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PHPの脆弱性、何をすれば良い?社長の確認とClaudeへの聞き方
- WordPressの更新では直りません。直す必要があるのは、その土台のPHPです。
- 確認は5分ほどです。WordPressの「サイトヘルス」でPHPの番号を見るだけです。
- 分からなければClaudeに聞く。そのとき「最新の情報を調べて」と一言入れるのがコツです。
何が起きたのか|昨日から今朝までの公の動き
PHP(ピー・エイチ・ピー)は、ホームページの裏側で動いているプログラムの言葉です。WordPressもPHPで動いています。ニュースでは、PHPがウェブサイトの約7割で使われていると報じられました。
今回見つかった欠陥は2件です。深刻度の目安(CVSS)は、2件とも10点満点中9.2とされています。欠陥を突かれると、ログインしなくても外からサーバーを操られ、サイトの改ざんや情報の流出につながるおそれがあります。ニュースでは「php2shell」という呼び名でも紹介されています。
昨日から今朝までの公の動きを、時刻の順に並べました。
| 日時 | 出来事 |
|---|---|
| 10月21日 | PHPの開発元が「21日の夜に重大な修正版を出す」と予告。IPA(情報処理推進機構)も「事前準備のお願い」を出す(この時点で、IPAは悪用を確認していないとしています) |
| 10月21日 昼 | Cloudflareが、無料プランを含む利用者に防御を自動で適用したと報じられる |
| 10月21日 16時 | エックスサーバーが予防のため、管理画面などを一時停止したと報じられる(サイトの表示は続行) |
| 10月21日 22時前 | 高市首相が自身のXで「今夜に対応して頂きたい大至急のお願い」と呼びかけ |
| 10月21日 夜 | PHPの修正版が公開される(8.5.12/8.4.27/8.3.36/8.2.35) |
| 10月21日 23時〜 | さくらインターネットが、レンタルサーバーのPHPを更新する緊急メンテナンスを開始 |
| 10月22日 0時台 | ネットショップの基盤やゲーム、銀行、鉄道会社などのサービスが、予防のために一時停止したと報じられる |
出典:PHP公式サイト/IPA「事前準備のお願い」(2026年10月21日)/さくらインターネット 緊急メンテナンスのお知らせ/ITmedia NEWS(首相の投稿)/ITmedia NEWS(各社の対応)。修正版の公開時刻は報道によって幅があるため「21日の夜」としています。
国内の被害は?|10月22日朝の時点
大きな会社のサービスが止まったと聞くと、もう被害が出ているように感じます。報道を読むと、止めた理由は「念のため」です。修正が済むまで、扉を閉めておいたという判断です。
一方で、攻撃の動きがすでに始まっているという報告もあります。攻撃の観測は数時間から数日遅れて公表されるのが普通なので、「報告がない=被害がない」とまでは言えません。だからこそ、心配しすぎず、やるべき確認だけは今日のうちに済ませておく。それで十分だと私は考えています。
うちのサイトは対象?|見分け方
| 作り方 | 今回の対象か | 社長がやること |
|---|---|---|
| WordPress、EC-CUBE、Movable Type など | 対象(PHPで動いています) | PHPの番号を確認する |
| Wix、ペライチ、Jimdo、Shopify、BASE などの作成サービス | 運営会社が対応します | 基本的にありません |
| HTMLだけで作ったサイト | 基本は対象外 | 問い合わせフォームだけPHPのことがあるので、制作会社に確認する |
「うちはWordPressだったかな?」と分からないことも多いと思います。実際に今朝、お客様から同じ質問をいただきました。URLを教えていただき外から調べたところ、WordPressではありませんでした。ただ、お問い合わせフォームとお知らせのページはPHPで動いていたので、制作会社に修正の状況を聞いていただくようお伝えしました。
自分で確かめるなら、サイトのURLの後ろに「/wp-admin」を付けて開いてみてください。WordPressのログイン画面が出れば、WordPressのサイトです。Claudeに「このサイトはWordPressで作られていますか?」とURLを渡して聞く方法もあります。
社長がやることは3つ|自社サイトで実際にやった時刻
私の会社のホームページ(ytbs.jp)は、さくらインターネットのレンタルサーバーでWordPressを使っています。私自身、昨夜はニュースで知ったばかりで、最初にやったのは、Claudeに「PHPのセキュリティって何ですか?」と聞くことでした。そこから先の流れが下の表です。
| 時刻 | やったこと | 3つのうち |
|---|---|---|
| 0時31分 | Claudeに「PHPのセキュリティって何ですか?」と質問。公の情報を調べて整理してもらう | — |
| 0時35分 | 自社サイトのPHPの番号を確認。修正前の版だと分かる | ①確認 |
| 0時48分〜1時29分 | データベースとファイル一式のバックアップを取り、サーバーの外(Google Drive)に保存 | ②バックアップ |
| 8時38分 | PHPが修正版の番号に変わったことを確認。管理者アカウントが増えていないことも確認 | ③見届け |
私の環境では、Claudeがブラウザを操作できるようにしているので、管理画面の確認やバックアップもClaudeに任せました。ただ、そこまでしなくても大丈夫です。画面を見て、番号を読むだけで確認はできます。
①確認:PHPの番号を見る
WordPressの管理画面で「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」→「サーバー」の順に開くと、「PHP バージョン」という欄があります。ここの番号が、下のいずれか以上なら修正済みです。
| 系列 | 修正済みの番号 |
|---|---|
| 8.5系 | 8.5.12 以上 |
| 8.4系 | 8.4.27 以上 |
| 8.3系 | 8.3.36 以上 |
| 8.2系 | 8.2.35 以上 |
| 8.1以前 | 公式の修正版は出ません。8.3などへの切り替えが必要です |
出典:PHP公式サイト(2026年10月21日のセキュリティ情報)
②バックアップ:サーバーの外に置く
修正が済むまでの間に何かあっても戻せるように、バックアップを取っておきます。大事なのは、サーバーの外に置くことです。同じサーバーの中にあるバックアップは、サーバーごと被害を受けると一緒に使えなくなるおそれがあります。WordPressのバックアップ用プラグインには、Google Driveなどへ自動で送れるものがあります。
③見届け:修正版の番号になったか確かめる
サーバー会社の作業が終わると、PHPの番号が修正版に変わります。私のサイトは、翌朝には修正版になっていました。番号が変わっていなければ、サーバー会社のお知らせで作業の予定を確認します。あわせて、WordPressの「ユーザー」の一覧に、見覚えのない管理者が増えていないかも見ておくと安心です。
分からなければClaudeに聞く|そのまま使える聞き方
今回のようなニュースは、専門用語が多くて、読めば読むほど不安になりがちです。私がやったのは、自分で全部を理解しようとせず、Claudeに「うちの場合は何をすれば良いか」を整理してもらうことでした。社長の代わりに調べて、要点をまとめてくれる相手がいるだけで、落ち着いて動けます。
そのまま使える聞き方を2つ紹介します。
聞き方1:何をすれば良いかを聞く
「PHPに重大な脆弱性が出たと聞きました。最新の情報を調べて、うちのWordPressサイトで何を確認すればよいか、初心者向けに手順を教えてください。」
聞き方2:画面を貼って判定してもらう
サイトヘルスの「サーバー」の画面を貼り付けて、「この画面のPHPのバージョンは、今回の脆弱性の修正済みか判定して」と聞きます。
「最新の情報を調べて」の一言が要る理由
生成AIは、ある時点までの情報で学んでいます。何も言わずに聞くと、今回のような昨日の出来事を知らない前提で、一般的な答えを返すことがあります。「最新の情報を調べて」と入れると、Claudeがウェブで今の情報を調べたうえで答えてくれます。答えの最後に出典が付いていれば、念のため開いて確かめると安心です。
貼り付けてはいけないもの
パスワードやログインの情報は、AIに貼り付けないでください。PHPの番号を判定するのに、パスワードは必要ありません。生成AIに渡さないほうがいい情報は、生成AIに入力してはいけない情報の記事にまとめています。
お客様にはこう伝えました
自社サイトの確認が済んだあと、支援しているお客様に連絡しました。伝えたのは、何が起きたか、WordPressの更新では直らないこと、レンタルサーバーならサーバー会社が直すこと、そして確認の目安です。
なかでも大事にしたのが、次の一文です。
今回のような「よく分からないけれど急ぎ」の場面こそ、生成AIの出番です。Claudeをお使いの方は、次のように聞いてみてください。
「PHPに重大な脆弱性が出たと聞きました。最新の情報を調べて、うちのWordPressサイトで何を確認すればよいか、初心者向けに手順を教えてください。」
私が全部を説明するより、お客様が自分の手で確かめられるほうが、次に同じようなことが起きたときに強いと考えたからです。私がお客様に伝え続けているのは、AIに仕事を丸投げすることではありません。分からないことを、その場で調べて整理できる相手を持つことです。
慌ててやらなくていいこと
- サーバーの設定(php.ini など)を自分でいじる。応急の設定はありますが、効くのは一部だけだとPHP公式も書いています。慣れていない人が触ると、別の不具合の元になります。
- WordPressのプラグインを入れ替える。今回の欠陥はPHPそのものにあるので、プラグインでは直りません。
- サーバー会社の管理画面が開けなくて焦る。10月22日の昼の時点で、私はさくらインターネットにも、ロリポップにも管理画面に入れていません。ロリポップは、修正版が出る前から予防のためにユーザー専用ページなどを止めていると告知しています。さくらは、レンタルサーバーのPHPの更新を22日の朝に終えたと報じられています。管理画面に入れないのは、予防の停止や、多くの人が一斉に確認していることによるもので、それだけでサイトが危ないという意味ではありません。サイトが表示されていれば、時間をおいてからで大丈夫です。
- 自社のサイトが一時的に表示されなくて焦る。10月22日の朝から、一部のレンタルサーバーで「502 Bad Gateway」と表示され、サイトが見られない状態が報告されています。サーバー会社の作業や予防のための停止と重なっていて、攻撃による被害だという報告は、私が調べた範囲では見当たりません。自分で設定を変えると原因が分かりにくくなるので、サーバー会社の障害情報を見て復旧を待ちましょう。復旧したら、トップページ、問い合わせフォーム、管理画面が動くかを確かめます。
これからの備え
- 自社のホームページが何で作られ、誰が管理しているかを知っておく。WordPressか、どのサーバー会社か、制作会社はどこか。ここが分かっていれば、今回の確認はすぐ終わります。
- バックアップをサーバーの外に自動で置く。週1回など、決まった間隔で取れる設定にしておくと安心です。
- 「困ったら聞く相手」を決めておく。制作会社やサーバー会社の連絡先に加えて、Claudeのような生成AIを1つ使い慣れておくと、夜中でも状況を整理できます。
「入られる前提」で考える|ゼロトラストとパスキー
正直にお伝えすると、今回の欠陥はログインしなくても突かれるものなので、パスワードを強くしたり、パスキーにしたりしても、それだけでは防げません。ただ、今回のことで見えてきたのは、「鍵をしっかりかければ中は安全」という考え方には限りがある、ということです。
私はよく、ホテルに例えてお話ししています。今までの対策は「家」の発想で、玄関の鍵を増やせば中は安全という前提でした。これからは「ホテルの部屋」の発想です。建物の設備に欠陥があれば、自分の部屋でも安全とは言い切れません。だから本当に大事なものは金庫に入れておく。今回でいえば、サーバーの外に置いたバックアップがその金庫にあたります。
この「入られる前提で守る」考え方をゼロトラストと呼びます。中小企業がすぐに全部を整えるのは難しいので、私は「まずはパスキーから」とお伝えしています。メールやサーバー会社、WordPressの管理画面など、ログインする場所のうちパスキーに対応しているものから切り替えておくと、パスワードが盗まれて被害が広がる心配を減らせます(WordPressは、パスキーに対応させるプラグインを使います)。詳しくは中小企業のセキュリティ対策|生成AI時代はゼロトラストにまとめています。
「分からないときに聞ける相手」を、社内に持ちませんか
今回のような急な場面でも、Claudeに聞き方ひとつで状況を整理できます。日々の仕事でClaudeをどう使えば良いか、中小企業の実務に合わせてお伝えしています。
※ ITコーディネータ・酒井大輔が対応します。
よくある質問(FAQ)
Q何から始めればいいですか?+
Q費用はかかりますか?+
QWordPressを最新にすれば大丈夫ですか?+
QWixやShopifyで作ったサイトはどうすればいいですか?+
QPHPが8.1以前だったらどうすればいいですか?+
Qもう攻撃されていないか心配です+
QClaudeを使っていなくても同じ聞き方でいいですか?+
まとめ
- PHPの重大な欠陥2件に対して、修正版が10月21日の夜に公開されました。
- レンタルサーバーなら、PHPを直すのはサーバー会社です。WordPressの更新では直りません。
- 社長がやるのは、確認・バックアップ・見届けの3つです。
- 分からなければClaudeに「最新の情報を調べて」と添えて聞けば、うちの場合の手順を整理してくれます。
- 次に備えて、自社サイトが何で作られ誰が管理しているかを把握しておきましょう。




















