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生成AI活用#中小企業#経営者向け#まとめ記事

生成AIは「効率化」に使うと、差がつきません。
「売上」に使ってください

創業107年の建材商社/EC月商 前年同月比 約2.5倍広告費ゼロ・担当は役員1名30日の進め方つき

著者:酒井大輔(ITコーディネータ) | 公開日:2026年8月8日 | まず1分:結論と実際の数字 | このページは関連記事26本の入口です

結論から生成AIを議事録やメールの下書きに使っている会社は、いま7割を超えました。誰でもできることなので、そこで差はつきません。
差がつくのは、自社の情報を整えて、AIにお客様へ正しく紹介させる使い方です。外に届き、自社にしかない情報が要るので、真似されにくい。実際に、それでECの売上が過去最高になった会社があります。
約2.5
建材商社のEC月商
(前年同月比/EC開設以来の最高額)
3.816.11%
同社サイトの成約率
(CVR)
0
かけた広告費
(担当は役員1名とAI)
3.3%
AIに実務を任せている
国内企業(496社調査)
📌 30秒まとめやることは、この4つだけです。
  • ① いま、AIが自社をどう紹介しているかを見る(3分。ChatGPTに社名を聞くだけ)
  • ② 自社の情報を「読んでわかる文章」に直す(会社概要 → 実績 → サービスの順)
  • ③ 直った結果を測る(2週間後に同じ質問をして、記録を残す)
  • ④ その作業を、AIに渡す(②を全ページぶんやるのは、手作業では終わらないため)

この4つで、創業107年の建材商社はECの月商が前年同月比 約2.5倍になり、EC開設以来の最高額を更新しました。広告費ゼロ、担当は役員1名です。費用は、始めるだけなら1名分で月3,000円前後から。本記事では、その会社が実際に何をしたかと、御社が最初の30日で何をやるか(その先の2か月も)を書きます。

この記事は、こういう方に向けて書いています:中小企業の社長・決裁者の方。パソコンは得意でなくて構いません。逆に、モデルの仕組みそのものを学びたい方には物足りません。ただし「いま何ができるようになったか」は、第三者の実測データで書いています。すでに生成AIを追いかけている方は、2章目(去年触ったAIと、いまのAIは別物です)と6章目(なぜ今なのか)からお読みいただくのが早いと思います。ここに書いてあるのは「商売がどう変わるか」と「うちは何から、いくらで、いつまでにやるか」だけです。
※ この記事の数字は、すべて出典つきです。METR(AIがやり切れる仕事の実測)/Google公式ガイド(2026年5月)/総務省 令和8年版情報通信白書StatCounterPew Research商工中金・中小企業基盤整備機構ICT総研Adobe公式リリース、そして支援先の実測値
酒井大輔 ITコーディネータ ユーチューブビジネスサポート代表

この記事の著者

酒井 大輔(Sakai Daisuke)|ユーチューブビジネスサポート 代表

ITコーディネータ。中小企業のWebマーケティング・動画活用・SEOを支援。2021年から自社ブログを継続運用し、公開記事は1,170本以上(2026年6月時点)。ここに書いていることは、すべて自社サイトか支援先で実際にやって、数字を見た内容です。代表プロフィール

ITコーディネータ著書2冊自社ブログ1,170本超を運用

1章目★★★ まずここ

効率化ではなく「売上」に使ってください

冒頭で「7割の会社が議事録やメールに使っている」と書きました。——では、なぜそれでは差がつかないのでしょうか。

答えは単純です。議事録もメールの下書きも、社内で終わるからです。1時間かかっていた作業が20分になっても、お客様の目には、何も触れていません。

※ いま企業でいちばん多い使い道は「議事録・メール作成の補助」で72.3%(総務省 令和8年版情報通信白書)。

※ 表は横にスクロールできます

効率化に使う(7割の会社)売上に使う
やること議事録・メール・要約自社の情報を整えて、AIに正しく紹介させる
届く先社内で完結するお客様に届く
必要なものとくにない(誰でもできる)自社にしかない情報(真似されにくい)
競合との差つかないつく
測る数字削減した時間問い合わせ数・売上

「空いた時間で営業すればいい」——そのとおりです。ただし

「効率化で空いた時間を、売上につながる仕事に回せばいい」——当然そう思われると思います。理屈としては、そのとおりです。ただし、その仕事がお客様に届かなければ、売上にはなりません。

※ 表は横にスクロールできます

社内でやっていること外にいるお客様に届いたこと
生成AIで、文章の下書きが 15分 → 5分
約66%短縮(当社実測)。10分、空きました
——
① 空いた10分が、別の社内業務で埋まる
埋まっただけ。やはり社内で完結しています
売上は動きません
② 空いた時間で、別の仕事を進める
理屈としては正しい。ただし、その中身がお客様に届かなければ——
売上は動きません
③ 生成AIで、お客様に何を・どう伝えるかを決める
お客様が確かめたいことが、確かめられる形でページに載る
比べられたときに、選ばれる
= ここが売上
効率化が悪いのではありません。線を越える設計をしていないだけです。
「15分→5分」は当社の実測です。ですが時間が空いたこと自体は、外のお客様には何も届いていません。——③だけが、線の外に出ます。

私は、生成AIは「24時間働く営業マン」を作る道具だと考えています。動画についてずっと同じことを申し上げてきましたが、AIに読まれる情報もまったく同じです。一度きちんと書いておけば、こちらが寝ている間にもAIがお客様に説明してくれます。

ひとつ、混同されやすいところを書いておきます。「AIを使うなら、まず社内のデータを整理しましょう」——よく言われます。ですが、それは効率化の話です。ここで申し上げているのは、外に向けたほうのデータベースです。
社内向け:目的は社内の仕事を速くすること/読むのは社員/置き場所は社内のサーバー/結果は手間が減る(=コスト)
外向け:目的は外の人に正しく知ってもらうこと/読むのはお客様と、かわりに調べるAI/置き場所は自社のホームページ/結果は候補に入り、選ばれる(=売上)
社内の整理を否定してはいません。売上に直結するのは、外向きのほうです。——ホームページは、会社案内ではありません。外に向けたデータベースです。

※ 表は横にスクロールできます

社内にあるもの(外からは見えません)外に出すもの(お客様と、調べるAIが読みます)
在庫・仕入のデータ会社概要(正式名称・所在地・設立年)
顧客台帳・見積の履歴サービス内容と、料金の目安
議事録・日報実績・事例(数字で)
社内マニュアルよくある質問への答え
読むのは社員だけ → お客様と、かわりに調べるAI

社内にも情報はあります。整理する価値もあります。ただ、外からは見えません。——右側の4つは、9章目(まず手でできる10のこと)で、そのまま「今日やること」として並べ直します。

「外に届く」とは、どういうことか

ひとことで言うと、「お客様目線」で書いてある、ということです。

お客様が買う前に確かめたいことが、確かめたい順で、そのページに書いてある。それだけです。そして私は、生成AIの本当の価値は、この「お客様目線」での発信を”自動化”してくれることだと考えています。文章が速く書けることではありません。

図1:同じ会社なのに、書く順番がお客様と逆になっています

会社が書きたい順は、沿革・経営理念・技術へのこだわり・受賞歴・お問い合わせくださいの順。お客様が確かめたい順は、何ができるのか・いくらかかるのか・どれくらいで終わるのか・誰が担当するのか・似た事例はあるのかの順。生成AIがやってくれるのは、この右側を教えてくれること 会社が書きたい順 お客様が確かめたい順 1 会社の沿革・創業の想い 2 経営理念 3 技術へのこだわり 4 受賞歴・認定・資格 5 「まずはお問い合わせください」 1 何ができるのか(対応範囲) 2 いくらかかるのか(料金の目安) 3 どれくらいで終わるのか(納期) 4 誰が担当するのか 5 似た事例はあるのか 生成AIがやってくれるのは、この右側を教えてくれることです。 文章を速く書くことではありません。
左は、社内で作られる順番です。間違ってはいません。ただ、お客様が知りたい順とは違うだけです。真面目な会社ほど、左になります。

——では、なぜ生成AIに、この「右側」が分かるのでしょうか。AIが優秀だからでも、業界に詳しいからでもありません。理由は3つとも、立場の違いです。

図2:なぜAIに「お客様目線」が出せるのか(3つとも、立場の違いです)

AIにお客様目線が出せる理由は3つ。1つ目、自社の事情を知らないので初めて見る人と同じ条件で読む。2つ目、買う側の言葉を大量に読んでいる。3つ目、遠慮がないので伝わっていないと指摘できる。ただしAIが持っているのは一般的なお客様の目線なので、自社の事例・数字・現場の言葉を渡す必要がある 1 自社の事情を 知りません 毎日見ている人には、 もう「初めて見る目」が ありません。 AIは、初めて見る人と 同じ条件で読みます。 2 買う側の言葉を 大量に読んでいます 検索窓に入るのは単語。 AIに届くのは質問文です。 「いくらかかるの?」 買う前に何を確かめるか を、知っています。 3 遠慮が ありません 取引先でも部下でも ないので、忖度なく 言ってきます。 「そこ、伝わって いません」と。 ただし、AIが持っているのは「一般的なお客様」の目線です。 御社のお客様の目線に近づけるには、自社の事例・数字・現場の言葉を渡す必要があります。 だから、発信してきた会社ほど速く進みます。
AIが偉いわけでも、詳しいわけでもありません。立場が違うだけです。だから、社内では気づけないところに気づけます。——そして同じ理由で、渡す材料が無ければ精度も上がりません。

ここが、いちばん難しいところです。専門知識を持っている会社ほど、「自分が言いたいこと」を書いてしまいます。技術のこだわり、社歴、受賞歴。悪気はなく、むしろ真面目な会社ほどそうなります。この「自分本位の発信」から「お客様目線の発信」への切り替えが、支援していていちばん多いつまずきです。そして生成AIは、ここを肩代わりしてくれます。——本当にそうなるのかは、5章目(生成AIとは、「お客様目線」の自動化です)で実物をお見せします。支援先で実際にあったやりとりを3つ。3つとも、頼んだこととAIがやったことが違っていました。

そしてこれは、接点を増やす話ではありません。「選ばれる」話です。お客様は、たいてい何社かを見比べて決めます。そのとき自社だけが「知りたいこと」を書いていたら、どうなるか。——ここは4章目(決め手がなければ、3分の1です)で、数字を使って書きます。

「そんなことで、本当に売上が動くのか」

当然そう思われると思います。数字は、すぐお見せします。ですがその前に、もう1つだけ。——なぜ、それが「いま」できるようになったのか。
次の章で、3分だけ、AIそのものの数字を出します。
このあとも、AIの話は最後まで続きます。AIが実際に何と言ってきたか、Googleが公式に何を書いたか、どれをいくらで使えばいいか。ただし全部、経営の判断に使える形で書きます。専門用語は使いません。

ここだけ覚えてください効率化は社内で終わります。売上に効くのは、外に届く使い方——「お客様目線」で書くことだけです。

2章目★★★ まずここ

去年触ったAIと、いまのAIは別物です

「前に試したけれど、大したことなかった」——よくうかがいます。そして2025年に試したのであれば、その判断は当時として正しかったと思います。私も同じでした。

もっと正直に書きます。私は2026年の4月まで、「AIなんて要らない」と思っていました。自分で考えたほうが速いし、出てくるものも大したことがない——本気でそう思っていました。変わったのは5月です。——同じ5月に、伊勢通様も生成AIを触り始めていました。

問題は、名前が変わっていないことです。去年触ったのも「ChatGPT」、いまあるのも「ChatGPT」。看板が同じなので、中身が入れ替わったことに気づけません。

では、何がどう変わったのか。ひとことで言うと、こうです。

去年(2025年はじめ)のAI

小学生

聞けば答えてくれる。
ただし7分で終わる作業がやっと
覚えている知識だけで話すので、自社のことは知らないか、古いまま。

いま(2026年8月)のAI

東大生

自分で調べて、資料を作って、提出まで終わらせる
まる1日半かかる仕事を任せられる。その場でホームページを読んで、出典まで示す。

名札はそのままで、中の人が入れ替わった——この1年に起きたのは、そういうことです。

ただし、東大生であって「ベテラン」ではありません。飲み込みは速く、量もこなします。ですがその会社のことも、業界の勘所も知りません。だから判断は人に残す——ここは最後まで変わりません。

大げさに聞こえると思いますので、数字でお見せします。

1長さが変わった

任せて最後までやり切れる仕事が、2025年はじめの無料ChatGPTでは7分ぶん。2026年2月時点で約12時間ぶんになりました。この1つがいちばん大きいので、次で詳しく書きます。

2質が変わった

44の職業・1,320件の実務課題で比べたところ、およそ半分でプロと同等以上という結果が出ています(OpenAI GDPval)。

3役割が変わった

「答える人」から「やる人」へ。パソコンを操作して作業を終わらせる割合が1〜12%から66.3%に(人間は72%/Stanford AI Index 2026)。

いちばん大きいのは「長さ」です。これは感想ではなく、第三者が測っています

この数字を測っているのは:METR(メーター)という、AIの性能を第三者の立場で評価している米国の非営利の研究機関です。AIを作っている会社ではなく、外から検証している組織なので、宣伝の数字ではありません。

METRが測っているのは、「人間の専門家がやったら何時間かかる仕事を、AIが最後まで、2回に1回はやり切れるか」です。
「7分」なら、人が7分かかる作業を任せて、2回に1回は最後まで仕上げてくる、という意味になります。

図3:AIが最後までやり切れる仕事の「長さ」(2024年5月 → 2026年2月)

AIが最後までやり切れる仕事の長さ。2024年5月のGPT-4oは7.0分、2025年2月のClaude 3.7は60.4分(1時間)、2026年2月のClaude Opus 4.6は718.8分(約12時間)。棒の長さは実際の時間の比率どおり。出典:METR 人がやったら何時間かかる仕事を、AIが2回に1回は最後までやり切れるか ※ 棒の長さは、実際の時間の比率どおりに描いています 2024年5月 GPT-4o(無料版の標準) 7分 2025年2月 Claude 3.7 1時間 2026年2月 Claude Opus 4.6 約12時間 出典:METR(米国の非営利研究機関)/実測値は 7.0分・60.4分・718.8分。推定値なので幅があります
1年9か月で、7分が約12時間になりました。上の2本が短すぎて見えないほどです。

では、それはいつ伸びたのでしょうか。ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

図4:その「長さ」が、いつ伸びたのか(2019年 → 2026年)

2025年のはじめ、無料のChatGPT(GPT-4o)は7分。2026年2月のClaude Opus 4.6は約12時間。データ出典:METR(metr.org/time-horizons/)2025年16時間を超える測定は、現在のタスク集では信頼できません(METR)0時間4時間8時間12時間16時間20192020202120222023202420252026GPT-2:約0.1分モデル:約0.1分モデル:約0.6分GPT-4:約4分モデル:約4分モデル:約7分モデル:約11分モデル:約20分モデル:約21分モデル:約39分Claude 3.7 Sonnet:約1.0時間モデル:約2.0時間モデル:約1.7時間モデル:約1.7時間GPT-5:約3.4時間モデル:約3.7時間モデル:約3.7時間Claude Opus 4.5:約4.9時間モデル:約5.9時間Claude Opus 4.6:約12.0時間モデル:約5.8時間モデル:約6.4時間モデル:約5.7時間Claude Mythos Preview(試験版):16時間以上(幅8.5〜55時間・信頼できない領域)ChatGPT(GPT-5・2025年8月)= 約3.4時間Claude 3.7 Sonnet(2025年2月)= 1時間2025年のはじめ、無料のChatGPTはここでした= わずか 7分Claude Opus 4.6約12時間Claude Mythos Preview(暫定)AIが最後までやり切れる仕事の「長さ」人間の専門家がやったら何時間かかる仕事を、AIが2回に1回はやり切れるか/縦軸は実寸※色を付けた帯が2025年です。2024年まではほぼ横ばいで、この1年で一気に立ち上がりました。※2025年前半、無料プランで標準的に使えたのはGPT-4o(7分)。細い縦線は推定の幅(95%信頼区間)。
数値を表で見る
時期AIの名前やり切れる仕事の長さ
2019年2月GPT-2約0.1分
2023年3月ChatGPT(GPT-4)約4.0分
2024年5月ChatGPT(GPT-4o)約7.0分(2025年前半の無料プラン標準)
2024年12月o1約38.8分
2025年2月Claude 3.7 Sonnet約1.0時間(60.4分)
2025年4月o3約2.0時間
2025年8月ChatGPT(GPT-5)約3.4時間
2025年11月Claude Opus 4.5約4.9時間
2025年12月ChatGPT(GPT-5.2)約5.9時間
2026年2月Claude Opus 4.6約12.0時間

METRが公開しているデータ(Time Horizon 1.1)より。Claude Opus 4.6の「約12時間」は推定値で、幅は約5.3〜60.6時間と大きく開いています。METRは「16時間を超える測定は、いまのタスク集では信頼できない」とも明記しています。2倍になるまでの期間は、全期間で約188日、2023年以降で約129日(幅は104〜158日)でした。

2024年までは、ほぼ横ばいです。立ち上がったのはこの1年——だから「去年触ったとき」には、まだ何も起きていませんでした。データ出典:METR(metr.org/time-horizons/)
しかも、速さが上がっています。METRによると、この「長さ」が2倍になるまでの期間は、2023年以降は約129日(およそ4か月)。図4の右端が急に立っているのは、そのためです。
つまり4か月前の記憶で判断すると、その時点でもう古いということです。「去年試した」であれば、なおさらです。

この数字を、経営の言葉に置き換えます。

7分でできることは、「質問への答え」までです。調べ物や、文章の言い換え。結局そのあと、自分で手を動かすことになります。
約12時間になると、「仕事」が渡せます。人が1日半かけてやる量——たとえば数十ページぶんの書き直しを、頼んで、受け取れる。
——次の章でご紹介する建材商社で起きたのは、これです。渡し方を変えたのではなく、渡せる大きさが変わったので、渡し方を変えられた、というほうが正確かもしれません。
では、その12時間を、実際に何に使ったのか。支援先では、528ページの点検と書き換えでした。以前なら、外注の見積もりが山のように出てくる量です。——渡し方は10章目(AIに仕事を渡す6つの手順)に、6つの手順で書きました。

この「長さ」が、なぜ売上の話になるのか。7分でできるのは、1ページぶんの言い換えまでです。約12時間になると、数十ページぶんを「お客様目線」に直す作業を、まとめて渡せます。——お客様目線の自動化が、量として現実的になったのが、この1年に起きたことです。

そして、これはお客様の側にも効いてきます。AIがここまで賢くなったからこそ、お客様も自分で検索して探すのをやめ、AIに聞いて済ませるようになりました。——その変化は、6章目(なぜ今なのか——「選ばれる場所」が、増えました)で数字とともに見ます。

ここだけ覚えてください名前が同じなので、変化に気づけません。2025年の記憶で判断しないでください。

では、その”別物”を実際に使った会社は、どうなったのか。次の章で、3か月の記録をお見せします。——最初の1か月は、何も起きていません。


3章目★★★ まずここ

実際に、それで売上が過去最高になった会社があります

愛知県の建材商社・株式会社伊勢通様(創業107年)の話です。実名の掲載許可をいただいています。進めてこられたのは、担当役員の田邊瑛二(たなべ えいじ)さん。以下、田邊さんとお呼びします。

図5:3か月で何が起きたか(2026年5月 → 7月)

5月はスタートしたが何も起きず、6月に渡し方を変え、7月にサイト全体を整えた結果、7月31日に月商がEC開設以来の最高額を更新した 最初の1か月は、何も起きていません。数字が動いたのは3か月目です。 5月 スタート。AIは「質問箱」 何も起きない 6月 渡し方を変えた 権限・記憶・仕組み 7月 サイト全体を整えた 7/31 開設以来の最高額 EC月商 前年同月比 約2.5倍/EC開設以来の最高額/広告費ゼロ・担当は役員1名
いちばん大事なのは、5月のグレーの部分です。「1か月やって何も起きない」で、多くの会社がやめてしまいます。

3か月後の数字

約2.5
EC月商(前年同月比)
EC開設以来の最高額
3.816.11%
サイトの成約率(CVR)
訪問100人あたり約6人が購入
86.4%
売上のうち
自社サイト経由の割合

広告費はゼロ。外注もほぼゼロ。担当は役員1名とAIです。期間は5月から7月までの3か月。新しいシステムは入れていません。

正直な但し書き。季節要因やリピート購入も含まれるため、すべてが施策の効果とは言い切れません。同じ期間に広告などの他の施策は行っておらず、売上の86.4%が自社サイト経由という計測が関連を裏づけていますが、1社の実績であり、同様の成果を保証するものではありません。

やったことは、たった3つです

1権限を渡した

AIに「見せる」だけでなく、作業してよい範囲を決めて渡した。ここまでは触ってよい、ここからは人が確認する、を最初に線引きしました。

2記憶を持たせた

会社のこと・方針・お客様像を毎回説明しなくていい状態にした。毎回ゼロから説明していたのが、いちばんの時間の無駄でした。

3仕組みにした

思いついたときに頼むのをやめ、決まった手順にした。同じ直しを全ページに繰り返す作業なので、手順にしないと終わりません。

そして、何を渡したかが大事です。渡したのは自社の一次情報——お客様が買う前に確かめたいことでした。品番、用途、在庫の考え方、よく聞かれる質問。「取扱商品ページに、お客様が知りたいことを、知りたい順で書く」。やったのは、それだけです。

最初の1か月(5月)は、何も起きていません

ここは正直に書きます。うまくいく前の1か月は、こうでした。

※ 表は横にスクロールできます

1か月目(5月):「質問」を渡していた2か月目以降(6〜7月):「仕事」を渡した
お願いの仕方「〇〇について教えて」「このページを、この基準で直して」
返ってくるもの説明・アイデア直った成果物
そのあと結局じぶんで手を動かす確認して、出すだけ
渡しておくものなし(毎回ゼロから説明)権限・記憶・仕組みの3つ
田邊さんの感想「正直、めんどくさい」「もう、うちの担当者です」

3か月で、何が残ったのか

ここは、はっきり書いておきます。私(酒井)のコンサルは、1か月目にも、2〜3か月目にも、同じように入っています。会う回数も同じです。——変わったのは、AIに何を渡したかだけです。

※ 表は横にスクロールできます

1か月目(5月)
AIには質問しかしていなかった
2〜3か月目(6〜7月)
AIに仕事を渡した
直せたページ数ページ528ページ(全ページ)
やり方担当者の頭の中だけ決まった手順として残った
AIの状態毎回ゼロから説明会社のことを覚えたAI
数字測っていない測るやり方が決まった
結果表には何も出ないEC月商が、開設以来の最高額
ここが分かれ目です支援が入ったかどうかではありません。AIに「質問」を渡したか、「仕事」を渡したかです。——そして2〜3か月目に残ったものは、作業の成果だけではありません。手順と、会社を覚えたAIが残りました。次にやるときは、ここから始まります。

「では、うちは何から始めればいいのか」——13章目(今日から30日の進め方)に、誰が・何を・何分の表を置きました。最初の30日でやるのは、土台づくりだけです。表に何も出ない1か月があることを、先に知っておいてください。

既存ブログは約380本ありました。書いてはいるが、表示されてもクリックされない。直したい箇所を相談すれば外注見積の山。同じAIを使っていて、渡すものを変えただけで、ここまで変わっています。

ここは誤解されやすいので、はっきり書きます。実装したのはお客様ご自身です。私(酒井)がやったのは、生成AIの基本的な使い方と、「何を渡せるか」をお伝えしたことと、触っていい範囲の線引きを一緒に決めたことまで。
外注し続けないと維持できない状態にするのは、支援としては失敗だと考えています。

そして、もっと正直に書きます。5月の1か月がムダになったのは、私が横にいてもです。①から②に変わったのは、私が「渡すものを変えてください」と申し上げてからでした。それがなければ、伊勢通様も5月のまま終わっていたと思います。

ただし、その「渡すもの」は、この記事に全部書いてあります。何を渡すか(この章の3つ)、どう整えるか(お客様目線の章)、どんな手順で渡すか(6つの手順)。だから、この記事を読んだ方は、伊勢通様の5月を飛ばせます。私が横にいた1か月ぶんを、この記事が肩代わりする——そのつもりで書きました。

数字より、変わったのは使う人の気持ちでした

田邊さんのマインドの5段階(と、その時期)

1めんどくさい|1か月目(5月)聞いても結局じぶんでやる。この段階が、まるまる1か月続きました
2驚き|2か月目(6月)頼んだことが、最後まで終わっていた。——ここが、境目です
3楽しさ|2か月目やりたかったことが、その日のうちに形になる
4確信|3か月目(7月)数字が動いた。偶然ではないとわかった
5パートナー|いま次に何を渡すかを、自分で考えるようになった
この5段階は、「AIに慣れていった」話ではありません。田邊さんご本人は、こうおっしゃっています。
——「お客様目線が分からないので、その苦手なところをAIが補ってくれている感じです。自分では見落としていたところを、AIの返答で気づかされることが多々あります
一次情報を渡すと、AIは「これはお客様に伝わるか」「知りたい順になっているか」を踏まえて整えて返してきます。ここで大事なのは、AIは代行者ではなく、ビジネスパートナーだということです。AIは「お客様はこう見ますよ」と指摘してくれます。その指摘に気づき、自分のものにしていくのは、人の仕事です。
お客様目線は、AIと一緒に身につけていくもの。——生成AIがいちばん効くのは、実はここだと思っています。具体的に何を言ってくるのかは、「お客様目線」の自動化の章で、実際のやりとりを3つ載せました。

「うちは建材商社じゃない」という方へ

ここは、いちばん多いご質問です。そしてデータも同じことを言っています。中小企業が生成AIで止まる理由の1位は「具体的な活用場面がわからない」(35.6%・商工中金3,892社)、足りない支援の1位は「成功事例や活用事例などの情報」(83.3%・中小企業基盤整備機構10,000社)でした。必要なのは危機感ではなく、自分の業種の具体的な1つの事例だということです。

業種によって「お客様が買う前に確かめたいこと」は違います。ですがやることは同じです。ご自身の会社に近い行だけご覧ください。

※ 表は横にスクロールできます

業種お客様が買う前に確かめること最初に直す1ページ
卸・商社「この商品、どこで買えるか」取扱商品ページ(品番・用途・在庫の考え方)
製造業「この加工ができる会社はどこか」設備一覧・対応できる材質とサイズ
建設・工事「地域名+工事の種類」施工実績(場所・規模・工期)
士業・コンサル「誰が担当するのか」代表プロフィール(経歴・資格・実名)
採用で困っている「この会社、働きやすいのか」社員インタビュー・1日の流れ

※ 建材商社だけの話ではありません。他の業種の成果は事例集にまとめています。

ここだけ覚えてください渡すのが「質問」か「仕事」かで、同じAIが別物になります。

では、なぜそれで売上が上がったのか。理由は1つです。お客様に「選ばれた」からです。ページを増やしたからでも、AIを使ったからでもありません。次章で、その中身を見ます。


4章目★★★ まずここ

決め手がなければ、3分の1です

ここが、いちばん誤解されるところです。ページを増やして接点を増やす、という話ではありません。選ばれる話です。そして、選ばれなければ、残るのは価格だけになります。

結婚式場の見学は、平均3件でした

私はもともとブライダル業界にいました。結婚式場の見学は、平均3件です。だから3件に1件選ばれる、成約率3割が基準線でした。そこからどう伸ばすかが、努力と工夫です。

業種によって件数は違います。建設なら5社、士業なら2社かもしれません。ですが「見比べて決める」という構造は同じです。仮に3社としてお話しします。

図6:決め手がなければ3分の1。書いてあれば、変わります

お客様が3社を見比べるとき、決め手がなければA社・B社・御社が約33パーセントずつで並ぶ。御社だけが料金の目安・対応できる範囲・担当者・似た事例を書いていた場合、御社が約66パーセント、他の2社が約17パーセントずつになる可能性がある。問い合わせは単純計算で倍になる。比率は考え方を示すための例 決め手がないとき 3社とも「実績多数」「創業◯年」。書いてあることが似ている A社 33% B社 33% 御社 33% ——ここから先は、価格で比べられます 御社だけ、書いてあったら 料金の目安・対応できる範囲・担当者・似た事例 A社 17% B社 17% 御社 66% 問い合わせは、単純計算で倍 ※ 33%・17%・66%は、考え方を示すための例です。実際の比率は業種・商材・競合によって変わります。来る人数は、どちらも同じです。
増えたのは、来た人の数ではありません。同じお客様の中で、選ぶ人の割合が変わっただけです。

これは例え話ではありません。実際に起きています

CVR(成約率)という言葉が出てきますが、難しく考えなくて大丈夫です。「サイトに来た100人のうち、何人が買ったか」——それだけです。

3.81
100人あたり買った人
(情報を整える前)
6.11
100人あたり買った人
(整えたあと)
約1.6
選ばれた割合
伊勢通様・実測

来た人の数が増えた話ではありません。同じ100人の中で、選ぶ人が増えました。さきほど例として出した「33%が66%に」が、実際に動いていたということです。

正直な但し書き。上がった理由は、情報を整えたことだけとは限りません。AI経由で来た人は、すでに調べ終えて来るぶん、買う確率が高い傾向があります(「選ばれる場所」の章で数字を出します)。
ただしどちらも「情報を整えた結果」である点は同じです。

もう1社。言葉を変えただけで、問い合わせが6.5倍になりました

製造業の例も出します。自社開発製品を持つ株式会社エムティーシー様(東京)です。生成AIが出てくる前の話ですが、やったことは同じでした。

それまで製品ページは、「TL001」という自社の品番で書かれていました。社内では、それがいちばん正確な呼び方だからです。ですが、お客様はその品番を知りません。探すときに打つのは、品番ではなく「何ができる製品か」「何に困っているか」の言葉です。

そこで、製品を「機能・ニーズ視点のキーワード」で発信する形に変えました。結果です。

月3
問い合わせ
(言葉を変える前)
月20
問い合わせ
(変えたあと)
6.5
大手企業からの
直接受注も発生

東京都中小企業振興公社のハンズオン支援による取り組みです(製造業の事例)。

ここがいちばん大事なところです。製品も、価格も、品質も、何ひとつ変えていません。変えたのは「呼び方」だけです。自社の言葉(品番)から、お客様の言葉(機能・困りごと)へ。
そして——これは生成AIの話ではありません。だからこそ言えます。効くのは「お客様目線」であって、AIはそれを速く・大量にやるための道具だということです。

これは、どの会社でも起きています。言葉を「自社の呼び方」から「お客様の探し方」に直すだけです。

ありがちな書き方直し方
TL001(自社の品番)「◯◯ができる製品」(お客様が探す言葉)
第2章 解説動画マーケティングの3H戦略とは
サービスA月◯万円の動画内製化支援
実績多数建材商社でEC月商が前年同月比2.5倍

※ 左は「そのページだけ見てもわからない文章」、右は「そのページだけ見てわかる文章」です。特別な小細工ではありません。

「では、何を書けば選ばれるのか」——9章目(まず手でできる10のこと)に、手でできる10のことを並べました。料金の目安、代表の顔と経歴、「実績多数」を数字に。どれも今日、手で直せます。

選ばれる理由がなければ、残るのは価格だけです

町の電気屋さんは、家電量販店より価格が高い。それでも選ばれている会社があります。価格以外の理由が、お客様に伝わっているからです。

情報を整えるというのは、その「価格以外の理由」を、会う前のお客様に届けることです。会ってから説明しても、遅いことがあります。3社に絞られる前に、もう比べられているからです。

ただし、その前があります

3社の中に入っていなければ、33%ですらありません。0%です。

AIに自社名を聞いて名前が出てこないなら、そもそも比べてもらう土俵に乗っていないということです。だから、いちばん最初にやるのが「AIに自社名を聞いてみる」なんです。

AIは、お客様のコンシェルジュです。お客様が「愛知で〇〇を頼めるところは」と聞いたとき、AIはホームページに書いてあることを読んで答えます。書いていないことは、紹介できません。
情報を整えるというのは、コンシェルジュに、自社を紹介する材料を渡すことです。

情報を整えると売上になる、一本の線

「情報を整えたら売上が上がる」——理屈がつながらないと、社内で説明できません。ここは一本の線でつながっています。

情報を整えると売上になる、一本の線

1人の役に立つことを、読んでわかる形で書くそのページだけを見て、何が書いてあるかわかる文章にする
2Googleがそれを評価する検索で見つけてもらえるようになる
3AIがそれを引用するAIは検索結果や公開情報を読んで答えるため、評価されている情報が引かれる
4お客様に、正しく紹介される(=候補に入る)3社のうちの1社になる。ここはまだ売上ではありません
5他社と比べて、選ばれる。ここが売上です知りたいことが書いてあるから、指名で問い合わせが来る

※ ④で終わると、売上になりません。紹介されただけでは、まだ3分の1です。⑤まで行って、はじめて数字が動きます。

ここが、いちばん抜けやすいところです。「AIに載れば流入が増えます」という説明は、いま多く見かけます。ただ、その多くは①〜③までの話です。④「候補に入る」から⑤「選ばれる」までを説明しているものは、ほとんど見当たりません。
紹介されただけでは、まだ3分の1です。
ここだけ覚えてくださいたくさん来ても、選ばれなければ意味がありません。持っている情報を整理して、分かりやすく伝えて、選んでもらいやすくする——それが、いちばんの本質です。

では、その「選ばれる情報」は、誰が作るのか。次の章で、AIが実際に何と言ってきたかを3つお見せします。——「新しい記事を書いて」と頼んだ答えが、「書かないほうがいいです」でした。


5章目★★ できれば

生成AIとは、「お客様目線」の自動化です

前の章で「選ばれる情報が出ているかどうか」だと申し上げました。では、その情報は誰が作るのか。ここが、この記事の背骨です。

先に、1章目とこの章の違いを書いておきます。
1章目は「何を、どの順で書くか」の話でした(図1)。そしてなぜAIにその順番が分かるのかを3つ挙げました(図2)——自社の事情を知らない/買う側の言葉を大量に読んでいる/遠慮しない。そこまでは、理屈です。
この章は、実物です。理屈どおりにAIが動いたのか、実際のやりとりを3つ、そのままお見せします。そして理屈だけでは見えなかったことが、1つ出てきます——AIがやってくれない部分です。

頼んだことと、AIがやったことが違いました

「お客様目線」と言われても、実物を見ないとわからないと思います。3章目の建材商社の田邊さんから、実際のやりとりを3つ教えていただきました。3つとも、頼んだこととは違うことをAIがやっています。

1「新しい記事を書いて」→ 書きませんでした

渡したもの:新規記事の指示書(まとめ記事を1本つくる計画)

AIが返してきたこと:
「同じ質問に答える記事がすでにあります。2本に分かれると、お客様がどちらを読めばいいか迷いますし、検索でも会社としての答えが弱くなります。なので新しい記事は書かず、今ある記事に足りなかった解説を書き足して1本に充実させておきました

ご本人の感想:「ブログ記事は数あれば当たる、という自分の誤った考えに気づいた」

2動画150本を渡した → 19箇所の誤りを直しました

背景:撮影した当時は、本当に「無料サンプル」でした。その後サンプルを有料化したのに、昔の動画はそのまま残っていました。

AIが返してきたこと:
「『無料サンプル』と書かれた動画を見て請求したお客様は、660円かかると知った瞬間に、だまされた気持ちになります。買ってもらう前に信頼を失うので、150本を全部点検して、誤っていた19箇所を直しておきました

ご本人の感想:「昔の情報が残っていることを自分も忘れていた。150本全部を人力で点検するのは時間と労力が必要なので、本当に助かった」

3「表示回数とクリックを増やしたい」→ タイトルを直されました

渡したもの:Google Search Consoleのデータと、「表示回数・クリック数を改善したい」という相談

AIが返してきたこと:
「ページの速さでお客様を待たせてはいません。それより、検索でお店の前まで来ているのに、看板(タイトル)が刺さらず、入店せずに帰っているお客様のほうがずっと多いです。なので速度ではなく、素通りされていた記事14本と商品ページ43本の看板を、お客様が検索で打つ言葉に合わせて書き換えておきました」

ご本人の感想:「数を増やせば伝わると思っていたが、購入していただく『目的』を改めて認識できた」

3つ目は、少し補足します。検索は2段階です。①検索結果に出る(表示回数)→ ②出た結果を押してもらう(クリック)。
この会社は①が35.6万回ありました。出てはいたのです。止まっていたのは②でした。
ページの表示速度が効くのは、押されたあとの話です。開いてから遅ければ離脱しますが、そもそも押されていないなら、速度を直しても数字は動きません。だからAIは速度を外して、押される理由=タイトルに手を入れました。
支援先のGoogle Search Console検索パフォーマンス画面。2026年1月から7月末で合計クリック数1.06万、合計表示回数35.6万、平均CTR3%、平均掲載順位5.7。6月中旬から表示回数とクリック数がともに増加している
実際のGoogle Search Console(2026年1月〜7月)。6月中旬から、表示回数もクリック数もそろって上がっています。合計1.06万クリック/35.6万表示。

なお、この3つはすべてClaudeとのやりとりです。なぜClaudeなのかは、7章目(いくらかかって、どれを選べばいいか)に理由を3つ書きました。——ひとつは「迎合しないから」です。

3つとも、同じ形です。頼んだことと、AIがやったことが違う。しかも、AIがやったことのほうがお客様目線でした。
「AIは指示どおりに動く道具」だと思っていると、この使い方にはたどり着けません。渡したのは指示ではなく、判断の材料です。
そして2つ目は、どの会社でも起きます。嘘をついたわけではありません。商売が変わったのに、昔の発信が残っていただけです。動画150本、記事300本と増えるほど、人の記憶では追えなくなります。

この章の見出しについて、ひとつだけ。自動化されたのは「お客様目線での点検作業」です。150本を見る、43ページを見直す——人なら何日もかかる作業が、自動になりました。自動化されないのは「気づき」です。「数あれば当たると思っていた」「昔の情報が残っているのを忘れていた」——これは、AIの指摘を受け取った人の側でしか起きません。だから田邊さんは、「お客様目線は、AIと一緒に身につけていくもの」とおっしゃっています。

では、その「気づき」は、どうやって身につくのか

田邊さんは、こうもおっしゃっています。

田邊さんの言葉いつも酒井さんとのコンサルの時に、「AIと何をやったか?」の報告をします。ここに価値があるのかなと思いました。

AIが指摘を出しても、「なるほど」で流せば身につきません。言葉にして人に説明する場があると、定着します。社内の朝礼でも、月1回の会議でもかまいません。伊勢通様の場合は、それがたまたま私との打ち合わせだった、というだけです。

ただし、誤解のないように書いておきます。私自身は、誰にも相談せずにこの支援をしています。できる人は、できます。慣れていないことに支援者が要るのは、生成AIに限った話ではありません。新しい設備でも、新しい販路でも同じです。生成AIだから特別、ということはありません。ビジネスとして見れば、いつもと同じ話です。

境目の向こうにあるのは、「何を頼めるかが分かること」です

AIが上手くなるわけでも、自分が詳しくなるわけでもありません。変わるのは「何を頼めて、何を頼めないかが、具体的に分かるようになること」です。

私自身がそうでした。話としては、分かっているつもりでした。でも、自分が手を動かすつもりでいた作業を、AIが最後まで終わらせて返してきたときに、向き合い方が変わりました。そこから、できることとできないことの切り分けが、具体的にできるようになりました。

伊勢通様の田邊さんが「頼んだことが、最後まで終わっていた」で変わったのと、同じです。——どちらも「見た」から変わりました。読んだからではありません。

※ 私の場合は、ブラウザ上の作業まで任せたときでした。ただ入口はどこでも構いません。大事なのは「終わって返ってきた」を一度見ることです(道具の選び方はこちら)。
※ この「任せられる状態」は、世間ではAIエージェントとも呼ばれ始めています。呼び方はどちらでも構いません。変わったのは、頼み方だけです。

ここまでは「何をすれば選ばれるか」の話でした。——では、なぜそれが「いま」なのか。お客様の側が、先に変わっています。


6章目★★ できれば

なぜ今なのか——「選ばれる場所」が、増えました

ここまでの話が「いま」効くのには、理由があります。先に変わったのは、AIではなく、お客様のほうだからです。この1年で、日本のGoogle検索のシェアは83%から60%になりました。お客様が「選ばれる会社」を探す場所そのものが、増えています。まず、この1枚を見てください。

図7:検索でお客様が来る仕組みが、変わりました
※ 広告・SNS・紹介などの入口は、この図には含めていません

2025年までは、検索でお客様が来る入口はGoogle検索がほぼすべてで(日本の検索シェア83.3パーセント、Yahoo!もGoogleの検索結果のため実質9割超)、そこからまとまって自社のホームページに来ていた。2026年からは、Google検索に加えてChatGPT・Gemini・Copilot、そのほかの生成AIにもお客様が相談するようになり、そこから同じ自社のホームページに来る。広告・SNS・紹介はこの図に含まない 2025年まで 検索の入口はほぼGoogleだけ。ここから、まとまって来ていました Google検索 日本の検索シェア 83.3% 自社のホームページ 2026年から お客様が「相談する相手」が増えました(下は主要なものだけ) Google検索 ChatGPT Gemini Copilot そのほかの生成AI Claude・Perplexityなど どこに相談しても 自社のホームページ 行き先は同じ 検索シェア出典:StatCounter Global Stats(日本・全デバイス/2025年6月)Google 83.25%・Yahoo! 8.18%・Bing 6.81%。 Yahoo!はGoogleの検索結果を使っているため、2025年当時は9割超が「同じGoogleの答え」でした。
入口は増えましたが、読まれるのは同じ1つのページです。だから入口ごとに別々の対策をするのではなく、ページを整えるほうが早い——これが、専用の設定が要らない理由です。

「Googleだけ見ておけばいい」が、1年で崩れました

これは印象の話ではありません。数字が動いています。

※ 表は横にスクロールできます

検索エンジン2025年6月2026年7月
(最新)
1年間の変化
Google83.25%59.73%−23.5pt
Bing(Microsoft)6.81%32.07%+25.3pt
Yahoo! JAPAN8.18%6.55%−1.6pt

出典:StatCounter Global Stats(日本・全デバイス)。2025年6月/2026年7月の各時点。

ただし、動いたのは「会社のパソコン」です。2026年2月時点で、パソコンはGoogle 約55%・Bing 約38%。いっぽうスマートフォンはGoogle 約85%・Bing 1%未満で、ほとんど変わっていません。理由は、WindowsとMicrosoft Edgeの標準検索がBingで、そこにCopilotが載ったからです。BingがYahoo! JAPANを追い抜いたのは2025年10月ごろでした。
BtoBの調べ物は、会社のパソコンで起きます。だから「Googleだけ見ておけばいい」は、BtoCよりも中小企業のBtoBほど当てはまらなくなりました。

これまで

調べる → 見る

検索する。
青いリンクが10本並ぶ。
気になったサイトを開く。

いま

聞く → 終わる

AIに聞く。
答えがそのまま返ってくる。
どのサイトも開かないまま終わる。

図8:白書1冊分=1年で、生成AIを使った人はこう増えました

総務省の情報通信白書によると、日本の個人の生成AI利用経験率は令和7年版(2024年度調査)で26.7%、令和8年版(2025年度調査)で58.8%。1年で約2.2倍になった 日本で、生成AIを使ったことがある人の割合(個人) 令和7年版 2024年度調査 26.7% 令和8年版 2025年度調査 58.8% 1年で約2.2倍 出典:総務省「情報通信白書」令和7年版・令和8年版/60代でも33.5%(令和8年版)
国が出している同じ調査が、1年でこう変わりました。お客様の側が、すでに使っています。

生成AIを使ったことがある人は58.8%60代でも3人に1人(33.5%)です(総務省 令和8年版情報通信白書)。「うちの世代には関係ない」という話ではなくなりました。
ところがAIに実務そのものを任せている国内企業は、まだ3.3%です(矢野経済研究所・国内496社)。AIは「やる人」になったのに、多くの会社はまだ「聞く相手」として使っています。

図9:検索結果にAIの要約が出ると、リンクはどれだけクリックされなくなるか

AIの要約が出ないとき、リンクのクリック率は15%。AIの要約が出るときは8%。ほぼ半分に減っている。出典:Pew Research Center(2025年) AIの要約が出ないとき 15% AIの要約が出るとき 8% 出典:Pew Research Center(2025年)/100人が検索したときにリンクを開く人数 検索した人のうち、リンクをクリックした割合
ほぼ半分になっています。順位が同じままでも、来る人は減るということです。

※ 表は横にスクロールできます

何がどうなったか出典
AI検索の利用率8.4% → 27.6%AI検索白書2026
どのサイトにも行かずに終わる割合23.9%AI検索白書2026
検索1位のクリック率日本で約38%減Ahrefs(2026年2月)

※ 4人に1人が、調べ物を終えてもどのサイトにも来ていません。ホームページのアクセスが減ったと感じている会社は、腕が落ちたのではなく、入口の形が変わった可能性があります。

実際に、お客様のサイトでAI経由の訪問が増えています

推測ではなく、支援先のアクセス解析(GA4)からAI経由の訪問だけを抜き出した実測値です。ある企業では、2024年後半はほぼゼロだったものが、2026年5月にはChatGPT経由だけで月104件まで増えました。

支援先企業BのAI経由セッション推移(GA4実測)。2024年後半のほぼゼロから増え、2026年5月にChatGPT経由が月104件に達している
支援先B:2026年5月にChatGPT経由だけで月104件
支援先企業AのAI経由セッション推移(GA4実測)。2024年後半のほぼゼロからChatGPT経由の訪問が増えている
支援先A
支援先企業CのAI経由セッション推移(GA4実測)。ChatGPT・Gemini・Copilot経由の訪問が増えている
支援先C
支援先企業DのAI経由セッション推移(GA4実測)。ChatGPT経由を中心にAIからの訪問が増加している
支援先D

支援先4社のAI経由アクセス推移(GA4実測・業種は伏せています)。4社とも、2024年後半のほぼゼロから同じ形で立ち上がっています。

正直に言うと、まだ全体の数%です。13,770サイトの調査でも、AI経由は全体の約1.08%(Conductor)。「もうAI経由が主役です」とは申し上げません。ただし、情報を直してからAIの答えに反映されるまで数週間から数か月かかります。増えてから始めると、その待ち時間ぶん遅れる——申し上げたいのはそれだけです。

数は少なくても、質が違います。ある1社の実測では、AI経由で来た人の成約率は15.9%、自然検索経由は1.76%でした(Seer Interactive)。100人来たら、AI経由は約16人、検索経由は約2人が買った計算になります。
1社の実測値であり、業種や商材で大きく変わります。ただ「AIに聞いてから来る人は、すでに買う気で来ている」という感覚は、当社の支援先でも一致しています。

変わっていないこともあります。お客様の目的は変わっていません。「信頼できる会社に頼みたい」「失敗したくない」は同じです。変わったのは入口の形だけで、選ばれる理由の価値は、むしろ上がっています。AIは無名の会社を作り出すことはできず、どこかに書いてあることしか答えられないからです。

そして、世界はここに賭けています

「日本の中小企業には、まだ関係ない話では」と思われるかもしれません。ただ、お金の動きは、もう先に始まっています。

※ 表は横にスクロールできます

いつ何が起きたか金額
2026年4月Adobeが、SEOツール最大手のSemrushを買収(2025年11月発表・2026年4月完了)約19億ドル
(約2,850億円)
2026年2月AI検索での見え方を扱う米Profound社が、創業から約18か月でユニコーンに(顧客はFortune 500の1割)評価額10億ドル
(約1,500億円)
2025年11月独Peec AIが、公開から10か月で顧客1,300社超に。いまも月300社ペースで増加調達2,100万ドル
(約32億円)

※ 円換算は分かりやすさのため1ドル=150円で概算しています(2026年8月8日時点の実勢は約158円)。出典:Adobe公式リリース(2025年11月19日)/Fortune(2026年2月24日)/Tech Funding News。

Adobeが買収の理由として挙げたのは、この一言です。——「ブランドの見つかりやすさは、生成AIによって作り変えられている。この機会を受け入れない企業は、存在感と売上を失うリスクがある」。
SEOツールの世界最大手を、大手が2,850億円で買う。「一部のスタートアップが騒いでいるだけ」では、もう説明がつきません。
ただし、ここを読み違えないでください。賭けられているのは「お客様の入口が変わる」という事実のほうで、ツールのほうではありません。
Profoundが売っているのは「AIが自社をどう紹介しているかを、測る道具」です。小細工ではありません。そして同じことは、AIに自社名を聞けば今日、無料でできます30日の進め方の0日目に手順を書きました)。
しかもProfoundは、社員120人未満で700社をさばいています。つまりこの仕事は、本来そんなに人手が要りません。中小企業なら、担当1名で足ります。

そして、ここが大事なところです。入口がAIに変わっても、お客様が確かめたいことは1ミリも変わっていません。「本当にできるのか」「いくらか」「誰がやるのか」。だからお客様目線で書いてあるページは、入口が変わってもそのまま効きます。小細工が要らないのは、このためです。

ここだけ覚えてください変わったのはAIではなく、お客様の探し方です。4人に1人は、どのサイトにも来ないまま終えています。

では、いくらかかるのか。私はClaudeに月220ドル払っています。ですが始めるだけなら、月3,000円で足ります。次の章で、自分の請求書を出します。


7章目★★ できれば

いくらかかって、どれを選べばいいか

ここは一般論より、自分の請求書を出したほうが早いと思います。

私が払っているのは、Claudeの上位プラン 月220ドル。この1本だけです。

ChatGPTにもGeminiにも、私は課金していません。理由は単純で、仕事を渡す相手は1つに決めたほうがいいからです。3つ契約すると、記憶も手順も3か所に分かれて、どれも中途半端になります。1つを深く使うほうが、確実に結果が出ます。

ただし、始めるのに私と同じ金額は要りません。目的別に、必要な金額はこう変わります。

※ 表は横にスクロールできます

目的必要なもの月額の目安(1名)
① まず現状を測る無料のChatGPTで自社名を聞くだけ0円
② 仕事を渡してみるいずれか1つの有料プラン
ChatGPT Plus/Claude Pro/Gemini AI Pro
3,000円前後
③ 毎日、量をこなす上位プラン1本数万円

私は①〜③のすべてを、Claudeの上位プラン(月220ドル)1本でやっています。②から始める方は、他社のプランでも構いません。
※ ②の実額は2026年8月7日に各社の公式料金ページで確認しました(ChatGPT Plus 3,000円/Claude Pro 月払い20ドル/Gemini AI Pro 2,900円)。③は当社が毎日サイトの改修と記事制作に使っているための金額で、始める段階では不要です。為替により円換算は変わります。

※ ご自身のサイトの作りによっては、触れる状態にするために一度だけ費用がかかることがあります(当社の支援先では数万円でした)。ただし、多くの場合は開発も改修も要りません。ブラウザの拡張機能から管理画面を操作すれば足ります。
AIエージェントは開発しなくていい|中小企業は月3,000円台から始められます

ひとつ、誤解が多いところを書いておきます。「AIエージェント」と聞くと、専用のシステムを何百万円かけて開発する話だと思われがちです。実際、検索して出てくるのはほとんどが開発会社の見積の話です。ですが、いま月3,000円で契約しているプランの中に、もう入っています。開発は要りません。必要なのは、任せる仕事を決めて、触っていい範囲を線引きすることだけです。

⚠ ただし、無料版だけで判断しないでください。「AIが自分でパソコンを操作して作業を終わらせる」機能は、無料プランでは制限付きです。ChatGPTはパソコン用アプリからなら無料でも制限付きで触れますが、本格的に使うなら月3,000円のプランから。Geminiの同等機能は米国・英語のみで、日本では実質使えません。
去年と同じように無料版だけで試すと、いちばん大きな変化を体験しないまま「やっぱり大したことない」で終わります。

正直に書きます。まだできないこともあります。いまのAIは3回に1回は失敗します。数字を作らせる・最終判断をさせる、といった使い方は今も危険です。優秀な新入社員であって、ベテランではありません。

なぜ私は、Claudeの1本に決めたのか

生成AI全般の話ではありません。この記事で書いているWebマーケティング——文章を書く、ページを整える、数字を読む——この用途に限った、2026年8月時点の私の判断です。用途が違えば、答えも変わります。理由は3つです。

1日本語が、いちばん不自然でない

書いたものをそのまま出せるかは、ここで決まります。手直しの量がまるで違います。

2迎合しない

AIに聞くと、たいてい「いいと思います」と返ってきます。経営判断でそれをやられると、困ります。Claudeは「それは分かりません」「そこは根拠がありません」と言ってきます。

3複雑な読み解きが得意

アクセス解析の画面をそのまま渡して「どこが詰まっていますか」と聞く。この手の作業で差が出ます。

——3つの事例を思い出してください。「新しい記事を書いて」に「書かないほうがいいです」。「速度が問題では」に「そこではありません」。3つとも、頼んだことに従っていません。私が②を理由に挙げるのは、こういうことが実際に起きるからです。

ただし、これは私の選び方です。すでに社内でChatGPTを使っているなら、そのままで構いません。どれを選ぶかより、1つに決めることのほうが大事です。記憶も手順も、1つに集めたほうがたまるからです。

作る道具と、確かめる相手は、別で構いません。私は作業をClaudeでやりますが、確認はChatGPTでします。理由は単純で、お客様がいちばん使っているのがChatGPTだからです(日本の生成AI利用率:ChatGPT 36.2%/Gemini 25.0%/Copilot 13.3%/Claude 4.3%・ICT総研2026年2月調査)。
Claudeに選ばれても、売上にはなりません。お客様が使っていないAIに気に入られても、意味がないからです。
作るのはClaude。測るのはChatGPTとGoogle Search Console。この2つを回してください。

※ 当社はAnthropic社の代理店ではなく、紹介料も一切受け取っていません。月220ドルを自分で払って使っている、一利用者としての意見です。

ここだけ覚えてください始めるだけなら月3,000円前後測るのは0円です。どれを選ぶかより、1つに決めることのほうが大事です。

ただし、払わなくていいものもあります。「AI対策」として売られているものの多くは、Googleが公式に「要らない」と書いています。次の章です。


8章目★★ できれば

2026年5月、Googleが「生成AI向けの最適化ガイド」を公開しました

用語は、覚えなくて構いません

「AI対策」の話には、SEO・AEO・GEO・LLMO・AIO といった略語がいくつも出てきます。ですがこれは、「どこで見つけてもらうか」の呼び名が違うだけで、やることは共通です。

この章は「検索で見つけてもらう=SEO」だけ頭に置いていただければ、最後まで読めます。

「AI対策」と検索すると、専用のファイルを置きましょう、AI向けに書き直しましょう、という提案が並びます。そのほとんどは、やらなくていいことです。Google自身がそう書いています。

2026年5月、Googleは生成AI向けの最適化ガイドを新しく公開しました。公式のドキュメントで「AEO」「GEO」という言葉を定義し、それがSEOであると言い切ったのは、これがはじめてです。

⚠ ここを読み違えないでください。Googleは「何もしなくていい」とは言っていません。言っているのは「LLMO専用の小細工は要らない。それはSEOだ」です。
つまりSEOはやってください、しかもこれまで以上に、という意味になります。
Google公式(2026年5月)「Googleサーチの立場では、生成AI検索への最適化とは検索体験への最適化であり、したがってそれはSEOである」
原文:From Google Search's perspective, optimizing for generative AI search is optimizing for the search experience, and thus still SEO.

Googleが名指しで「やらなくていい」と書いたのは、この5つです。

  • llms.txt などの「AI向け」ファイル——「機械が読むためのファイル、AIテキストファイル、マークアップ、Markdownを作る必要はない」。Googleのシステムは読みません。
  • コンテンツの「チャンク化」——「1ページに複数の話題があっても、Googleのシステムはその機微を理解できます」
  • AI向けに文章を書き直すこと——「AIは同義語や一般的な意味を理解します」
  • 不自然な「言及」を集めにいくこと——外部にわざと自社名を書かせにいく施策は不要
  • 構造化データへの過度な注力——「生成AI検索に構造化データは必須ではなく、特別なschema.orgマークアップも要らない」
    ※「必須ではない」であって「無意味」ではありません。検索結果の見え方(リッチリザルト)には引き続き有効です

出典:Google「Google's Guide to Optimizing for Generative AI Features on Google Search」(2026年5月公開/2026年7月10日更新)。なお「AI向けの新しいファイルやタグは不要」という説明自体は2025年から示されており、やらなくていいことが名指しで整理されたのが2026年5月のガイドではじめてです。

これは、そのまま「断る根拠」になります。「LLMO対策として llms.txt を設置しましょう」と提案されたら、Googleが公式に「読まない」と書いているとお伝えください。数十万円を払う前に、この1ページを見せれば済みます。

SEOとLLMOは、やることが同じでした

「同じだ」と言われても腑に落ちないと思いますので、並べます。

※ 表は横にスクロールできます

SEO(これまで)LLMO(AIに向けて)
誰に見つけてもらうか検索する人AIに聞く人
出る場所検索結果の一覧AIの回答文の中
見ているのはGoogleのアルゴリズムAI(検索結果と公開情報を読む)
成果の見え方クリック数引用・指名での問い合わせ
やること読んでわかる文章にする読んでわかる文章にする(同じ)
新しい設定要らない(Google公式)

※ 違うのは入口の形だけです。下の2行が、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

では、SEOの「何を」見直すのか

やることは4つとも同じで、違うのは「どこまで踏み込むか」だけです。そしてその中身は、この記事の9章目(まず手でできる10のこと)にそのまま並べてあります。

会社概要をそのページだけでわかる形にする。代表のプロフィールを載せる。「実績多数」をやめて数字で書く。料金の目安を書く。見出しを質問の形に近づける。結論を先に置く。FAQを置く。更新日を出す。——AEO・GEO・LLMOのために新しく覚えることは、1つもありません。専用の設定も、どれにも要りません。

では、SEOでやることに共通しているのは、何でしょうか。

全部「お客様目線」です。お客様の問いの形にする、結論を先に言う、数字で書く、誰が言っているか示す、古い情報を直す——どれもお客様が確かめたいことに、先回りして答えるという一点に集約されます。
Googleが小細工を否定できるのは、評価軸がずっとそこにあるからです。——「お客様目線」の自動化の章で書いたことと、同じところに戻ってきます。

ここで、図7の話に戻ります。Googleのシェアが1年で83%から60%になり、代わりに伸びたのはBing(Microsoft)でした。入口がGoogleからBingやChatGPTに移ったのなら、Googleの言うことを聞く意味はあるのか——そう思われるかもしれません。
ですが、BingにもChatGPTにも、専用の設定は用意されていません。どの入口も、読んでいるのは同じ1つのページです。入口が増えたからこそ、全部に効く1つのやり方——つまりSEOしか、打ち手がないということになります。
ここだけ覚えてください要らないのはLLMOの小細工。要るのはSEOです。だからいま、SEOを見直してください。

9章目★★★ まずここ

まず手でできる10のこと(自社チェック)

ここから後半です。前半は「やるかどうかを決める」話でした。ここから先は「では、どうやるか」の話になります。残りは5つ——①この章(何を書くか)→ ②AIへの渡し方 → ③社内が動かないとき → ④続け方 → ⑤30日の予定表。お急ぎなら⑤の30日の予定表だけでも構いません。

記事は「書類選考」だと思ってください

採用にたとえるとわかりやすいと思います。ホームページは、御社の履歴書です。お客様はもう、いきなり面接(問い合わせ)には来ません。まずAIに聞いて、書類選考をしてから連絡してきます。

ここで大事なのは、AIは調べて書いているのではなく、「思い出して」書いている場面が多いということです。履歴書に書いていないことは、面接官も知りようがありません。

もう少し正確に言うと、目指すのは「お客様の問いに、先回りして答えてある状態」です。履歴書という言い方だと自分側から見た比喩になりますが、読むのはお客様です。お客様が知りたい順に、答えが置いてある。それだけです。

生成AIの仕組みを図解した画像。なぜAIは会社情報を間違えるのかを示している
AIが会社情報を間違える仕組み。詳しくは生成AIが会社情報を間違える仕組みで3社を検証しています。

お金をかけずに、今日から手で直せることです。全部で10ありますが、効き目の大きい順に並べてあります。今日やるのは、上の3つだけで十分です。

読み方この10項目は、ぜんぶ「お客様の問い」に言い換えられます。そう読むと、なぜやるのかが一度で腹に落ちます。
  • 会社概要 = 「どんな会社?」/プロフィール = 「誰がやるの?」
  • 実績を数字で = 「本当にできるの?」/料金の目安 = 「いくら?」
  • お客様の声 = 「うちと同じような会社はいる?」/更新日 = 「まだやってる会社?」
  • 見出しを問いの形に・結論を先に・FAQ・alt = 「知りたいことに、すぐ辿り着ける?」

1会社概要を、そのページだけでわかる形に

正式名称・所在地・設立年・事業内容・従業員数。AIは会社概要ページを最優先で読みます。ここが無い会社が本当に多いです。

2代表者のプロフィールを載せる

実名・顔写真・経歴・資格・著書。誰が言っているのかが、そのまま信頼になります。

3「実績多数」をやめて、数字で書く

「創業107年」「支援◯社」「EC月商2.5倍」。抽象語はAIに引用されません。

実例をひとつ。当社は、AIに設立年を間違えられていました。これはコンサル会社として恥ずかしい話ですが、隠さず載せています。原因は単純で、会社概要ページに設立年を「そのページだけ見てわかる形」で書いていなかったからです。

自社の設立年月日についてAIに質問したときの回答画面。実際とは違う年が答えられている
当社自身の失敗です。書いていないことは、AIも答えられません(正確には、それらしい答えを作ってしまいます)。

残りの7つ(4〜10) ※すぐでなくて構いません

4サービス内容と料金の目安を書く

金額を出せない場合でも、範囲・進め方・期間は書けます。書いていないと比較対象に入りません。

5お客様の声を、実名か業種つきで

「A社様」より「愛知県の建材商社様」。具体になるほど引用されます。

6更新日を表示する

いつの情報かわからないページは、AIも人も採用しづらくなります。

7見出しを「質問の形」に近づける

「第2章」ではなく「◯◯とは何か」。AIは見出し単位で抜き書きします。

8結論を、各見出しの先頭に置く

前置きが長いと、抜き書きされるのは前置きのほうです。

9よくある質問(FAQ)を置く

質問と答えの形は、AIがそのまま使いやすい形です。

10画像に説明文(alt)を入れる

画像の中の文字はAIに読まれません。altに書いた事実だけが情報として伝わります。

「お客様が確かめたいこと」は、どう洗い出すか

ここが第一歩です。難しく考える必要はありません。答えは、もう社内にあります。

1営業がよく聞かれる質問

電話・商談で毎回同じことを聞かれていませんか。それが、お客様がいちばん知りたいことです。10個書き出してください。

2問い合わせメールを読み返す

直近20件で構いません。お客様が使っている言葉がそのまま入っています。専門用語に直さず、その言葉のまま使います。

3失注した理由

「高いから」ではなく「何がわからなかったか」。そこが、ページに書いていなかったことです。

この3つを紙に書き出せば、素材は揃います。あとはAIに渡すだけです。渡す素材がないままAIを使っても、当たりさわりのない文章が出てくるだけで、成果は出ません。

直したかどうかは、無料で確認できます

Googleの「リッチリザルトテスト」にURLを入れるだけです。ページの情報がAIや検索エンジンに正しく伝わる形になっているかを、無料で見られます。

Googleリッチリザルトテストの入力画面。テストするURLを入力する欄とURLをテストボタンが表示されている
① URLを入れるだけ
Googleリッチリザルトテストの結果画面。4件の有効なアイテムを検出しましたと表示され、記事・パンくずリスト・地域のお店やサービス・組織が検出されている
② 結果(当社サイトで実行した例

※ 検出される件数はページごとに違います。上は当社のページで実行した結果で、御社の結果とは異なります。

10のうち9つは、今日、手で直せます。手に負えないのは「量」だけです。

——「履歴書の清書」だけは、手作業では終わりません。ページが数十枚あれば数十枚ぶん、数百枚あれば数百枚ぶん、同じ作業が要ります。そこがAIの出番です。

ここだけ覚えてください10のうち9つは今日、手で直せます。手に負えないのは「量」だけです。

10章目★★ できれば

AIに仕事を渡す6つの手順と、やらせないこと3つ

先に、考え方をひとつ。AIに仕事を渡すというのは、「入れる」ことではなく「育てる」ことです。
たいへん優秀な新入社員が入っても、初日は自社のことを何も知りません。方針もお客様も手順も知らないので、指示があいまいだと動けません。——そこで「使えない」と決めてしまうのが、いちばんもったいないことです。
渡すのは3つだけです。触っていい範囲(権限)/会社のこと(記憶)/決まった手順(仕組み)。これを渡すと、最後まで終わらせるようになります。
伊勢通様も、①から②に変わるまでに1か月かかりました。育てる時間は、必ず要ります。
ただし、少しずつ比例して増えるわけではありません。
伊勢通様の場合は、こう伸びました。1か月目=何も渡していないので、一般的なことしか答えない。2か月目=会社のこと・方針を渡したら、自社の言葉で答えるようになった。触っていい範囲を決めたら、自分でページを直しはじめた。3か月目=決まった手順にしたら、全ページぶんを繰り返せるようになった。
渡した量が増えるほど、できることは急に伸びます。——最初の1か月が何も起きないように見えるのは、まだ渡した量が足りていないだけです。

最初の相談から、AIと一緒にやってください

「ここまで人、ここからAI」ではありません。伊勢通様の事例1を思い出してください。「新しい記事を書いて」に対して「書かないほうがいいです」と返ってきたのは、企画の段階です。AIは最初から入っていました。

3つに分けると、こうなります。

※ 表は横にスクロールできます

① 決める
人とAIで相談
② やる
AIが主役
③ 確かめる
人が主役
何を「うちのページ、お客様から見て何が足りませんか」と聞くところから同じ直しを全ページぶん繰り返す/文章を整える/抜けを洗い出す数字と固有名詞の裏取り/出す判断
なぜひとりで決めると、自分本位のままになる量が多すぎて、手作業では終わらない経営判断と責任は、人にしかできない
実際の量方針を決めるのは1回当社の支援先では528ページページごとに、ざっと見る
かかった時間記事1本で正味 約4時間半(やりとり18回)

ここが「質問」と「仕事」の分かれ目です。手順にすると、こうなります。

仕事の渡し方(6手順)

1誰向けの、何のためのものかを先に決めるこれを渡さないと、AIは「無難で誰にも刺さらないもの」を作ります
2自社の一次情報を渡す実績・数字・現場の話。渡した分しか、独自性は出ません
3触っていい範囲を決めるどこまで作業してよいか、何は必ず人が確認するかを最初に線引きする
4作らせる(初稿はここで出ます)この時点の出来は、期待しないでください
5評価軸を先に渡して、点数で出させる「良くして」ではなく「この7点で採点して、直して」と言う
6人が最終確認して、出す数字と固有名詞だけは、必ず人が裏を取る
AIが書いた記事を自社の評価軸で採点したら44点、7つの質問で94点になったことを示す図
実測です。AIの初稿は44点。7つの問いを重ねて94点になりました。正味の作業時間は約4時間半、やりとりは18回です。
ポイントは、良し悪しを感想で言わないことです。「もっと良くして」では、AIは何を直せばいいかわかりません。評価軸を先に渡すと、AIは自分で直せます。当社が使っている7つの問いと自己採点シートは、記事にそのまま公開しています。

技術的な作業も、外注せずに終わりました

「そこまでは無理でしょう」と思われる領域——サイトの技術設定(テクニカルSEO)についても、支援先ではご自身でやり切っています。

記事のアイキャッチ画像。テクニカルSEOは外注しないと無理?知らなかった会社がClaudeで1日でやり切った記録
テクニカルSEOは外注しないと無理?Claudeで1日でやり切った記録(2026年8月7日公開)
⚠ ただし、ここは自己判断で触ると危険な領域です。本番のサイトを壊すと売上が止まります。触っていい範囲を先に決める、戻せる状態にしてから触る——この2つだけは必ず守ってください。記事にも同じ注意を書いています。

やらせないこと、3つ

1数字を作らせない

AIは、それらしい数字を平気で書きます。数字は必ず人が出典から入れる。ここを守らないと、一度で信用を失います。

2最終判断をさせない

何を載せて何を載せないか、どこまで言い切るかは経営判断です。3回に1回は失敗する相手に、決めさせないでください。

3お客様の名前を勝手に出させない

実名の掲載は、必ず先に許可を取ってから。AIは気を利かせて書いてしまいます。


「もう、うちの担当者です」

伊勢通様の田邊さんが、3か月後におっしゃった言葉です。最初の1か月は「正直、めんどくさい」と言っていた、同じ方です。
変わったのはAIの性能ではなく、渡し方だけでした。——ここから先は、それを御社の社内でどう起こすかの話です。

11章目★ 必要になったら

社内が動かないときに、何を変えるか

ここは、記事にはあまり書かれないのに、実際にはいちばん多いつまずきです。社長が「使ってみて」と言っても、社内は動きません。

理由は、たいてい能力ややる気ではありません。「何に使えばいいのかわからない」からです。実際、中小企業が生成AIで止まる理由の1位は「具体的な活用場面がわからない」(35.6%・商工中金3,892社)でした。

1全員に広げない

まず1名・1業務だけ。当社の支援先も、担当は役員1名から始まっています。全員に配ると、全員が中途半端になります。

2「使ってみて」と言わない

渡すのは道具ではなく仕事です。「このページを、この基準で直して」まで具体化して渡してください。

3楽になったところを見せる

説得より、1人が楽になった実物のほうが早いです。伊勢通様も、役員である田邊さんご自身が変わってから社内に広がりました。

「情報漏洩が心配だから禁止」にしている場合

お気持ちはよくわかります。ただ、危ないのは生成AIそのものではなく、使い方のほうです。

実際、禁止したままだと、社員は個人のアカウントで使います。会社としては、そのほうが管理できません。禁止は、リスクをなくすのではなく、見えなくするだけです。

仕事で生成AIを使うことは、もう避けて通れないところまで来ています。次の3つを決めれば、多くの会社は運用できます。

決めること具体的に
① 使ってよいAIを1つ決める会社として契約したものだけ。個人アカウントの業務利用は禁止する
② 入力してよい情報を決める人の名前・取引先名・見積金額は伏せる。公開情報とホームページの原稿はOK
③ 学習に使わない契約にする有料の法人向けプランを選ぶ。設定画面で学習利用をオフにできる場合もある

※ この3つはA4半ページで書けます。「AI利用のルール」として社内に配るところから始めてください。

ここだけ覚えてください危ないから禁止する時代は、終わりました。危ないから、安全な使い方を教える時代です。

12章目★ 必要になったら

続け方——見る数字は3つだけ

始めるより、続けるほうが難しいと思います。毎日いろいろな数字を見ると、必ず途中で嫌になります。見るのは3つで十分です。

そして、この3つには共通点があります。どれも「お客様が決めている数字」です。順位のように自分でどうにかする数字ではなく、お客様が動いた結果だけを見ます。だからぶれません。

しかも3つは、選ばれるまでの3段階にそのまま対応しています。

1AIが自社をどう説明するか

=候補に入っているか
月に1回、同じ質問をして記録するだけ。ここで名前が出なければ、まだ土俵に乗っていません。

2社名で検索された数

=確かめに来た数
指名検索です。AIや検索で名前を知った人が、「どんな会社か」を確かめに来た回数。Search Consoleで見られます。

3問い合わせ数

=選ばれた数
いちばん大事な数字です。これが動かなければ、他がどれだけ良くても意味がありません。

※ ①が動かないうちに③を待っても、数字は動きません。①→②→③の順に効いてきます。見るのは月1回で十分です。

つまずいたときの、分かれ道

やってみて思うようにいかないときは、たいてい次の3つのどれかです。やめる前に、ここだけ確認してください。

※ 表は横にスクロールできます

症状よくある原因次にやること
2週間経ってもAIの答えが変わらない反映に時間がかかっているだけ。AIによって速さが違うあと1か月待つ。その間に他のページを直す(反映日数の実測
記事を出したのに順位が付かない公開直後の評価が定まっていない/タイトルが弱い1か月は触らない。そのあとタイトルだけ直す
AIの原稿が使いものにならない渡した情報が足りない/評価軸を渡していない自社の数字と実例を渡し、7つの問いで採点させる

なぜ、YouTubeの会社が生成AIの話をしているのか

ここまで読んでいただいたところで、当社のことも書いておきます。当社は動画・YouTubeの支援をしてきた会社です。「なぜAIの話を?」と思われるのが自然だと思います。

答えは単純で、やっていることが同じだからです。動画でずっと申し上げてきたのは「お客様が知りたいことを、お客様が探している場所に置く」でした。置く場所が動画からAIの回答に変わっただけで、中身は同じ「お客様目線」です。

1章目で「24時間働く営業マン」と書きました。もともとは、動画について申し上げてきた言葉です。AIに読まれる情報も、まったく同じ働き方をします。お客様が調べているあいだ、こちらが寝ていても説明してくれる。だから当社にとって、これは新しい商売ではなく、同じ仕事の続きです。

当社自身の、隠さない数字

ここまで偉そうに書いてきましたので、当社の実物もお見せします。1,170本作って、その約52%は伸びませんでした。量産の失敗も含めた記録です。

自社サイトの公開記事数を示すWordPress管理画面。公開記事が1,170本以上あることがわかる
公開記事1,170本以上(2026年6月時点)
Google Search Consoleの管理画面。直近16か月で検索表示回数341万回、クリック8.98万回を記録している
直近16か月で341万表示・8.98万クリック

※ 自慢ではなく失敗の記録です。量産して伸びなかったものを、自分で消しました。同じ道を通らなくて済むように書いています。


13章目★★★ まずここ

今日から30日の進め方(誰が・何を・何分)

ここまでを、実際の予定に落とします。1日あたり15分から30分。新しい人員も、新しいシステムも要りません。

先に、最初の1か月がきつい理由を書いておきます

自転車と同じです。乗れない人は「乗れたらいいな」とは思っても、実際にどう乗れているかのイメージは湧きません。練習中は「いつ乗れるようになるのか」と不安にもなります。

でも一度乗れてしまえば、別世界です。逆に、乗れている人はなぜ乗れなかったのかが分からなくなります。この30日は、その練習期間です。

そして——生成AIでできることは、たくさんあります。全部を使う必要はありません。スマホと同じです。最初は何をどうすればいいか分からなかったはずですが、いまは自分が使いたいことに合わせて使っているはずです。全機能を使っている人は、いません。この30日でやるのも、1つだけです。

30日のゴール数字ではありません。「頼んだことが、最後まで終わっていた」を一度体験すること——5段階の②です。そこまで来れば続きます。来ないと、続きません。

今日(0日目):3分だけ、AIに自社名を聞いてください

いちばん最初にやるのは、これだけです。直す前の状態を残しておかないと、変わったかどうかがわかりません。

そしてこれは、お客様とまったく同じ行動をとってみるということでもあります。3社の中に入っていなければ、33%ですらありません。0%です。だから、いちばん最初に測ります。

1ChatGPTに聞く

〇〇県の株式会社△△はどんな会社ですか
具体的な実績を教えてください

23点だけ見る

  • そもそも名前が出るか
  • 業種・所在地・実績が合っているか
  • 回答に出典のリンクが付いているか

3画面を保存する

印刷でもスクリーンショットでも構いません。30日後に同じ質問をするときの比較対象になります。

ChatGPTの回答画面。EC売上40倍の事例について、業種は建材商社と正しく答える一方、会社名は非公開と回答している
当社で実際にやった結果です。業種は正しく答えましたが、支援先の会社名は「非公開」でした(2026年8月1日)。
結果が思わしくなくても、落ち込まないでください。私の会社も、去年はAIに設立年を間違えられていました9章目に実際の画面を載せています)。名前が出ない・業種が違うのは、能力の問題ではなくホームページに「そのページだけ見てわかる形」で書いていないだけです。

最初の30日でやるのは、「土台づくり」だけです

この30日では、表に何も出ません。それでいいんです。

伊勢通様の5月と、同じ場所を通ります。ただし理由が違います。伊勢通様は間違ったことをやって何も起きませんでした。御社は正しい土台をつくっているから、まだ表に出ないだけです。——何も起きないのは、順番どおりにやっている証拠です。

※ 表は横にスクロールできます

時期やること誰が目安の時間
今日
(測る)
ChatGPTに自社名を聞き、3点を記録/画面を保存社長ご本人3分
1週目
(読み返す)
会社概要・実績・サービスの3ページを、初めて見る人のつもりで読み返す社長ご本人30分
2週目
(洗い出す)
「お客様が買う前に確かめること」を書き出す
料金の目安・対応できる範囲・納期・誰が担当するか
社長+担当1名1時間
3週目
(決める)
使ってよいAIを1つ/入力してよい情報/触っていい範囲(=権限
担当を1名決める。まずは無料版で構いません
社長+担当1名合計1時間
4週目
(渡すものを用意)
方針・お客様像・実績の数字を、毎回説明しなくていい形にまとめる(=記憶担当1名1日30分×5日

※ 2週目と4週目が、伊勢通様の「権限・記憶・仕組み」のうち、権限と記憶にあたります。仕組みは2か月目です。

最初から契約しなくて大丈夫です。私のおすすめは、まずClaudeの無料版を触ってみることです。
無料でも「日本語が自然か」「分からないことを、分からないと言うか」は分かります。私がClaudeを選んだ理由の中心はそこなので、無料で確かめられます。
ただし長い作業は、無料版だと途中で止まります。「3週目まではやれたのに、4週目でつまずいた」——そうなってから、有料に切り替えてください。先に払う必要はありません。
※ 無料でできる範囲は変わります(2026年8月時点)

道具は3つです。測るのはChatGPT(お客様がいちばん使っているから)。作るのはClaude(まず無料版で)。確かめるのはGoogle Search Console。——3つとも、最初は0円で足ります。

正直に、向き不向きも書いておきます。生成AIで加速するのは、一次情報を持っている会社です。自社の事例、実際の数字、現場の経験。これを渡せる会社ほど、差がつきます。
逆に発信をしてこなかった会社は、渡す素材が無いので成果が出にくいです。その場合は、AIを入れる前に「よく聞かれる質問を書き出す」ところからになります。順番を飛ばしても、うまくいきません。

「直すページが、そもそもありません」という方へ

そちらのほうが多数派です。そしてやることは同じです。違うのは、すでに書いてあるか、これから書くかだけです。

  • 1週目:読み返すページがなければ、お手本にする1ページを決める(同業他社のページで構いません)
  • 2か月目:「直す」ではなく「書く」。1ページ目は、AIと一緒に時間をかけてください

ページが少ないほうが、実は早く終わります。伊勢通様は528ページありました。10ページの会社なら、3か月もかかりません。ただしゼロから書くぶん、最初の1ページは重くなります。何を書くかは、業種別の表をご覧ください。

その先の2か月で、何が起きるか

※ 表は横にスクロールできます

時期やることこの時点で見えるもの
2か月目
(試す)
1ページ直す → 同じ直しを他ページへ広げる作業をAIに渡す(=仕組み「頼んだことが、最後まで終わっていた」
——ここが境目です
3か月目
(広げる)
残りのページへ。人が確認して公開AIの答えが変わる/表示回数・クリックが動く
90日後
(答え合わせ)
今日と同じ質問を、もう一度AIにする。Search Consoleの表示回数とクリックを見る保存した画面と、見比べる

難しいのは、決めることです。作業ではありません

伊勢通様は、既存ブログが約380本、直したページは528ページありました。以前なら、外注の見積もりが山のように出てくる量です。実際、伊勢通様もそうでした。

いまは、そこはAIがやります。担当は役員1名のままです。量は、もう問題になりません。

人に残るのは、3つだけです。

1何を載せるかを決める

お客様が買う前に確かめることは何か。——1回決めれば終わりです。

2数字と固有名詞を出す

実績・料金・年数。事実は、社内にしかありません。

3最後に確認して、出す

間違いがないかを見て、公開する。責任は人が持ちます。

この3つは、AIに渡せません。経営の判断と、責任だからです。逆に言えば、それ以外は全部渡せます。

そのうえで、最初の1か月だけは、しんどいと思います。作業がしんどいのではありません。表に何も出ないのに、続けることがしんどいのです。自転車の練習と同じです。

30日で「売上が上がる」とは申し上げません。AIの回答に反映されるまでには数週間から数か月かかります。30日で変わるのは「AIが自社を説明する内容」と、担当者の気持ちまでです。伊勢通様も、数字が動いたのは3か月目でした。順番を飛ばさないでください。
ここだけ覚えてください30日でやるのは「測る→読み返す→洗い出す→決める→渡すものを用意する」だけです。AIに渡すのは、そのあとです。順番が逆だと、渡す中身がありません。

ここまでを、一緒に3か月で回す場所もあります

ひとりで続けるのが難しいと感じられたら、月1回集まって、その場で手を動かす形の会もやっています(AI経営実践会・8社限定)。押し売りはしませんので、中身だけ見ていただければ十分です。

AI経営実践会の内容を見る

14章目★★ できれば

よくある質問(FAQ)

FAQ経営者の方からよくいただく質問をまとめました。
Q結局、何から始めればいいですか
ChatGPTに自社名を聞いて、名前が出るか・内容が合っているか・出典のリンクが付いているかの3点を見てください。3分で終わります。そのうえで、会社概要ページを「そのページだけ見てわかる文章」に直すところからです。ツールの導入も、費用も、その前には必要ありません。
Q生成AIは、月にいくらかかりますか
現状を測るだけなら無料です。仕事を渡すなら有料プランが前提で、1名分で月3,000円前後から始められます(ChatGPT Plus 3,000円/Claude Pro 月払い20ドル/Gemini AI Pro 2,900円。2026年8月7日に公式料金ページで確認)。参考までに、私自身はClaudeの上位プランに月220ドル払っており、他のAIには課金していません。仕事を渡す相手を1つに絞ったほうが、記憶も手順もたまるからです。ただし始める段階で同じ金額は必要ありません。
Q効果が出るまで、どれくらいかかりますか
30日で変わるのは「AIが自社をどう説明するか」までです。売上が動くのはそのあとで、支援先の建材商社では3か月目に数字が出ました。ただしAIの回答に反映されるまで数週間から数か月かかるため、始めた翌週に結果を求めないでください。
Q社員がAIを使ってくれません
「使ってみて」では動きません。渡すのは道具ではなく仕事です。全員に広げず、まず1名・1業務から始めて、その人が楽になったところを社内で見せる順番にしてください。当社の支援先も、担当は役員1名から始まっています。
Qうちの業種でも効果はありますか
業種によって「お客様が買う前に確かめたいこと」は違いますが、やることは同じです。卸・商社なら取扱商品ページ、製造業なら設備と対応できる材質、建設なら施工実績、士業なら代表プロフィールから直します。共通しているのは、お客様が確かめたいことをそのページに書く、という1点だけです。
Q情報漏洩が心配で、社内で使用を禁止しています
入力した内容を学習に使わない契約プランを選ぶ、人の名前や取引先名は入力前に伏せる、会社として使ってよいAIを1つ決める——この3つで多くの会社は運用できます。禁止のままだと社員が個人のアカウントで使う状態になりやすく、かえって管理できなくなります。
Q自分でやるのと、誰かに頼むのと、どちらがいいですか
続けるつもりがあるなら、自社でやれる状態にしたほうがいいと考えています。外注し続けないと維持できない状態は、結果として高くつくからです。当社の支援も、作業を代行するのではなく、使い方をお渡しして自社で回せるようにする形を基本にしています。
Q売上2.5倍というのは、どこまでが施策の効果ですか
季節要因やリピート購入も含まれるため、すべてが施策の効果とは言い切れません。ただし同じ期間に広告などの他の施策は行っておらず、売上の86.4%が自社サイト経由という計測結果が関連を裏づけています。1社の実績であり、同様の成果を保証するものではありません。
QAI経由のお客様はまだ1%程度と聞きました。今やる意味はありますか
13,770のサイトを調べた結果で全体の約1%というのは事実です。ただし1社の実測では、AI経由で来た人は100人中16人が買い、検索経由は100人中2人でした。加えて情報を整えてから反映されるまで数週間から数か月かかるため、増えてから始めたのでは間に合いません。
QAIに記事を書かせると、Googleからペナルティを受けませんか
Googleは作り方ではなく中身で評価すると公表しています。問題になるのは「検索順位のためだけに量産された、人の役に立たない内容」です。自社の一次情報を渡して作り、人が最終確認しているなら、AIを使ったこと自体は問題になりません。
QLLMO対策として、特別なファイルやタグを入れる必要はありますか
必要ありません。Googleは2026年5月の公式ガイドで「AI向けの新しいファイルやタグを作る必要はない」と明記しています。やるべきことは、そのページだけを見て何が書いてあるかわかる文章にすることです。

15章目★★ できれば

まとめ

  • 効率化ではなく、売上に使う。議事録やメールの補助は7割の会社がやっています。そこで差はつきません。
  • 実際に、売上は動きました。創業107年の建材商社で、ECの月商が前年同月比 約2.5倍、EC開設以来の最高額を更新。広告費ゼロ、担当は役員1名。ただし動いたのは3か月目です。
  • 特別な設定は要りません。Googleが2026年5月の公式ガイドで、やらなくていいことを名指ししました。要るのは「読んでわかる文章にする」ことだけです。
  • 30日でやるのは4つ。今日3分測る → 決める → 1ページ直す → AIに渡す。費用は1名分で月3,000円前後からです。

※ ここに書いた数字は2026年8月時点のものです。この分野は動きが速いため、定期的に見直して更新日を記載します。

16章目★ 必要になったら

記事マップ:目的別の全29本

必要になったときに開いてください。上から順に読む必要はありません。いま気になっている見出しを1つだけクリックしていただくのが、いちばん早いです。

迷ったら、この1本いま何も決まっていないなら、「AIで調べたら自社が出てこない?原因と最初にやる3つ」から読んでください。この記事の「30日の進め方」の0日目(3分チェック)の答え合わせになります。

A. まず、いまの状態を知る(5本)

※ 表は横にスクロールできます

B. 何が変わったのかを知る(6本)

こんなときに記事公開
前に試して「大したことない」と思った生成AIは2025年と今で別物です。何が変わり、売上2.5倍になったのか2026-08-08
お客様の探し方の変化を知りたいAIで「探し方」が変わった|ググらない時代の変化と3つの対策2026-07-30
アクセスが減るのが不安AIが答えると自社サイトのアクセスは減る?対策を解説2026-07-11
Googleの「AIによる概要」に載りたいGoogle「AIによる概要」に載る条件・消える理由と対策2026-07-17
「SEOはもう終わり」と聞いたSEOはもう終わり?(オワコン)AI時代に今も効く理由2026-07-14
この分野は本当に伸びるのかAI検索対策は意味ないのか|世界が賭けた2,850億円と、中小企業5社のアクセスデータ2026-08-10

C. 対策の全体像と、やる・やらないの線引き(3本)

こんなときに記事公開
用語と対策を一通り知りたい生成AI時代のSEO・AEO・GEO・LLMO対策|中小企業の始め方【2026】2026-05-30
うちの規模でどこまでやるか小さい会社でもAI対策は必要?中小がやる・後回しの線引き2026-07-12
AIに引用される書き方を知りたいAIに引用されるコンテンツの作り方|一次情報・構造化データ・E-E-A-T2026-07-07

D. 実例(他社は何をして、どうなったか)(2本)

こんなときに記事公開
中小企業の具体例が見たい生成AIに「仕事」を任せたら、ECの売上が過去最高に【中小企業の実例】2026-07-21
技術的な作業も自社でできるのかテクニカルSEOは外注しないと無理?Claudeで1日でやり切った記録2026-08-07

E. AIに記事・原稿を書かせる(6本)

F. 道具の準備(初めての方はここから)(4本)

こんなときに記事公開
登録と安全な設定から知りたい初心者向けClaudeの始め方|登録から会社で安全に使う設定2026-07-27
「仕事を渡せる」環境にしたいClaudeデスクトップ版とブラウザ版の違い|売上につなげるCowork設定2026-07-28
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エージェントに開発費が要るのかAIエージェントは開発しなくていい|中小企業は月3,000円台から始められます2026-08-12

G. 続けるために・社内に広げるために(3本)

こんなときに記事公開
実際の運用記録を全部見たい生成AIで記事制作|Claude協働の全記録と全記事リスト2026-06-26
支援側・士業としてどう使うかITコーディネータは生成AIをどう使う?ITCA研修講師が実務活用を解説2026-07-24
社内研修として実施したいClaudeで実践する、生成AI時代のSEO・LLMO対策(研修)2026-07-25

最後に、なぜ「コンサル」なのかを書いておきます。

正直に申し上げると、LLMOコンサルの中身の多くは、Claude自身がやってくれます。調査も、比較表づくりも、書き直しも。ここまで読んでいただければ、外注しなくていいことは伝わったと思います。
難しいのは、それを使い倒すことです。何を渡すか、どこまで任せるか、出てきたものをどう直すか。いま本当に必要なのは、「Claudeを”自社のLLMOコンサル”として使えるようにする手ほどき」だと考えています。当社がやっているのは、それです。

まずは現状を知るところから

AIは、あなたの会社をどう紹介していますか

自社名で聞いてみて、名前が出てこなかった・内容が違っていた——その場合に何をどう直せばよいかを、一緒に整理します。
ご自分で進められる方には手順をお渡しします。無理な営業はいたしません。

※ ITコーディネータ・酒井大輔が対応します。月1回みんなで手を動かす形をご希望の方はAI経営実践会(8社限定)もあります。

▶ 執筆者「YouTubeコンサルタント 酒井大輔」の詳しいプロフィールを見る