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AX#AIトランスフォーメーション#中小企業#松尾研

AXとは|DXとの違いと5段階、中小企業がまずAX2まで進む方法

定義は東京大学 松尾・岩澤研究室の資料(2026年6月)当社と支援先の実例つき2026年11月時点

著者:酒井大輔(ITコーディネータ) | 公開日:2026年11月3日 | 読了目安:約12分

この記事の要点「AX」という言葉を、ここ1年でよく見かけるようになりました。当社がGoogleのキーワードプランナーで調べると、「ax とは」の月間検索数は直近12か月で約6倍に増えています。AXとは何か、DXと何が違うのか、中小企業はどこまでやればいいのか。東京大学 松尾・岩澤研究室の5段階をものさしに、当社と支援先が実際にどこまで進めたかを、表と図で書きます。
📌 30秒まとめAX(AIトランスフォーメーション)とは、AIの活用を前提として、業務や組織のあり方を見直すことです。東京大学 松尾・岩澤研究室は、AXをAX1〜AX5の5段階に分けています。
  • 中小企業の目安 松尾研の資料では、少なくともAX2(社内のデータをAIにつなぐ)までは全企業が進める必要があるとされています。
  • 多くの会社はAX1 中小企業で生成AIを業務に使っているのは32.4%で、使い道は文章の作成・要約・校正が一番多い(帝国データバンク・2026年3月調査)。
  • 自動化はAX2から AX2では、AIエージェントが社内の材料と数字を自分で取りに行き、手順を続けて進めます。DXとの違いは「デジタルにする」か「AIがある前提で組み直す」かです。
  • AX2は開発なしで進められる 当社はClaudeの有料プラン1本、支援先の伊勢通はAIの利用料 月約2万円で、社内の材料をAIに渡す形を作りました。

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表1:AXの5段階の早見表(東京大学 松尾・岩澤研究室の資料をもとに当社で作成)
段階名前やること
AX1生成AI導入生成AIの社員利用、社内ルール策定
AX2データ連携統合社内データをAIに接続、RAG等を使いエージェント化(社内の資料をAIに読ませ、続けて仕事を任せる)
AX3業務プロセス刷新AIを前提とした業務プロセスに刷新
AX4独自AI開発自社固有のAIを開発
AX5高度AI開発業界ごとの基盤モデル構築など、サプライチェーンも含めた横展開
酒井大輔 ユーチューブビジネスサポート代表 ITコーディネータ

この記事の著者

酒井 大輔(Sakai Daisuke)|ユーチューブビジネスサポート 代表・ITコーディネータ

2008年からYouTubeで中小企業100社以上の集客・採用を支援しています。いまはそれに加えて、Claudeを経営に取り入れ、効率化だけでなくAIで売上をつくるコンサルティングをしています。著書3冊(3冊目は2026年12月9日発売)。

東京都中小企業振興公社 登録専門家(No.1738)ITC中部 理事ITCA公式研修 講師ABEMA Prime 出演(2026年10月)

新刊書籍『平均再生50回でも売り上げ1億円 小さな会社のYouTube活用術』の表紙。酒井大輔 著、フォレスト出版、2026年12月9日発売

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AXとは(AIトランスフォーメーション)

📌 このセクションの要点AXは「AI Transformation」の略で、AIを使える前提で仕事のやり方そのものを見直すことです。AIの道具を入れることではありません。

AXとは何ですか

AX(エーエックス)とは、AI Transformation(AIトランスフォーメーション)の略です。東京大学 松尾・岩澤研究室は、AXを「AIの活用を前提として業務や組織のあり方を見直す」ことと説明しています(PR TIMES 2026年8月14日)。5段階は、内閣官房 日本成長戦略会議の資料(第6回 資料3-5・2026年6月30日)に載っています。

大事なのは「前提として」の部分です。今のやり方はそのままで、AIを便利な道具として足すのは、まだAXの入口です。新幹線ができたら東京への出張が日帰りの前提になったように、AIがある前提で仕事の順番や役割を組み直すのがAXです。当社が支援先でいつもお伝えしているのも、この、足し算ではなく前提を入れ替えるという考え方です。

なお、検索すると「11ax」というWi-Fiの規格も出てきますが、これは別の言葉です。この記事のAXは、会社の仕事の見直しの話です。

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表2:AXという言葉の整理
項目内容
正式名AI Transformation(AIトランスフォーメーション)
読み方エーエックス
意味AIの活用を前提として業務や組織のあり方を見直すこと(松尾研の説明)
よく似た言葉DX(デジタルトランスフォーメーション)=AXの土台になる
別の意味のAXWi-Fiの規格「IEEE 802.11ax」など=この記事とは無関係

AXの5段階(AX1〜AX5)

📌 このセクションの要点松尾研はAXをAX1〜AX5に分け、少なくともAX2までは全企業が進める必要があるとしています。AX4・AX5は大企業や業界単位の話です。

松尾研の資料では、AXを次の5段階で整理しています。表記は「AX1」のようにハイフンなしです。中小企業に向けた列は、資料の「企業規模ごとの意義」をもとに当社がまとめました。

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表3:AXの5段階と、中小企業にとっての意味(松尾研の資料をもとに当社で作成)
段階中身中小企業での具体例(当社の考え)中小企業がやるか
AX1 生成AI導入生成AIの社員利用・社内ルール策定社員がChatGPTやClaudeでメール・議事録・要約を作る。入れてよい情報のルールを決めるやる
AX2 データ連携統合社内データをAIに接続・RAG等でエージェント化会議の録音・過去の資料・自社サイトの文章・検索の数字をAIに渡して使うやる(ここまでは全企業)
AX3 業務プロセス刷新AIを前提とした業務プロセスに刷新記事づくりやサイトの直しを「AIが作り、人が確かめる」流れに組み替えるできる所から
AX4 独自AI開発自社固有のAIを開発自社だけのAIモデルを作るまず目指さない
AX5 高度AI開発業界の基盤モデル・サプライチェーンへの横展開業界全体で使うAIの基盤を作るまず目指さない

図1:AXの5段階と、中小企業がまず目指す所(松尾研の資料をもとに当社で作図)

AXの5段階を階段で示した図。AX1生成AI導入、AX2データ連携統合、AX3業務プロセス刷新、AX4独自AI開発、AX5高度AI開発。少なくともAX2までは全企業が進める必要があるとされ、中小企業はAX2までが目安AX1生成AI導入AX2データ連携統合AX3業務プロセス刷新AX4独自AI開発AX5高度AI開発ここまでは全企業(松尾研の資料)

資料には「AXの5段階において、少なくともAX2までは全企業が進めることが必要」と書かれています(資料3-5)。これは松尾研が示している方向性で、国がすべての企業に義務付けている制度ではありません。中堅・中小企業にとっての意義は、最低限の業務効率化と、自社固有のデータの利活用と整理されています。つまり中小企業の目標は、独自のAIを作ることではなく、自社のデータをAIに渡して使えるようになることです。

AX2の「エージェント化」とは(AIエージェントと自動化)

松尾研の資料は、AX2を「社内データをAIに接続、RAG等を使いエージェント化」と書いています。言葉が難しいので、言い換えます。RAG(ラグ)は、AIが答える前に社内の資料を探して読む仕組みです。AIエージェントは、指示を1回出すと、AIが自分で調べ、いくつもの手順を続けて実行し、結果を返す使い方です。

つまりAX1とAX2の違いは、「人が1問ずつ聞いて、AIが1回ずつ答える」か、「AIが会社の材料と数字を自分で取りに行き、手順を続けて進める」かです。自動化が本格的に始まるのは、AX2からです。ただし、RAGとエージェントは別の仕組みです。エージェントを使っているだけではAX2とは言えず、社内のデータとつながり、実際の業務で使えていることが条件です。

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表4:チャットで聞く(AX1)と、エージェントに任せる(AX2)の違い(当社の整理)
比べることチャットで聞く(AX1)エージェントに任せる(AX2)
頼み方1問ずつ質問する「何をしたいか」を1回伝える
AIが見る材料その場で貼った文だけ社内の資料・録音・サイトの文章・検索の数字
動く回数1回答えて終わり調べる→まとめる→書く、を続けて進める
人の役目毎回、次の質問を考えるゴールを決め、最後に確かめる
当社の例「AXとは何か」を聞く「先週の検索の数字から、直す記事を挙げて」と頼むと、Claudeが Search Console の数字を取りに行き、表にまとめる

ただし、任せきりにはしません。当社では、AIを「優秀だけれど、うちの会社を知らない新入社員」として扱い、渡す権限と材料を決め、最後は人が確かめます。

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AXとDXの違い

📌 このセクションの要点DXは「デジタルにする」、AXは「AIがある前提で組み直す」。DXで整えたデータが、AXでAIに渡す材料になります。

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表5:DXとAXの違い(当社の整理)
比べることDX(デジタルトランスフォーメーション)AX(AIトランスフォーメーション)
主役デジタルの道具(クラウド・システム・データ)AI(文章を読み、考え、作る)
やること紙や手作業をデジタルにして、業務や事業を変えるAIが使える前提で、仕事の順番や人の役割を見直す
判断するのは人AIが下書き・提案し、人が確かめて決める
データの役割集めて見えるようにするAIに渡して使わせる
関係AXの土台DXの次の段階

DXが進んでいない会社でも、AXは始められます。生成AIは日本語で頼めるので、プログラムの知識がなくても使えるからです。ただ、AX2で「社内データをAIに接続」するとき、データが紙のままだと渡せません。録音を残す、資料をファイルで残す、といったDXの土台が、AX2の進みやすさを決めます。DXとAXは、片方が終わってから次に進む、きっちり分かれた順番ではなく、重なりながら進むものです。DXの言葉の整理は「Webマーケとデジマケの違い」にも書いています。

同じ仕事で比べると:ブログ記事を1本書く場合

言葉だけだと違いが分かりにくいので、同じ仕事で比べます。当社が毎日している「ブログ記事を1本書く」仕事を、DXからAX3まで並べました。

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表6:ブログ記事を1本書くときの、DX・AX1・AX2・AX3の違い(当社の仕事で整理)
段階人がやることAIがやることできあがる記事
DXWordで書き、WordPressで公開する(使わない)速くはなるが、書く手間は同じ
AX1「◯◯の記事を書いて」とAIに頼み、直す一般的な下書きを書くどこの会社でも書ける内容になりやすい
AX2セミナーの録音・過去の資料・検索の数字を渡す会社の材料と数字を読んで、下書きを書く自社の言葉と実例が入る
AX3ゴールを決め、最後に確かめる検索される言葉の調査→設計→下書き→公開の設定まで続けて進める当社では下書きが約15分→約5分(当社実測)

AIを新入社員にたとえると、さらに分かりやすくなります。

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表7:AIを新入社員にたとえた、AX1・AX2・AX3の違い
段階新入社員にたとえると
AX1会社のことを何も知らない新人に、その場で質問している
AX2会社の資料と過去の記録を渡し、自分で調べて動けるようにした
AX3仕事の流れの中に新人の持ち場を作り、任せて、最後に先輩が確かめる

なぜ今AXなのか

📌 このセクションの要点2026年に、国の会議の資料にAXの5段階が載り、中小企業向けの伴走支援の事業も始まりました。検索も急に増えています。

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表8:AXをめぐる2026年の主な動き
時期出来事
2026年1〜2月Anthropicが「Claude Cowork」の試験版を公開(1月12日)。2月の初めの2日間で、ソフトウェア会社の株が約2,850億ドル分下がり、そのきっかけとされた(CNBC・Bloomberg報道)
2026年6月30日松尾研の「AXの5段階」が、内閣官房 日本成長戦略会議の資料に載る
2026年8月14日松尾研が「AXエバンジェリスト講座」の開講を発表(全7回・無料)
令和8年度(2026年度)中小企業AX実装ネットワーク(伴走支援の実証事業)が始まる予定
2026年10月31日取得「ax とは」の直近月の月間検索数が約9,900回(当社がキーワードプランナーで調べた値)

松尾研は、AXを進めることで実質GDP成長率を最大で年1.6%ポイント押し上げられる可能性がある、と試算しています(資料3-5)。国の会議の資料に、中小企業も含めて進める段階が示されたことで、AXは大企業だけの話ではなくなりました。

中小企業向けの施策も出ています。中小企業庁の資料(内閣官房 AX会議 第1回 資料4・2026年10月21日)によると、中小企業AX実装ネットワークは、令和8年度に100社程度、令和9年度に1,000社への伴走支援を行う予定で、中小企業200万社にガイドラインを周知して、3年間で官民1万人の伴走支援者を育て、40万社への伴走支援を目指すとしています(AX会議 第1回 資料4)。

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表9:中小企業AX実装ネットワークの目標(中小企業庁の資料・内閣官房 AX会議 第1回 資料4より)
項目目標
令和8年度(実証)100社程度に伴走支援(20社×5か所程度)
令和9年度1,000社に伴走支援(20社×50か所)
周知中小企業200万社にガイドラインを周知
人を育てる3年間で官民1万人の伴走支援者
伴走支援40万社を目指す

当社が調べた検索の数字も、関心の高まりを示しています。

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表10:「AX」に関する言葉の月間検索数(Googleキーワードプランナー・日本・2026年10月31日に当社で取得)
検索される言葉月平均(12か月)直近の動き
ax とは5,40012か月で約1,600→約9,900
ax エバンジェリスト320直近2か月で急に増えた
ax dx 違い170約50→約390
ax ai140約90→約170

※「ax とは」の検索数には、Wi-Fiの規格「11ax」を調べる人も含まれている可能性があります。すべてがAIトランスフォーメーションへの関心とは限りません。

ここから後半です残りは3つです。①中小企業はいま、どの段階にいるか(調査の数字と自己チェック)、②当社と伊勢通は、どこまで進めたか(実例)、③AX1からAX2へ進む4つの手順。お急ぎなら③だけでも読めます。

中小企業はいま、どの段階にいるか

📌 このセクションの要点中小企業で生成AIを業務に使っているのは32.4%。使い道は文章の作成・要約が多く、多くの会社はAX1の途中です。

帝国データバンクの「生成AIに関する企業の動向調査」(2026年3月調査・有効回答10,312社・2026年5月14日公表)では、生成AIを業務で活用している企業は全体で34.5%、中小企業は32.4%でした。

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表11:生成AIを業務で活用している企業の割合(帝国データバンク・2026年3月調査)
企業の規模活用している割合
大企業46.5%
中小企業32.4%
小規模企業28.0%
全体34.5%

同じ調査で、生成AIを活用している企業3,560社に「主にどのような業務で活用しているか」を聞いた答えは、次のとおりです。

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表12:生成AIを活用している業務(活用企業3,560社への設問・帝国データバンク)と、AXの段階(当社の見立て)
業務割合AXの段階(当社の見立て)
文章の作成・要約・校正45.1%AX1
情報収集21.8%AX1
企画立案時のアイデア出し11.0%AX1
データの集計・分析7.4%AX1〜AX2
コード生成などのプログラミング支援5.9%AX1〜AX2

帝国データバンクは、生成AIは現時点では業務判断の代替というより、判断の手前にある業務の補助として使われている、とまとめています(帝国データバンク)。当社の見立てでは、使っている会社の多くも、まだAX1の中にいます。自社のデータをAIに渡すAX2まで進んでいる会社は、まだ少ないと考えています。

自社がどの段階かを確かめる

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表13:自社のAXの段階を確かめる質問(当社の考え)
質問「はい」なら
社員が仕事で生成AIを使っているAX1に入っている
入れてよい情報・学習の設定など、社内ルールがあるAX1ができている
会議の録音・過去の資料・自社サイトの文章を、毎回AIに渡しているAX2に入っている
検索や売上の数字を、AIが自分で取りに行けるAX2が進んでいる
仕事の順番を「AIが作り、人が確かめる」形に組み替えた業務があるAX3の入口にいる

当社と伊勢通は、どこまで進めたか

📌 このセクションの要点当社も支援先の伊勢通も、システム開発はせずにAX2まで進め、外注していた仕事を社内とAIに移してAX3の入口にいます(当社の見立て)。

図2:当社と伊勢通は、5段階のどこにいるか(当社の見立て)

5段階の横棒に、当社と株式会社伊勢通の位置を示した図。どちらもAX2を進めながらAX3の入口にいる、という当社の見立て。松尾研の認定ではないAX1AX2AX3AX4AX5当社(AX2〜AX3の入口)伊勢通(AX2で数字が動いた)※当社の見立てです。松尾研が認定したものではありません。

当社(ユーチューブビジネスサポート)の場合

当社が使っている生成AIはClaude(Cowork)で、有料プランは1本です(Ultra・月200ドル(税抜)・請求は220ドル・2026年10月時点。金額やプランは変わることがあります)。AX2にあたるのは、社内の材料と数字をClaudeに渡していることです。Search Console・GA4・Googleキーワードプランナー・YouTubeの数字を、API(サービスどうしをつなぐ窓口)でClaudeが自分で取りに行けるようにしています。

セミナー資料「今日から渡せる材料は、この5つです」。①会議の録音②商談の録音③自分が喋った録画④過去の資料⑤自社サイトの文章。新しく作る必要はなく、すでに社内にあるものをそのまま渡す
当社のセミナー資料。AX2の入口は、すでに社内にある材料をAIに渡すこと

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表14:当社のAXの実例(当社の記録より)
段階やったこと結果
AX1課金する生成AIをClaude 1本に絞り、学習の設定とルールを決めた税抜 月200ドル(請求220ドル)のプラン1本で全業務を回す
AX2Search Console・GA4・キーワードプランナー・YouTubeの数字をAPIでClaudeにつないだ数字を見てから直す流れになった
AX2YouTubeの動画1,111本の題名・説明欄を、Claudeで書き換えた2026年9月27日〜10月4日の8日間で保存
AX3の入口記事づくりを「Claudeが下書き、人が確かめる」流れに組み替えた1記事の下書きが約15分→約5分(当社実測)
AX3の入口まとめ役のチャットが、担当のチャットに仕事を振る形にした2026年10月は起動したチャット103本・「生成AIとIT」の公開記事18本
セミナー資料「エージェントは『入れる』ではなく『育てる』です」。優秀な新入社員とAIエージェントを、入ってきた日・育てると・やってはいけない、の3つで比べた表。渡すのは権限・記憶・仕組みの3つだけ
当社のセミナー資料。AIは優秀な新入社員と同じで、会社のことを教えて育てる

AX2で一番効いたのは、AIを「何でも知っている先生」ではなく「優秀だけれど、うちの会社を知らない新入社員」として扱ったことです。会社の材料を渡さずに質問だけすると、どこの会社にも当てはまる答えしか返ってきません。

株式会社伊勢通(建材商社)の場合

支援先の株式会社伊勢通は、建材商社で、YouTube活用により立ち上げ期の関連部門売上が前年比40倍になった会社です。2026年にはClaudeを使って、ネットショップのホームページを社内で直しました。この取り組みで、ITCA表彰2026の優秀賞(社内変革賞)を受けています。

お客様事例・建材商社 株式会社伊勢通×Claude。「仕事」を渡したら、EC月商が開設以来の最高額に。ITCA表彰2026 優秀賞(社内変革賞)受賞
伊勢通の事例(詳しくは事例の記事に)

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表15:伊勢通のAXの実例(株式会社伊勢通のニュースリリース・2026年10月より)
項目内容
作業の期間2026年7〜8月の約2か月
直したものサイト全体 約730ページに共通の直し、商品ページ43本は1本ずつ
担当者の作業週10〜20時間
AIの利用料月約2万円(ドル払い・為替で変動)
外部への支払いホームページを直す作業にはなし
ネットショップの売上7月は前年同月の約2.5倍(2019年の開店以来の最高)、1〜7月の累計は前年同期の約1.4倍

伊勢通で数字が動いたのは、AX1からAX2に進んだときでした。当社の記事「生成AIが社内に定着しない理由」に、担当役員の方がたどった気持ちの順を掲載の許可をいただいて書いています。それをAXの段階に重ねると、次のとおりです(AXの段階は当社の見立て)。

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表16:伊勢通の担当役員がたどった順と、AXの段階(当社の見立て)
時期起きたことAXの段階(当社の見立て)
2026年5月(1か月目)めんどくさい:聞いても、結局じぶんでやるAX1(AIに質問して答えをもらう)
2026年6月(2か月目)驚き:頼んだことが、最後まで終わっていたAX2の入口(会社の材料を渡して、続けて任せる)
2026年7月楽しさ・確信:ネットショップの売上が前年同月の約2.5倍AX2
いまパートナー:次に何を渡すかを、自分で考えるAX2〜AX3の入口

1か月目は、AIに聞いても結局じぶんでやる「めんどくさい」時期でした。AIを道具として足しただけのAX1です。変わったのは、会社の材料を渡して、頼んだことが最後まで終わるようになってから、つまりAX2に進んでからです。その後、ホームページを直す仕事を外注から社内の担当者とAIの組み合わせに変えたので、いまはAX3の入口にいると当社は見ています。これは当社の見立てで、松尾研が認定したものではありません。詳しくは「Claude活用事例|建材商社 伊勢通」に書いています。

AX1からAX2へ進む4つの手順

📌 このセクションの要点ルールを決める→材料を集める→1つの業務で毎回渡す→時間を測る。新しいシステムは要りません。

1ルールを決める(AX1)

使うAIを決め、入れてよい情報と学習の設定を決めます。設定は「Claudeに学習させない設定」に書いています。

2材料を集める

会議・商談の録音、過去の資料、自社サイトの文章など、すでに社内にあるものを集めます。新しく作る必要はありません。

31つの業務で毎回渡す(AX2)

ブログ記事・見積もり・採用の文章など、1つの業務を決め、毎回同じ材料を渡します。プロジェクトの機能を使うと、渡し直す手間が減ります。

4時間と件数を測る

前と後で、かかった時間と、お客様からの反応の件数を比べます。数字が動いた業務から、次の業務へ広げます。

セミナー資料「本日、お伝えすること」。生成AIの使い道は2つ。左は「効率化に使う=議事録・メール・要約、社内で完結、誰でもできるので差はつかない」、右は「売上に使う=自社の情報を整える、お客様に届く、自社にしかない情報なので真似されない」
当社のセミナー資料。効率化だけでなく、自社の情報を整えて売上に使う

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表17:AX1とAX2の違い(当社の考え)
比べることAX1(道具として使う)AX2(自社の材料を渡す)
AIへの頼み方その場で質問する会社の材料を渡してから頼む
返ってくる答えどこの会社にも当てはまる自社に合った答え
差がつくか誰でもできるので差がつきにくい自社にしかない情報なので真似されにくい
向いている仕事議事録・メール・要約記事・提案書・採用の文章・数字の読み取り

業種別の例(当社の支援先・社名なし)

当社が支援している会社の例を、業種別に3つ挙げます。どれもシステム開発はしていません。

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表18:業種別の例(当社の支援先・社名なし)と、AXの段階(当社の見立て)
業種支援先がしたことAXの段階(当社の見立て)結果と注意
建設業過去の入札の単価をClaudeに渡し、入札額を試算する表(シミュレーター)を作ったAX2〜AX3の入口落札額にかなり近い額を出せたが、安すぎて失格になった(落札額より約1割低かった)。数字は最後に人が確かめる
FP事務所お客様の了解を得て面談を録音し、Claudeに渡して自社の強みを抜き出し、サイトの文章に反映したAX2ふだんの面談で話している考え方が、サイトの言葉になった
電気工事お客様との電話を録音して、ためているAX2の入口(材料を集める段階)AIに渡す材料が、毎日の仕事の中でたまっていく

※支援先の報告をもとに、社名・地域・金額など会社やお客様の特定につながる情報は省いています。録音は相手の了解を得て行い、AIに渡す前に、個人情報をどう扱うかを社内で決めてください(AX1の社内ルール)。

AIの活用で売上まで上げたい場合の全体の流れは「中小企業のAI活用で売上を上げる」に、国や県の支援制度は「愛知県の中小企業が使えるAI・DX支援制度」にまとめています。

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よくある質問(FAQ)

FAQAXについて、よく検索されている質問に答えます(2026年11月時点)。
QAXとは何の略ですか。読み方は?+
AXは「AI Transformation(AIトランスフォーメーション)」の略で、「エーエックス」と読みます。東京大学 松尾・岩澤研究室は、AIの活用を前提として業務や組織のあり方を見直すこと、と説明しています。Wi-Fiの規格「11ax」とは別の言葉です。
QAXとDXの違いは何ですか。+
DXはデジタルの道具で業務や事業を変えること、AXはAIが使える前提で業務や組織そのものを見直すことです。DXで紙をデータにしておくと、AXでそのデータをAIに渡せるので、DXはAXの土台になります。
QAXとAIエージェントはどう関係しますか。+
松尾研の5段階では、AX2(データ連携統合)の中身に「RAG等を使いエージェント化」が入っています。AIエージェントは、AIが社内の材料や数字を自分で取りに行き、手順を続けて進める使い方で、AX1(チャットで1問ずつ聞く)からAX2へ進んだときに使い始めるものです。
Q中小企業はAXをどこまで進めればいいですか。+
松尾研の資料(2026年6月)には、5段階のうち少なくともAX2までは全企業が進める必要があると書かれています。AX2は、社内のデータをAIにつないで使う段階です。AX4・AX5(独自のAIを開発する)は、中小企業がまず目指す段階ではありません。
QAXにはどのくらい費用がかかりますか。+
AX2までなら、大きなシステム開発は要りません。当社はClaudeの有料プラン1本(月200ドル・税抜/請求は220ドル・2026年10月時点。金額やプランは変わることがあります)、支援先の株式会社伊勢通はAIの利用料が月約2万円です(伊勢通のニュースリリースより)。費用より大きいのは、社内の材料を集めてAIに渡す手間です。
QAXエバンジェリストとは何ですか。+
東京大学 松尾・岩澤研究室が育てている、会社や地域でAIの活用を広める人のことです。2026年の講座は全7回・無料で、AX1・AX2の実行と助言ができる人を全国で育てることを目指しています(PR TIMES 2026年8月14日)。
QAXは何から始めればいいですか。+
まず社内ルールと学習の設定を決め(AX1)、次に会議や商談の録音、過去の資料、自社サイトの文章など、すでに社内にある材料をAIに渡します(AX2の入口)。1つの業務で毎回同じ材料を渡し、かかった時間を測るところから始めると続きます。

まとめ

  • AX(AIトランスフォーメーション)とは、AIの活用を前提として、業務や組織のあり方を見直すことです。AIの道具を足すだけでは、まだ入口です。
  • 松尾研はAXをAX1〜AX5の5段階に分け、少なくともAX2(社内のデータをAIにつなぐ)までは全企業が進める必要があるとしています。
  • 中小企業で生成AIを業務に使っているのは32.4%で、多くはまだAX1です。AX2は開発なしで、社内にある材料をAIに渡すところから始められます。

※出典:東京大学 松尾・岩澤研究室「AXエバンジェリスト講座企画について」(2026年6月・内閣官房 日本成長戦略会議 第6回 資料3-5)/PR TIMES 2026年8月14日/内閣官房 AX会議 第1回 資料4/帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査」/CNBC 2026年2月6日/株式会社伊勢通 ニュースリリース(2026年10月21日)。5段階の図と表は、資料をもとに当社で作り直したものです。

※Claudeは、Anthropic社が提供する生成AIで、同社の商標です。当社は、同社の公認・提携先ではありません。当社の作業はClaude(2026年9月にCoworkの機能が統合)で行っています(2026年11月時点)。

▶ 執筆者・酒井大輔(中小企業の集客・採用をYouTubeとClaudeで解決するコンサルタント)のプロフィールを見る