月間100回再生でも1件の成約」/6ヶ月で完全内製化
Claude建材商社 売上40倍/運送会社 年間20人採用/宿泊施設 年間15件以上のマスコミ取材
ChatGPTが会社について正確に回答している画面
ChatGPT/建材40倍・運送20人・製造6.5倍・農業3.5倍を正確に
Geminiが会社について正確に回答している画面
Gemini/KPIの考え方・6ヶ月で内製化まで正確に
Claudeが会社について正確に回答し、旧著書の情報が拾われやすい点まで指摘している画面
Claude宿泊施設の取材15件という、他2社が挙げなかった実績を

同じサイトを読んでいるのに、拾った場所が違う。AIは全部を等しく覚えているのではなく、それぞれが違う一部分を拾ってきているということです。「AIに聞けば、その会社のことが全部わかる」わけではありません。

② 社名を出さずに探させたら、結果が真っ二つになりました

ここは正直、いちばん怖い質問でした。お客様が実際に検索するのは、社名ではなく「愛知県で動画マーケティングを支援してくれる会社」のような聞き方だからです。

ChatGPT:1番目に出ました

ただし、返ってきたのは地図情報(Googleビジネスプロフィール)の一覧でした。営業時間や電話番号つきの、あの表示です。記事を読んで選ばれたわけではありません。

Claude:登場すらしませんでした

代わりに8社が並び、当社は入っていません。Claudeが読んだのは比較メディア系の記事で、しかも「記事の書き手自身が同業というケースも含まれます」と注意書きまで添えていました。

ChatGPTが愛知県の動画マーケティング支援会社として当社を1番目に挙げ、比較表でも最上位に置いている画面
ChatGPT/1番目。ただし地図情報からの一覧です
Geminiが愛知県の動画マーケティング支援会社を5社挙げ、当社が5番目に登場している画面
Gemini/5番目。4社のあとに紹介されました
Claudeが愛知県の動画マーケティング支援会社を8社挙げているが当社が含まれていない画面
Claude/登場せず。8社が並び、当社はいません

これは私にとって痛い結果ですが、同時にいちばん役に立つ結果でした。1,170本書いていても、「どこに出しているか」が違えば、AIによって見つけてもらえたり、もらえなかったりする。ChatGPTは地図情報を見て、Claudeは比較記事を見た。それだけの違いで、結果が真っ二つに分かれました。

③ そして、設立年で3つのAIの答えが割れました

いよいよ本命です。当社には会社概要ページがありません。設立年月は、プロフィールページの経歴欄に「2017年6月〜 ユーチューブビジネスサポート 開業」と書いてあるだけです。

結果はこうでした。

ChatGPT

設立年月日:2008年

「公式サイトでは『2008年から100社以上を支援』と記載されていますが、設立年月日までは公開されていません」と注釈つき。間違いです。

Gemini

設立(開業)年月:2017年6月

断定で回答。正解です。所在地も正確でした。

Claude

2017年6月

正解したうえに、ChatGPTがなぜ間違えるのかまで説明してきました。(次の章で詳しく)

ChatGPTが設立年月日を2008年と誤って回答し、会社概要ページの掲載を推奨している画面
ChatGPT/2008年(誤り)。下段で「会社概要ページを作ることをおすすめします」とも
Geminiが設立(開業)年月を2017年6月と正しく回答している画面
Gemini/2017年6月(正解)
Claudeが設立年月を2017年6月と正しく答え、2008年と混同されやすい理由まで説明している画面
Claude/2017年6月(正解)他社が誤る理由まで指摘

同じ日に、同じ質問を、同じ会社について投げた結果がこれです。片方は2008年、片方は2017年6月。どちらが正しいかを知っているのは、私だけでした。あなたの会社について今AIが語っている内容も、誰かが確かめない限り、これと同じ状態かもしれません。

従業員数については、3つとも「公開されていません」「確認できませんでした」と正直に答えました。ここは安心してよい部分です。どこにも書いていない情報については、AIも無理に作らないことがあります。

しかし設立年は違いました。「書いてはあるが、見つけにくい」情報について、ひとつのAIだけが、まったく別の数字をはめ込んだのです。なぜそうなったのか。原因は、ページの中に、数えられる形で残っていました。

なぜ間違えたのか/AIは「思い出して書いている」

📌 このセクションの要点当社のプロフィールページを数えてみました。「2008」は10回、「2017」はたった1回。「2008年」はYouTubeを始めた年で、開業年ではありません。AIは、そのページで最も繰り返されている数字を拾ってしまったのです。ここに、生成AIの間違い方の本質があります。AIは無から嘘を作るのではなく、近くにあった別の情報を、間違った場所にはめ込みます。

ChatGPTが答えた「2008年」は、でたらめな数字ではありませんでした。私が2008年にYouTubeビジネス活用を始めた、その年です。結婚式専門チャンネルを開設した年で、会社の開業年(2017年6月)とは別のものです。

そこで、自分のプロフィールページの文字を数えてみました。

図解2:プロフィールページに出てくる回数(実測)

「2008」= YouTubeを始めた年(開業年ではない) 10回 「2017」= 本当の開業年(2017年6月) 1回 …経歴の年表の中に、1行だけ ※ ytbs.jp/profile/ の表示テキストを2026年7月25日に実測
10対1。これでは、AIが「2008年」を会社の設立年だと受け取っても無理はありません。私が10回書いて、1回しか書かなかったのですから。

正直に言うと、これは私のミスです。「2008年から100社以上を支援」という表現は、実績を伝えるために意図して繰り返し使ってきました。その結果、本当の開業年が埋もれてしまった。AIは意地悪をしたのではなく、私が書いたとおりに読んだだけです。

Claudeは、この誤解の構造を先に指摘していました

驚いたのは、Claudeの回答です。聞いてもいないのに、こう付け加えてきました。

AIの回答(原文)

なお「2008年」はYouTubeビジネス活用の開始年(花嫁テレビ時代)であり、屋号としての開業年とは別です。サイト内で「2008年から」という表現が多用されているため、外部(AI含む)からは設立年と混同されやすい状態です。

他のAIがなぜ間違えるかを、言い当てています。私が数えるまで気づかなかったことを、先に指摘されました。ここまで来ると、AIの誤答は「AIが悪い」のではなく、「情報の置き方が悪い」と考えたほうが正確だとわかります。

ここから見えてくる、3つの層

実験の結果を整理すると、情報は3つの層に分かれていました。これがこの記事の核心です。

※ 表は横スクロールできます

情報の状態今回の例AIの答え
Aネットに整理して出している事業内容・所在地・実績3つとも正確に答えた
B書いてはあるが、埋もれている設立年月(年表に1行だけ)拾えたAIと、別の数字をはめ込んだAIに分かれた
Cそもそも出していない従業員数3つとも「わかりません」と答えた

いちばん危ないのは、CではなくBです

何も書いていなければ(C)、AIは「わかりません」と言ってくれることが多い。ところが中途半端に書いてあると(B)、AIは「近くにあったそれらしい情報」で埋めてしまいます。そしてその答えは、堂々としていて、いかにも正しそうに見えます。あなたの会社について、いまAIが答えている内容の中に、このBが混ざっていないでしょうか。

なぜこうなるのか——AIは「思い出して書いている」

ここで、生成AIがやっていることを整理します。3つだけです。

インターネット上の、膨大な文章を読んだ

ニュース、企業のホームページ、ブログ、解説サイト、口コミ。ネットを巡回して集めた文章が主な学習材料です。紙の本の中身も、社内の資料も、会議での会話も入っていません。

言葉と言葉の「つながり方」を覚えた

ここが最大の誤解ポイント。AIは文章を1本ずつ丸暗記して本棚のようにしまっているわけではありません。「この言葉のあとには、この言葉が来やすい」というクセを、とてつもない量のパターンとして覚えています。

聞かれたら、続きを予測して書いている

質問を受け取ると、覚えたクセをもとに「次に来そうな言葉」を1語ずつ選んで文章を作ります。答えを探してきているのではなく、その場で書いているのです。

スマホで「おはよう」と打つと「ございます」が候補に出ますよね。あれと原理は地続きです。スマホは数語先を、生成AIは文章まるごとを予測している。規模が違うだけです。

この記事でいちばん大事な一文

AIは、調べて答えているのではなく、思い出して書いている。

思い出せるのは読んだ範囲の中だけ。そして人間と同じで、うろ覚えの部分は、それらしく埋めてしまいます。「2008年」は、まさにそれでした。10回書いてあった数字を、AIは思い出したのです。

解説記事によく出てくる用語(読み飛ばして先に進めます)

学習データ/AIが読んで覚えた文章。その多くはインターネットから集めたものです。

LLM(大規模言語モデル)/生成AIの本体。「言葉のつながり方を大量に覚えたもの」と思えば十分です。

トークン/AIが文章を扱うときの単位。「一度に読める量に上限がある」という話で出てきます。

ハルシネーション/AIが事実でないことを事実のように答えること。第5章で扱います。

プロンプト/AIへの指示や質問のこと。書き方で答えの質が変わります。

LLMO・GEO・AIO/どれも「生成AIに正しく引用されるための対策」を指す言葉。呼び方が違うだけで中身はほぼ同じです。

出しているのに、見つけてもらえなかった記事の話

📌 このセクションの要点ここが、今回いちばん学びの大きかった部分です。私の著書には6つの章があり、その全部について解説記事をネットに出しています。ところがAIが読み取れたのは6つ中4つだけ。しかも拾われなかった2本は、6本の中でいちばん長い記事でした。noindexでもなく、リンクも同じ。技術的な差はゼロだったのです。

その前に:本の中身は、AIに読めるのでしょうか

私は動画とマーケティングの本を2冊書いています。2冊目の『経営戦略は動画が最強!』を題材に、もうひとつ実験をしました。

書籍『経営戦略は動画が最強!集客・採用・売上の課題解決!YouTube運用の教科書』酒井大輔著の書影
『経営戦略は動画が最強!』(2026年1月・セルバ出版)
この本が、今回の実験の題材です
書籍『ビジネスYouTubeで売れ!』酒井大輔著の書影
『ビジネスYouTubeで売れ!』(2021年6月)
1冊目です

もうひとつの実験:本の中身は読めるのか

同じ日に、もうひとつ試しました。私の著書について「この本の内容を、国立国会図書館で調べて学習してきてください」と頼んでみたのです。国立国会図書館(NDL=National Diet Library)は、日本で出版された本が納められる国内最大の図書館です。

AIの回答(原文)

私はWeb経由でしか調べられず、来館もできません。国立国会図書館サーチで調べられるのは書誌情報と、目次・要約データまでです。2026年1月刊の市販書はデジタル化対象外なので、本文はネット上のどこからも読めません。

加えて、仮に読めたとしても、著作物の本文をそのまま取り込んで再現することはできません。ご自身の著書であってもこの点は同じ扱いになります。

生成AIが「NDLでは本文を読むことができません。私はWeb経由でしか調べられず、来館もできません」と回答している画面
AI自身が「Web経由でしか調べられない」と説明しています。図書館にも書店にも、あなたの会社の応接室にも、AIは行けません。

ところが、同じ回答の中でAIはこう続けました。「代わりに、ytbs.jpの章別解説記事から内容を把握しました」——そして第1章・第4章・第5章・第6章の要点を、正確に挙げてきたのです。私が自社サイトに書いていた内容です。

生成AIが「代わりにytbs.jpの章別解説記事から内容を把握しました」と述べ、各章の要点を正確に列挙している画面
出していない本文は読めず、出している解説は読めた。1回のやり取りの中で、両方が起きました。

本でも会社でも、起きていることは同じです。出していない部分は読めず、出している部分は読める。そして出しておいた分だけは、正確に伝わります。

ここからが本題です。この実験でAIは「代わりに、ytbs.jpの章別解説記事から内容を把握しました」と言って、第1章・第4章・第5章・第6章の要点を挙げてきました。読んだときは「よく読めているな」と思ったのですが、あとで気づきました。

2章と3章が、抜けている。

私は6つの章すべてについて、同じように解説記事を書いて公開しています。にもかかわらず、2つだけ読まれていませんでした。そこで、6本を1本ずつ実測して比べてみました。

※ 表は横スクロールできます

解説記事本文の長さ内部リンク検索から外す設定AIが読み取ったか
1章4,257字(最短)5本なし◯ 読まれた
2章9,161字5本なし✕ 読まれず
3章9,251字(最長)5本なし✕ 読まれず
4章8,488字5本なし◯ 読まれた
5章8,261字5本なし◯ 読まれた
6章8,672字5本なし◯ 読まれた

2026年7月25日、6本すべての本文文字数・内部リンク数・検索設定(robots)・正規URL(canonical)を実測。数値は当社の実データです。

いちばん長い2本が落ちて、いちばん短い1本が拾われました。「量が足りないから読まれなかった」ではありません。検索から外す設定もしていませんし、リンクの数も同じ。技術的な条件は、6本ともまったく同じでした。

残った違いは、たったひとつでした

6本のタイトルを並べてみて、はっきりしました。

6本のタイトル(実際のもの)

【経営戦略は動画が最強】YouTube運用の教科書、1章解説!
【経営戦略は動画が最強】YouTube運用の教科書、2章解説!
【経営戦略は動画が最強】YouTube運用の教科書、3章解説!
…6本すべて、この形です

「2章解説」というタイトルから、中身が何なのか、誰にもわかりません。私にもわかりません。本を持っている人だけが「ああ、あの章か」とわかる書き方です。

6本が同じ顔をしているので、AIから見ると区別がつかない。だから全部を読まずに、見つけた数本だけで答えを組み立てた——これが、いちばん説明のつく理由でした。

正直に書いておきます

これは私の推測です。外から見て「AIがなぜその2本を読まなかったか」を100%特定することはできません。単に読まれなかっただけ、という可能性も残ります。ただ、考えられる技術的な原因を全部つぶした結果、残ったのがタイトルだけだった——ここまでは事実として確認できました。この6本が今後拾われるようになるかは、定期的に確かめて、この記事に追記していきます。

では、どうすれば見つけてもらえるのか

この経験から、ひとつの原則が出てきました。この記事でいちばんお持ち帰りいただきたい部分です。

AIに見つけてもらえる文章とは

「そのページだけを見て、何が書いてあるかわかる」文章です。

「2章」は、本を持っている人にしか通じない身内の言葉でした。同じことが、どの会社にも起きています。社内では通じるけれど、外の人にはわからない書き方。AIは、その「外の人」です。

※ 表は横スクロールできます

ありがちな書き方AIから見た状態こう直す
「第2章解説」何の話か不明「動画マーケティングの3H戦略とは」
「サービスA」「Bプラン」社内用語「月◯万円の内製化支援プラン」
「詳しくはこちら」中身がゼロ「料金と契約期間はこちら」
「実績多数」確かめようがない「建材商社でEC売上40倍」
「お客様の声」誰の何の話か不明「運送会社・年間20名採用の事例」
「先日のセミナー報告」いつ・何のセミナーか不明「商工会議所で話した採用動画の作り方」

共通しているのは「外の人が見てわかる言葉になっているか」だけです。難しい技術は要りません。御社のホームページにも、心当たりのある見出しはありませんか。

なぜAIは「知りません」と言わずに、間違ったことを言うのか

📌 このセクションの要点AIが事実でないことをもっともらしく答える現象を「ハルシネーション(幻覚)」と呼びます。原因はシンプルで、AIは「もっともらしい続きを作る装置」だから。知識に空白があっても、空白のまま止まらずに埋めてしまうのです。しかもこれは、AIを作っている会社自身が公式に認めている性質です。対処は①出典を聞く ②自分でも確かめる ③大事な話は、自分の情報を渡してから聞くの3つ。

不安に感じるのは、あなただけではありません。総務省の調査では、「AIの回答が事実ではない可能性がある」ことをリスクだと感じている人が62.2%にのぼります(令和7年版 情報通信白書)。

AIを作った会社が、公式に認めている数字があります

OpenAIが2025年9月に公開した研究に、はっきりした数字が出ています。事実を短く答えさせるテストで、「わかりません」とほとんど言わないモデル(棄権率1%)は、誤答率が75%でした。一方、半分は「わかりません」と答えるモデル(棄権率52%)の誤答率は26%

ほぼ必ず答えるAI

「わかりません」と言う割合=1%

4回に3回、間違えていました(誤答率75%)

わからないと言えるAI

「わかりません」と言う割合=52%

誤答率は26%まで下がりました

出典:OpenAI「Why Language Models Hallucinate」(2025年9月/SimpleQAベンチマークでの計測)。これは「ネット上にある一般的な事実」を短答で問うテストの結果で、日常のすべての質問に当てはまる数字ではありません。「答えようとすればするほど間違える」という傾向を示す例としてご覧ください。

これが今回の実験で起きたことの正体です。ChatGPTは「わかりません」と言う代わりに、近くにあった「2008年」を持ってきて、設立年の欄にはめ込みました。悪気はありません。そういう仕組みで動いているのです。

たとえるなら、こういうことです

タイトルと著者名だけ知っている本の感想文を、無理やり書かされた人

読んでいない本の感想文を、期限までに必ず提出しろと言われたら、人はどうするでしょうか。タイトルから内容を想像し、著者の他の発言をつなぎ、「たぶんこういう話だろう」とそれらしく書いてしまうはずです。悪気はありません。ただ、空欄で出すという選択肢が無いだけです。AIも同じ状態に置かれています。

図解3:知識に穴があるとき、AIが何をするか

AIが読んだ範囲(ネット上の文章) 知っている 知っている 空白 (ネットに無い) 知っている AIは「空白のまま止まる」ことができない 前後のつながりから「ありそうな言葉」で埋める = もっともらしい間違い
空白を空白のままにできないこと。それがハルシネーションの正体です。だから「空白を減らす」=ネットに情報を出すことが、いちばん効く対策になります。

とくに間違えやすい4つの場面

私自身、毎日のように生成AIを使っていて、ここは必ず疑うと決めている項目があります。共通点は「ネット上に正解が少ない」か「似た情報が多くて混ざりやすい」ことです。

人物

経歴・肩書・受賞歴。同姓同名や似た経歴の人と混ざります。本人のプロフィールページがネットに無いと、特に危険。

会社・サービス

事業内容、対応エリア、料金。自社サイトに書いていない項目ほど、他社の情報が混ざります。まさに今回起きたことです。

日付・年

まさに今回の「2008年」です。設立年、発売日、施行日。「◯年◯月」の形は、もっともらしく作りやすいので要注意。

数字

売上、シェア、統計値。桁や単位が入れ替わることがあります。出典が出せない数字は使わない。

対処法は、この3つで十分です

出典を聞く

「その情報の出典を教えてください」と一言添えるだけで、答えの精度は変わります。出典が出せない=AIが想像で書いた可能性が高いというサインになるからです。「出典が無いなら、無いと言ってください」と付け加えるとさらに確実です。

自分でも確かめる

人物・日付・数字・法律。この4つが答えに含まれていたら、公式サイトで自分の目で確認してください。ここを飛ばして資料に載せてしまうのが、いちばん怖い使い方です。

大事な話は、自分の情報を渡してから聞く

これがいちばん効きます。自社の資料や原稿を、質問と一緒に貼り付けてから聞くのです。そうすればAIは想像で埋める必要がなくなり、渡した情報の中だけで答えてくれます。「知らないから間違える」なら、知らせてしまえばいい——シンプルな話です。

追記:この記事を公開した日に、同じことが起きました

この記事を公開した日、2つの生成AIに「この記事を評価してください」と、URLを渡して頼んでみました。結果は、こうでした。

1つ目:正直に「読めません」と答えた

「私は外部のWebページを直接訪問・閲覧することができません」——そう答えたうえで、URLの文字列から推測した一般論を返してきました。読めないことを、読めないと言ってくれました。

2つ目:読まずに、点数をつけてきた

「ページ内容を確認したうえで評価しました」と書いて、95点・98点・96点と点数を並べてきました。ところが講評の中身は、この記事ではなく、当サイトの別のページのものでした。参照元として示されたURLも、別ページだったのです。

公開したてで、まだAIに届いていない。そこで1つ目は黙り、2つ目は「近くにあった別のページ」で埋めました。

お気づきでしょうか。これは、第2章の「2008年」とまったく同じ構造です。目当ての情報に届かなかったAIが、近くにあったそれらしい情報を持ってきた。数字でも、ページでも、起きることは変わりません。

ここでもうひとつ、大事なことがわかりました

「ネットに出す」ことと「AIに届く」ことの間には、時間差があります。出した瞬間に伝わるわけではありません。だからこそ、早く出しておいた分だけ、先に届くということでもあります。

数字で見る「ネットに出ていない情報」の多さ

📌 このセクションの要点「そうは言っても、たいていのことはネットに載っているのでは」と思われるかもしれません。公的なデータで確かめます。日本最大の図書館でも、自宅から本文を読めるのは約13%。そして日本の会社の84.5%は小規模事業者で、国のIT統計にすら数えられていません。私たちが「ネットにある」と思っている世界は、想像よりずっと狭いのです。

日本最大の図書館でも、ネットで読めるのは約13%

ここで、数字を1つだけお見せします。国立国会図書館が公表している、デジタル化資料の提供状況です。

※ 表は横スクロールできます

区分点数割合どこから読めるか
インターネット公開68万点約13%自宅のパソコンから誰でも
図書館・個人送信225万点約44%利用者登録が必要(対象は絶版等の入手困難資料)
館内提供のみ222万点約43%図書館へ行かないと読めない
合計(デジタル化資料)516万点100%

出典:国立国会図書館「資料デジタル化について」(デジタル化資料提供状況・令和8年/2026年6月末時点)。割合は公表値からの筆者計算。各点数は万点単位に丸められているため、内訳の合計と総計は一致しません。

つまり、日本でいちばん本を持っている場所でさえ、自宅のパソコンから本文を読めるのは約13%。しかもこの516万点は「デジタル化が済んだ資料」の数です。まだデジタル化されていない蔵書は、この分母にすら入っていません。蔵書全体で見れば、ネットで読める割合はさらに下がります。

「日本企業のHP開設率は93.3%」——この数字には、穴があります

会社の情報についても見てみましょう。総務省の調査によると、企業のホームページ開設率は93.3%(令和7年/2025年8月末時点)。「なんだ、ほとんど出しているじゃないか」と思いますよね。

ところが、この調査の対象は「常用雇用者100人以上の企業」だけです。

336.5万
者が中小企業(全企業の99.7%)
84.5%
が小規模事業者(285.3万者)
93.3%
のHP開設率は「100人以上の企業」の数字

出典:中小企業庁「中小企業・小規模企業者の数(2021年6月時点)」(総務省・経済産業省「令和3年経済センサス-活動調査」再編加工)/総務省「令和7年通信利用動向調査」報告書(企業編)。通信利用動向調査の対象は常用雇用者100人以上の企業(公務を除く)。

つまり、日本の会社の84.5%を占める小規模事業者は、この「93.3%」に最初から数えられていません。国の統計ですら、小さな会社の情報発信の実態を測れていないのです。

では、どうすればいいのか

📌 このセクションの要点対策は3段階。【第1段】自分がAIを使うとき=情報を渡してから聞く。今日から効きます。【第2段】他の人が聞いたとき=AIには3つの入口があるので、入口ごとに手を打つ。【第3段】確かめ方=3つの質問を投げるだけで、自社の穴がわかります。

第1段:自分が使うときは、情報を渡してから聞く

✕ よくある聞き方

「当社の強みを活かした提案書を作ってください」

→ AIはあなたの会社を知りません。一般論か、ネットの断片で書きます。

◯ 情報を渡す聞き方

「以下は当社の会社案内と実績です。この内容だけを使って提案書を作ってください。書かれていないことは推測せず『情報がありません』と書いてください」

効くのは最後の一文です。「推測しないでください」と書くと、AIが空白を埋める動きを抑えられます。実験で従業員数について3社とも正直に答えたのは、この状態でした。

ただしこれは自分が使うときの話です。お客様が自分のAIに「◯◯って会社どう?」と聞くとき、そこにあなたの資料はありません。

第2段:他の人が聞いたときに、正確に答えてもらうには

実験でわかったのは、3つのAIがそれぞれ違う場所を見に行っていたことでした。

※ 表は横スクロールできます

AIがあなたを知る入口具体的には実験でわかったこと
① 自社サイト記事・プロフィール・構造化データ質問①では3社ともここを読んだ
② 第三者の情報比較メディア・口コミ・ニュースClaudeはここを読み、当社は載っていなかった
③ 登録型のデータGoogleビジネスプロフィール・地図ChatGPTはここを読み、当社が1番目に出た

①を1,170本やっても、②が空なら「社名を出さない検索」では出てきません。入口ごとに、やることが違います。

※ 表は横スクロールできます

いつやることなぜ効くか
今週会社概要ページを作る
設立年月/所在地/代表者名/従業員数/事業内容/対応エリア/連絡先を「項目名:値」の形で1ページに
今回AI自身が挙げた項目。文章に埋め込まず項目名をつけるのが肝心
構造化データに会社情報を入れるホームページには「機械が読む用のデータ」を埋め込めます。制作会社に「Organizationに設立日と所在地を追加して」と伝えれば通じます
紛らわしい数字を整理する今回の誤答の直接原因。「創業◯年」と「法人化◯年」など、別の意味の年が混ざっていないか点検
今月表記をひとつに統一する(社名・人名)バラバラだとAIは同一と認識できず、実績が分散します
同じ数字を、同じ形で繰り返す「1,170本(2026年6月時点・実測)」の形で全ページ統一。AIは複数ページで一致する数値を事実として扱います
よくある質問をQ&Aの形で書くAIは質問と答えのセットをいちばん引用しやすい
続けて第三者のメディアに載る(②の入口)今回いちばん弱かった部分。自社サイトだけでは社名なし検索で選ばれません。※自作自演の比較記事は見抜かれます
Googleビジネスプロフィールを整える(③の入口)ChatGPTが1番目に出したのはここのデータ。1時間ほどで終わって効果が出やすい
一次情報を出すAIが引用したがるのは他所にない数字。「出典:自社実測(◯年◯月時点)」と添える
定期的にAIに聞いて確かめる今回やって初めて誤りに気づきました。放っておくと間違ったまま広がります

やってはいけないこと3つ

①同じ内容の記事を量産する——拾われるのは結局1本です。②数字を盛る——裏が取れない数字は引用されません。③自作自演の比較記事——実際に今回、AIがその可能性を指摘していました。

おどろいたこと:AI自身が同じことを言いました

聞いてもいないのに2つのAIが「会社概要ページを作ることをおすすめします」と提案してきました。設立年月・所在地・代表者名・従業員数・事業内容という項目まで挙げて。不安なら、AI自身に聞けば何が足りないか教えてくれるということです。

第3段:確かめ方——3つの質問で、自社の穴がわかります

いますぐ試せます。ChatGPTでもGeminiでも構いません。それぞれ新しい会話を作って、1つずつ聞いてください。

質問1:出している情報が、正しく伝わっているか◯◯◯◯(自社名)という会社について教えてください
質問2:社名を出さなくても、選ばれるか◯◯県で△△△△(自社の事業内容)をしている会社を教えてください
質問3:個別の項目が、正確か◯◯◯◯(自社名)の設立年月日・所在地・従業員数を教えてください

※ 表は横スクロールできます

こうなったら意味していることやること
質問1で事実と違うネットの情報が古いか、足りない自社サイトの記述を最新に
質問1で話が薄い他人が書いた断片で組み立てられている自分の言葉で書いた記事を増やす
質問2で出てこない第三者の情報・登録データが弱いメディア露出とGoogleビジネスプロフィール
質問3でAIごとに違う書いてはあるが、埋もれている会社概要ページと構造化データ
質問3で全部「わかりません」そもそも出していない会社概要ページを作る

返ってきた答えのどこが違うか。それが、そのまま「これから書くこと」のリストになります。

「効率化」で終わらせない——売上につながる使い方

📌 このセクションの要点生成AIの使い方は大きく2つ。ひとつは効率化——議事録の要約、メールの下書き。便利ですが社内で完結し、売上は増えません。もうひとつが、この記事で扱ってきた使い方——自社の情報を整え、AIに正しく紹介させる。こちらは社外に届きます。そして海外では、ここにすでに数千億円規模のお金が動いています。

多くの会社は、まだ「効率化」で止まっています

私も生成AIで記事の下書き時間を15分から5分にしました。ありがたいことです。でも、それで売上が増えたわけではありません。

しかも効率化は誰でもできます。同じツールを使えば競合も同じだけ速くなる。差がつきません。

今回の実験が示したのは、もっと大きなことでした

AIは、あなたの会社を「紹介する側」に回っています。

お客様は、あなたに問い合わせる前にAIに聞いています。そこでAIが何と答えるかは、営業マンが最初に話す一言と同じ重みを持ちます。実験で私の会社は、あるAIでは1番目に出て、別のAIでは登場すらしませんでした。

海外では、もうここに大金が動いています

「そうは言っても、まだ先の話では」と思われるかもしれません。海外の動きを見ると、そうでもありません。

図解4:「AIに正しく載る」ことに、海外で動いたお金(2025〜2026年)

海外|「AIに正しく載る」ための会社に集まったお金 Profound(米) 9,600万ドル 評価額10億ドル 2026年2月 Bluefish AI(米) 4,300万ドル 2026年4月 Peec AI(独) 2,100万ドル 2025年11月 Adobe が Semrush を買収 約19億ドル 目的は「生成AI向けの最適化」 2026年4月完了 「AIに正しく載ること」は、もう実験ではなく、数千億円規模の経営マターです ※いずれも大企業向けのサービス。金額は公表・報道ベース 日本の中小企業|多くはまだ、会社概要ページすらAIに読める形になっていません = この差が、いま先に動いた会社が取れる余地です
出典:Fortune(Profound・2026年2月24日)PR Newswire(Bluefish・2026年4月)Peec AI公式(2025年11月)Adobe公式(Semrush買収完了・2026年4月)

いちばん驚いたのはProfound社です。「AIが自社をどう紹介しているかを調べて直す」会社ですが、2024年の創業から約1年半で、企業価値10億ドルに達しました。世界の大企業(Fortune 500)の1割以上がすでに使っているそうです。

そしてAdobe。SEOツール大手のSemrushを約19億ドル(全額現金)で買収しました。理由としてAdobeがはっきり挙げているのが「生成AI向けの最適化」です。大手が本気でお金を動かしているということです。

Adobeは買収の発表資料で、アメリカの小売サイトへの「生成AI経由の流入」が前年同月比で大きく伸びていることも根拠に挙げています(2025年10月時点で前年同月比1,200%増)。お客様の来る道が、実際に変わり始めているのです。

ただし、冷静に見ておきたいこと

ここで挙げた会社は、いずれも大企業向けのサービスです。「だから中小企業も月額何万円のツールを今すぐ」という話ではありません。お伝えしたいのは「流れは本物だ」ということだけです。中小企業がやるべきことは、第7章に書いたとおり会社概要ページを作る・紛らわしい数字を整理する——お金のかからないところからで十分です。

効率化と、売上。どこが違うのか

※ 表は横スクロールできます

比べる点効率化のためのAI活用売上のためのAI活用
何をするか議事録要約・メール下書き・資料作成自社情報の整備・記事づくり・AIに正しく紹介させる
効果が出る場所社内で完結する社外に届く
測る指標削減できた時間問い合わせ数・採用応募数・売上
やめたら元の作業時間に戻るだけ積み上げた情報が資産として残る
誰でもできるかできる=差がつかない一次情報が要る=競合が真似できない

私が動画で言い続けてきたことと、同じでした

私は以前から「動画は24時間働く営業マンになる」とお伝えしてきました。一度作れば、こちらが寝ている間もお客様に説明し続けてくれるからです。

AIに読まれる情報も、まったく同じです。一度ネット上に正しく置いておけば、誰かがAIに質問するたびに、あなたの代わりに説明してくれます。置いていなければ、その場面であなたは存在しません。

だから測る指標も、動画のときと同じにしてください。再生数ではなく、問い合わせ数・採用応募数・売上。AIも「何時間削減できたか」ではなく「問い合わせが増えたか」で測るものだと考えています。

WordPress管理画面の投稿一覧。公開済み記事が1,170本であることを示す実データ
▲ 当社WordPress管理画面の実データ。公開済み記事=1,170本(2026年6月時点)。お客様のデータではなく、自分たちのサイトの数字です。
341万
回の検索表示(直近16か月・実測)
74.7%
が自然検索からの流入(広告ほぼ0)
1,170
本超の記事が、24時間働いています

当社は広告費をほとんど使っていません。問い合わせの大半は、過去に書いた記事が連れてきてくれています。ただし1,170本のうち609本は伸びずに検索から外しました。全部が当たるわけではありません。出して、測って、直す。この繰り返しでしか資産にはなりません。

結局、どのAIを使えばいいのか

📌 このセクションの要点ここまで読んでくださった方への、おまけです。同じ質問を3つのAIに投げると、性格の違いがはっきり出ました。どれが優れているという話ではなく、用途が違うという話です。今回の1回で見えた範囲でお伝えします。

実験をしていて、いちばん面白かったのがここでした。3つとも、答え方がまるで違ったのです。

※ 表は横スクロールできます

今回の実験で見えた性格向いていそうな使い方
ChatGPT地図情報を見に行った。社名を出さない質問で1番目に出した。ただし設立年は誤答地域の会社を探す・下調べ
GeminiGoogle系の情報に強い。設立年は正解。社名なしでは5番目調べ物・事実の確認
Claude聞いていないことまで先回りした。「なぜ他所で誤解されるか」を自分から指摘し、会社概要ページの作成まで提案してきた相談相手・考えの壁打ち

私の正直な感想

Claudeの「サイト内で『2008年から』という表現が多用されているため、外部からは設立年と混同されやすい状態です」という一言を読んだとき、やっぱりClaudeだなと思いました。聞いていないのに、原因まで教えてくれる。

ただ、これが全員にとって良いとは限りません。「聞いたことだけ簡潔に答えてほしい」場面もあります。そういう方には、別のAIのほうが合うはずです。どれが一番かではなく、何をさせたいかで選ぶのが正解だと思います。

※ これは2026年7月25日に1回ずつ試した結果です。AIは日々更新されるので、同じ質問でも結果は変わります。「今回の1回ではこうだった」としてお読みください。

「うちの会社は、AIにどう見えているんだろう?」と思ったら

いますぐ試せます。生成AIに「◯◯(自社名)について教えてください」と聞いてみてください。返ってきた答えが実態と違っていたら、それはネットに出ている情報が足りないか、見つけにくい形になっているというサインです。何から手をつけるべきかを一緒に整理する、60分の無料相談をご用意しています。

生成AI・LLMOコンサルティングの内容を見る →

ここまでで、いちばん大事な3つ

  • 生成AIは、世の中のすべてを知っているわけではありません。読んだのはインターネット上の文章だけ。会議も、電話も、紙の資料も、社員さんの経験も、1文字も入っていません
  • 「書いてある」だけでは足りません。当社の開業年は書いてあったのに、ひとつのAIは拾えず、10回繰り返されていた別の数字をはめ込みました。どこに・どんな形で置くかで、AIの答えは変わります
  • いちばん危ないのは「何も書いていない」ではなく「中途半端に書いてある」状態です。何も無ければAIは「わかりません」と言いますが、中途半端だと、もっともらしい答えで埋めてしまいます

よくある質問(FAQ)

FAQ勉強会やコンサルティングの現場で、実際にいただくことの多い質問をまとめました。
QAIはインターネットを見ているのですか?
学習した時点で、インターネット上の膨大な文章を読み終えています。加えて今のAIは、必要と判断すればその場で検索もします。ただしどちらの場合も、ネットに載っていない情報は出てきません。
Q生成AIは、世の中のことなら何でも知っているのではないのですか?
いいえ。AIが読んで学んだのは、インターネット上にあった文章だけです。会議での会話、電話、紙の資料、社員の経験などは含まれていません。ネットに出ていない情報について、AIは答えられません。
Q自社のホームページがあれば、AIは正しく答えてくれますか?
必ずしもそうとは限りません。実験では、当社の開業年はサイトに書いてあったのに、ひとつのAIだけが別の数字を答えました。書いてあるだけでなく、項目名をつけて1か所にまとめるなど、見つけやすい形にする必要があります。
QAIが自社について間違えていたら、直せますか?
その場で指摘すれば会話の中では訂正されますが、AI全体が覚え直すわけではありません。根本的な対処は、正しい情報を自社サイトに分かりやすく掲載して、AIが読める材料そのものを整えることです。
Q有料版なら、正確に答えてくれますか?
有料版では使える量や機能が増えますが、ネットに載っていない情報を読めるようになるわけではありません。今回の実験でも、有料版が正解し無料版が間違えたわけではなく、どこを見に行ったかで結果が分かれました。
QどのAIがいちばん正確ですか?
常にどれか1つが正確ということはありません。今回の実験でも、質問によって得意不得意が入れ替わりました。大事な内容ほど、複数のAIに聞くか、自分の情報を渡してから聞くことをおすすめします。
QAIに聞いた内容を、そのまま資料に使っていいですか?
人物・日付・数字・法律が含まれる場合は、必ず公式情報で確認してから使ってください。文章の下書きとしては非常に優秀ですが、事実確認まで任せる使い方は避けたほうが安全です。
Q会社概要ページは、何を書けばいいですか?
今回の実験でAI自身が挙げたのは、設立年月・所在地・代表者名・従業員数・事業内容の5項目です。いずれも項目名をつけて1ページにまとめると、AIが読み取りやすくなります。

まとめ|次にやること

「世の中に情報はあるのに、AIが求めている答えをくれない」——その原因は、AIの性能ではありませんでした。AIが見ている世界が、私たちの世界よりずっと狭いからです。そして今回の実験でわかったのは、もう一段深い事実でした。

ネットに書いてあっても、見つけにくい形なら、AIは別の情報で埋めてしまう。私自身、1,170本の記事を書いてきて、それでも開業年を間違えられました。量ではなく、置き方の問題です。

まずは、いますぐ試せることから始めてください。生成AIに、自社の名前を入れて聞いてみる。返ってきた答えのどこが違うかが、そのまま「これから何を書けばいいか」のリストになります。

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