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ノウハウを公開すると、競合に真似されませんか
674ページ出した会社の線引き

公的統計は原典で確認自社674ページを全数走査2026年9月1日時点

著者:酒井大輔(ITコーディネータ) | 公開日:2026年9月1日 | 読了目安:約12分

この記事の要点「自社の数字やノウハウを公開したら、競合に真似されませんか」。セミナーでも個別相談でも、いちばん多くいただく質問です。怖いと感じるのは当然だと思います。この記事では、公的な統計で「実際にどれくらい真似されているのか」を確かめ、そのうえで当社が何を出していて、何は出さないと決めているのかを、自社サイト674ページの実測値で公開します。なお、これは特許や営業秘密という法律の話ではありません。ブログやセミナーで、自社の数字をどこまで出すかという話です。
📌 30秒まとめ真似されないとは言えません。防ぐ手立ても、こちらにはありません。それでも出し続けているのは、真似できない部分が必ず残るからです。
  • 公的統計では、模倣被害があった企業は14.8%。そして40.7%は「不明=そもそも把握していない」(特許庁・令和7年度/標本4,890)。
  • 真似されているのは、ロゴとデザインです。被害内容の内訳では商標・ブランド偽装が最多の378件、営業秘密・ノウハウの情報漏洩は574件中21件。
  • 当社は674ページ・約404万字を公開し、失敗に触れた記事が89本あります。それでも出さないものは2種類だけ=自社のものではない情報と、鍵です。
酒井大輔 ITコーディネータ ユーチューブビジネスサポート代表

この記事の著者

酒井 大輔(Sakai Daisuke)|ユーチューブビジネスサポート 代表

ITコーディネータ。中小企業のWebマーケティング・動画活用・生成AI活用を支援。2021年から自社ブログを継続運用し、公開ページは674(2026年9月1日時点)。著書2冊。代表プロフィール書籍『ビジネスYouTubeで売れ!』の表紙。酒井大輔 著、2021年6月発売書籍『経営戦略は動画が最強! 集客・採用・売上の課題解決!YouTube運用の教科書』の表紙。酒井大輔 著、セルバ出版、2026年1月発売

結論:真似されないとは言えません。それでも出しています

📌 このセクションの要点「真似されません」とは言えません。それは嘘になります。真似できるのは結果の部分だけで、そこに至る経緯と判断は残る——これが、出し続けている理由です。

最初に、いちばん誠実な答えを書きます。真似されないとは言えません。公開した情報を誰かが読んで、同じ形にすることを、こちらから止める手立てはありません。

ですので、この記事は「怖がらずに出しましょう」という話ではありません。出すとどうなるのかを、公的な統計と、当社自身の実測で確かめる話です。そのうえで、当社が何を出していて、何は出さないと決めているのかを全部並べます。

先に結論だけ書いておきます。真似できるのは数字・言い回し・記事の構成です。真似できないのはその数字が出るまでの経緯、うまくいかなかった1か月、なぜその判断をしたか、次に何をするかです。後者は、自分でやっていない限り書けません。

ノウハウを公開するメリットとデメリット

📌 このセクションの要点先に、両方を並べます。デメリットは消えません。消えないことを前提にしたうえで、それでも得るものがあるかどうかで判断します。

「公開しましょう」と言われても、良いところだけを聞かされると、かえって決められないと思います。当社が実際に感じているものを、両方書きます。

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表1:ノウハウを公開して得たものと、負ったもの(当社の実感/2021年から674ページを運用)
公開して得たもの公開して負ったもの
問い合わせの中身が具体的になった(読んだうえで来られる)真似される可能性は残る(こちらから防ぐ手立てはない)
検索と生成AIの両方から読まれる入口が増えた誤って書くと、誤ったまま複製されて広がる
判断の理由が社内に記録として残った訂正と点検の手間がかかり続ける
書くために数えるので、自社の誤りに気づけた出してよいかを毎回判断する必要がある
金額が合わない相談が減った一度出したものは、完全には消せない

右の列は、努力で消せるものではありません。デメリットは残る前提で、左の列と見比べて決める——それが現実的な判断だと思います。

⚠ この記事は法的な助言ではありません。特許・実用新案・意匠・商標の権利化や、営業秘密としての管理が必要かどうかは、弁理士・弁護士などの専門家にご確認ください。

まず、公的な数字を見ます

📌 このセクションの要点模倣被害があったと答えた企業は14.8%。無かったが44.6%。そして40.7%は「不明(わからない、把握していない)」です。

「真似される」という不安は、実際にはどれくらい起きていることなのか。ここは印象で語らず、公的な調査を原典で確認しました。

特許庁の「令和7年度知的財産活動調査」に、「直近の会計年度における貴社の商品・サービスに対する模倣被害の有無」を尋ねた設問があります。結果はこうです。

図1:模倣被害の有無(特許庁・令和7年度知的財産活動調査/標本数4,890)

模倣被害の有無の割合を示した帯グラフ模倣被害があった14.8%、模倣被害が無かった44.6%、不明(わからない、把握していない)40.7%の3区分を横帯で示している。14.8%44.6%40.7%被害があった被害が無かった不明(把握していない)4割は、そもそも調べていない設問「直近の会計年度における貴社の商品・サービスに対する模倣被害の有無」
出典:特許庁「令和7年度知的財産活動調査」概要(図38)。標本数4,890(積み上げ集計値)。

この調査の対象は、特許・実用新案・意匠・商標のいずれかを出願している企業です。つまり、模倣される可能性がもっとも高い層にあたります。その層でも、被害があったのは14.8%でした。

もうひとつ、私はこの調査の40.7%のほうが重要だと考えています。「不明(わからない、把握していない)」——怖いと言いながら、多くの会社はそもそも測っていないのです。

同じ調査では、模倣被害額を把握しているのは9.6%という数字も出ています。被害があったと答えた側でも、9割は金額を把握していません。

出典:特許庁「令和7年度知的財産活動調査」概要 図38・図40。⚠ 図38(標本4,890)と図40(標本717)は母数が異なるため、両者を直接比較していません。原典PDF

何が真似されているのか

📌 このセクションの要点被害内容の内訳では、商標・ブランド偽装が最多の378件営業秘密・ノウハウの情報漏洩は574件中21件でした。

では、被害があった場合、何が真似されているのか。特許庁が2020年度に実施した「模倣被害実態調査」の原典データに、内訳の実数があります。

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表1:模倣被害の内容(複数回答・実数/特許庁「2020年度模倣被害実態調査」法人・回答計574)
模倣被害の内容件数
商標/ブランド偽装378
意匠/デザイン模倣219
商標/冒認出願188
特許・実用新案/技術模倣169
著作物/デザイン模倣99
ドメイン名盗用60
著作物/海賊版55
意匠/パーツ等49
その他/IT活用31
営業秘密・ノウハウ/情報漏洩21

いちばん多いのは商標・ブランドの偽装で378件。次いでデザインの模倣です。営業秘密・ノウハウの情報漏洩は21件で、回答計574件のうちの一部にとどまります。

ここから言えるのは、「真似される」と聞いて多くの方が思い浮かべる被害と、実際に多く起きている被害は、少しずれているということです。実際に多いのは、ロゴや商品デザインの偽装です。ブログに書いた自社の考え方や手順が、被害として集計に上がってくる形とは異なります。

出典:特許庁「模倣被害実態調査」(法人・問Ⅱ-2 模倣被害内容)の公開データより当社が集計。⚠ 本調査は2020年度をもって中止され、2021年度以降は「知的財産活動調査」に統合されています。したがって、この内訳は最新年度の数字ではありません。また、図1(令和7年度)とは別の調査・別の母集団のため、時系列で並べていません。

では、どこから漏れているのか

📌 このセクションの要点漏えいルートとして挙がっているのは、外部からの攻撃と、内部です。最多は外部サイバー攻撃36.6%。

「情報が漏れる」という不安は、公開の話と混ざりやすいところです。実際の漏えいは、どこから起きているのか。IPA(情報処理推進機構)の調査に、漏えい事例があったと答えた方への設問があります。

図2:営業秘密の漏えいルート(上位6項目・複数回答/IPA 2024年調査・n=426)

営業秘密の漏えいルート上位6項目の横棒グラフ外部からのサイバー攻撃36.6%、現職従業員のルール不徹底32.6%、現職従業員の金銭目的31.5%、現職従業員の誤操作・誤認25.4%、外部者の立ち入り20.2%、中途退職者17.8%を横棒で示している。設問「どのようなルートで、営業秘密の漏えい事例が発生しましたか。(複数回答)」外部からのサイバー攻撃36.6%現職従業員のルール不徹底32.6%現職従業員の金銭目的31.5%現職従業員の誤操作・誤認25.4%外部者の立ち入り20.2%中途退職者17.8%挙がっているのは、外部からの攻撃と、内部です。
出典:IPA「企業における営業秘密管理に関する実態調査2024」図20。漏えい事例があったと答えた426名の回答(複数回答)。

並んでいるのは、外部からの攻撃と、社内です。すでに公開した情報は、そもそも「漏れる」対象には入っていません。公開とは、外に出すことをこちらが決めた情報のことだからです。

ここは、はっきり書き分けておきます。この調査は「公開しても安全だ」ということを示すものではありません。調査が扱っているのは営業秘密の漏えいであって、公開の是非ではないからです。ここから言えるのは、漏えい対策として挙がっている項目は、公開範囲の判断とは別のところにある、ということだけです。

出典:IPA「企業における営業秘密管理に関する実態調査2024」(実施:2025年1月/n=1,200)図20。⚠ 回答者は企業に属する個人1,200名を対象としたウェブ調査で、企業全体の母集団を代表するものではありません(報告書自身が、過去調査との単純比較を避けるよう注記しています)。原典PDF

隠していても、守られてはいません

📌 このセクションの要点知的財産を権利化している中小企業は14.6%。出さないという判断は、法的な保護とは別のものです。

もうひとつ、前提を置き直しておきたい数字があります。2026年版の中小企業白書に、こうあります。

14.6%
知的財産を権利化している中小企業(出願手続き中を含む/n=12,215)

ここが誤解されやすい

「出さない」ことと「守られている」ことは、同じではありません。権利化していない情報は、隠していても、他社が独自にたどり着いた場合には止められません。

白書の注記では、ここでの権利化を「自社の技術・ノウハウ等を、特許権・実用新案権・意匠権・商標権等を取得・登録・出願することにより、法的に保護する手続」と定義しています。その手続きを取っている中小企業は14.6%にとどまる、というのが実態です。

つまり多くの場合、出さないという判断は、法的な保護をもたらしてはいません。出さないことで得られるのは「気づかれにくい」という状態であって、権利ではない、ということです。ここを分けて考えると、判断がしやすくなります。

出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」第2-2-22図(原データ=帝国データバンク「令和7年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」)。原典PDF

ここまでが、公的なデータの話です

ここから先は、当社が実際に何を出していて、何は出していないのかを、自社サイトの実測値で公開します。「言っているだけではないか」を確かめられる形にしました。

支援の中身と費用を見る

当社が実際に出しているものを、全部並べます

📌 このセクションの要点公開674ページ・本文は約404万字失敗に触れた記事が89本あります。数えたのは主張ではなく、在庫です。

ここからは当社の話です。「一次情報を出しましょう」と各記事で書いている以上、自分がどれだけ出しているのかを、先に数えるべきだと考えました。

方法は単純です。自社サイトの公開ページを全件取得し、HTMLのタグ・スクリプト・スタイルを除いた本文で数えました。2026年9月1日時点の実測です。

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表2:当社が公開しているものの実測(ytbs.jp・公開674ページ/2026年9月1日時点)
出しているもの実測補足
公開ページ数674投稿650+固定ページ24
本文の総文字数4,039,766字空白を除く。1ページ平均5,994字
失敗に触れた記事89本ほかに「誤り・間違えて」29本、「うまくいかなかった」17本、「訂正・撤回」15本
割合(%)を書いた記事245本「◯倍」は489本
金額(円・ドル)を書いた記事158本自社が払っている額を含む
「実測」「全数走査」と明記した記事73本推定値と実測値を区別している
数字に「時点」を添えた記事157本数字の鮮度を書いている
出典・引用元を明記した記事140本
検索から下げた記録609本/594本609本を検索対象から外し、594本を下書きに戻した経緯も公開

数えていて、自分でも意外だったのが失敗に触れた記事が89本あることでした。うまくいかなかったこと、効かなかったこと、あとから訂正したことを含みます。

費用も書いています。私が自分で払っているのはClaudeの上位プランで月200ドル(税抜。日本では消費税10%が加わるため、請求は月220ドルです。2026年8月時点)。この1本だけで、ChatGPTとGeminiには課金していません。

Google Search Consoleの管理画面。ytbs.jpの16か月分の検索パフォーマンスで、表示回数341万回が表示されている
当社サイトのGoogle Search Console(16か月分)。数字は画面から取っており、推定値は使っていません。

この在庫表そのものが、この記事の一次情報です。「出しましょう」と書いている会社が、自分ではどれだけ出しているのか——それを数えた記事は、私が調べた範囲では見つかりませんでした。

真似できるもの、真似できないもの

📌 このセクションの要点真似できるのは結果です。真似できないのは、そこに至る経緯と、判断の理由です。

ここで、はっきり分けておきたいことがあります。情報が伝わることと、真似できることは、別のことです。

手順を読んだからといって、同じことができるようになるわけではありません。私は、ほとんどの場合、情報だけでは真似できないと考えています。料理のレシピを読んでも同じ味にならないのと同じで、間に「やったことがあるかどうか」が挟まるからです。

では、出したもののうち何が真似できて、何が真似できないのか。線を引いてみます。

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表3:公開した情報のうち、真似できるものとできないもの
種類真似できるか理由
数字そのものできるコピーすれば同じ文字列になる
言い回し・表現できる読めば書き写せる
記事の構成・見出しできる目次を見れば分かる
その数字が出るまでの経緯できない自分でやった人しか持っていない
うまくいかなかった期間できない失敗は、借りてくることができない
なぜその判断をしたかできない選ばなかった選択肢を知らないと書けない
次に何をするかできないまだ結果が出ていないので、写す元がない

右の列を見ていただくと、共通点があります。真似できないものは、すべて「自分でやったかどうか」に紐づいています。

数字だけを写した記事は、次の質問に答えられません。「なぜその方法を選んだのか」「途中で何が起きたのか」「今はどうしているのか」。お客様が本当に知りたいのは、たいていそちらです。

真似されない情報に、価値はありますか

📌 このセクションの要点ここまでと逆のことを書きます。誰にも真似されないような情報には、そもそも価値がありません。真似されるということは、それが誰かの役に立っているということです。

相談を受けていて、ときどきこう申し上げることがあります。「真似されない情報なら、出す意味もないと思います」と。

誰も真似したいと思わない情報は、裏を返せば誰の役にも立っていない情報です。読んだ人が「これは使える」と思ったからこそ、真似という行動が起きます。真似されたという事実は、その情報に価値があったことの証明でもあります。

真似されない情報

  • どこにでも書いてある一般論
  • 数字のない心構え
  • 結論を避けた説明

⚠ 真似はされませんが、読まれもしません

真似される情報

  • 実際にやった手順と数字
  • うまくいかなかった経緯
  • 判断の理由

✓ 真似はされますが、選ばれる材料になります

ですので当社は、真似されたかどうかを心配の材料にしていません。心配すべきなのは、真似されることではなく、誰にも読まれないことのほうです。

そして前の章のとおり、真似できるのは結果の部分だけです。役に立つ情報を出して真似され、それでも経緯と判断が残る——この形が、いちばん健全だと考えています。

出したものは、こうやって広がります

📌 このセクションの要点当社の1行の書き間違いが、674ページすべてに複製されていました。しかも、サイト内を文字列で検索しても0件でした。

「真似されるかどうか」より先に、知っておいたほうがよいことがあります。一度出した情報は、こちらの意思と関係なく複製されて広がるということです。当社で実際に起きたことを書きます。

1行の書き間違いが、674ページに乗っていました

当社のサイトには、著者情報を機械に伝えるためのデータ(構造化データ)が全ページに入っています。その中の紹介文に、支援先の成果を書いた一文がありました。ここにラベルの貼り違いがありました。

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表4:当社が見つけた書き間違いと、正しい表記
区分記載実際
建材商社・伊勢通でEC売上40倍40倍は、YouTube活用の立ち上げ期に、関連部門の売上が前年比で伸びた数字でした
YouTube活用で、立ち上げ期に関連部門の売上が前年比40倍生成AI活用による成果は別で、ECの月商が前年同月比で約2.5倍(2026年7月)

数字そのものは、どちらも実在します。間違っていたのは数字ではなく、「どの成果に貼るか」でした。YouTubeの成果として出た40倍を、ECの売上のラベルで書いていた、ということです。

文字列で検索しても、見つかりませんでした

やっかいだったのはここからです。この一文は構造化データの中にあります。そして構造化データは、日本語を機械向けの記号に変換した形でページに出力されます。

そのため、ページのHTMLを「EC売上40倍」で文字列検索すると、0件になります。データとして読み込んで初めて見つかります。実測はこうでした。

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表5:同じ1文を、2つの測り方で数えた結果(2026年9月1日実測)
測り方結果意味
HTMLを文字列で検索0件人が普通に探す方法では、見つからない
データとして読み込んで確認抽出30ページで30/30機械には、全ページで読める状態だった

つまり「サイト内を検索して0件だったので問題なし」では、この誤りは一度も見つかりません。私たちも、測り方を変えて初めて気づきました。

そして、この誤りは実際に外へ広がっていました。生成AIに当社の支援実績を尋ねると、この誤ったラベルのまま返ってきていました。この記事を公開した時点でも、まだ直し切れていません。

生成AIの回答画面。当社の支援実績について、ECの売上が40倍になったと誤って回答されている。正しくはECの月商が前年同月比で約2.5倍で、40倍はYouTube活用の立ち上げ期の数字
2026年8月9日取得(未ログイン・1回の結果)。サイト側の書き方が、そのまま回答に出ています。この誤りは2026年8月29日に検知し、現在も是正を進めています。

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。複製は、真似されるより先に、自動的に起きます。正しく書けば正しいまま広がり、間違えて書けば間違えたまま広がります。だとすれば、出すか出さないかより、出したものが正しいかどうかのほうが、先に効いてきます。

それでも、出さないと決めているもの

📌 このセクションの要点出さないのは2種類だけです。自社のものではない情報と、。それ以外は出す、という運用にしています。

ここまで読むと「何でも出せということか」と思われるかもしれません。違います。出さないと決めているものがあります。

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表6:当社が出さないと決めているもの(4分類)
出さないものなぜ実際の運用
お客様の会社名・業種自社のものではないから掲載の許可をいただいた場合のみ実名。それ以外は「支援先の会社」等で書く
他社から預かった情報同上数字を書ける場合でも、出所が他社なら出さない
個人名・個人情報本人のものだから担当者名は許可を得た場合のみ。画面を載せるときは映り込みを消す
アカウント情報などの鍵出すと、実害が出るからID・パスワード・APIキーは扱わない

整理すると、出さないのは「自社のものではない情報」と「鍵」の2種類だけです。逆に言えば、自社のものであって、鍵でないものは出す、という運用です。

この線引きは、実際に効いています

言うだけなら簡単なので、こちらも数えました。674ページの実測です。

101
支援先を実名で書いた記事(掲載の許可をいただいたお客様)
20
社名を伏せた表現で書いた記事(「支援先の会社」等)
0
アカウント情報・鍵の記載

実名で書いている101本の裏側で、20本は社名を伏せています。全部出しているのではなく、線を引いた結果としてこの数字になっています。

なお、成果は当社が出したものではありません。お客様がご自身でやられたことです。当社の記事では、そこを取り違えないように書き方を揃えています。

「AIに入れない情報」と、この話は別です

📌 このセクションの要点入力(生成AIに渡す)と公開(世に出す)は、判断の軸が違います。混ぜると、どちらの判断も鈍ります。

ここは混同されやすいので、線を書いておきます。「生成AIに入力してはいけない情報」と「世に公開してよい情報」は、別の話です。

図3:入力と公開は、判断の軸が違う

入力と公開の判断軸の違いを示した図左に入力(生成AIに渡す)、右に公開(世に出す)を置き、それぞれ相手・判断基準・失敗したときに起きることを対比している。入力|生成AIに渡す公開|世に出す相手サービス事業者のシステム相手お客様・検索エンジン・AI判断の基準預かった情報か/設定はどうか判断の基準自社のものか/鍵ではないか間違えると預かった情報を外に出してしまう間違えると誤りが複製されて広がる
入力の判断は「渡してよい相手か」、公開の判断は「自社のものか」。同じ情報でも、答えが変わります。

たとえば、お客様からお預かりした資料は、公開しませんし、生成AIにも渡しません。一方、自社サイトの記事本数や順位のデータは、公開しますし、生成AIにも渡します。判断が分かれるのは、その中間にあるものです。

入力の側の考え方は、別の記事にまとめています。

AIから見て、会社はどう見えているか

📌 このセクションの要点出していない会社は、AIから見ると参照するものがない状態です。そして出していても、間違っていれば間違ったまま読まれます

ここ数年で変わったことがあります。お客様が、検索する前に生成AIに聞くようになりました。当社サイトでも、AI経由の流入が計測できるようになっています。

Google アナリティクス4の画面。参照元の一覧にAI Assistantの行が表示され、生成AI経由のセッション数が計測されている
当社サイトのGA4。生成AI経由の流入が、参照元として計測できるようになっています。

ここで数字の扱いに注意が必要です。AI経由という区分が計測できるようになったのは最近で、集計期間の全体をカバーしていません。そのため当社では、この数字を「増えている」という根拠には使わず、現時点で計測できている事実としてだけ扱っています。

そのうえで、確かなことが2つあります。ひとつは、書いていないことは、AIも答えられないということ。もうひとつは、第8章で書いたとおり、書いてあることが間違っていれば、間違ったまま答えられるということです。

AIは、こちらの意図を汲んではくれません。ページに書いてあるものを読みます。ですので「出すか、出さないか」の前に、「出しているものが正しいか」を点検するほうが、先に効きます。

公開を続けるために、自分の弱点も公開しています

📌 このセクションの要点画像4,556枚のうち1,457枚に説明文(alt)がありません。ただし新しい標準で作った記事は0件で、残っているのは旧設計の在庫です。

ここまで「出しましょう」と書いてきましたので、こちらの粗いところも出しておきます。同じ全数走査で、当社サイトの不備も数えました。

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表7:当社サイトに残っている不備(公開674ページ/2026年9月1日時点)
項目実測
画像に説明文(alt)が無い4,556枚のうち1,457枚(32.0%)
表に見出し(caption)が無い762表のうち403表
図(SVG)に題名が無い187図のうち104図

ただし、この32%という数字だけを出すと、いま作っている記事も同じに見えてしまいます。内訳を出します。

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表8:画像の説明文(alt)が無い枚数の内訳(本文の設計別)
本文の設計ページ画像alt が無い
現在の標準で作った記事1521,6220枚
旧デザイン(v2系)180枚
旧デザイン(article系)151291枚
設計を入れていない旧記事5062,7971,456枚

1,457枚のうち1,456枚、99.9%が旧設計のページに残っているものでした。現在の標準で作っている152ページ・1,622枚は、説明文の欠けが0枚です。

正確を期すために、もうひとつ書いておきます。「2026年に作ったものは0件」とは言えません。旧設計のまま2026年に公開したページが残っており、そこには欠けがあります。言えるのは「現在の標準で作った記事は0件」までです。

この不備は、記事を1本ずつ触るときに、同じ作業のなかで直す方針にしています。一度に機械で書き換えることはしません。過去に一括変換でページを壊したことがあり、そのときの教訓です。

では、何から出せばいいのか

📌 このセクションの要点数字を1つ → 失敗を1つ → 判断の理由。この順番なら、いきなり手の内を明かすことにはなりません。

最後に、月曜からできる形にします。いきなり全部出す必要はありません。順番があります。

1|数字を1つ

すでに社内にある数字を1つだけ選んで出します。新しく調べる必要はありません。

2|失敗を1つ

うまくいかなかったことを1つ添えます。ここが、いちばん真似されにくい部分です。

3|判断の理由

なぜそうしたのかを書きます。ここまで書くと、写しても同じにはなりません。

出せる数字は、だいたいこの4つのどれかです

「うちには出せる数字がない」と言われることが多いのですが、業種を問わず、たいていこの4つのどれかは持っておられます。

図4:業種を問わず出せる、数字の型4つ

業種を問わず公開できる数字の型4つを示した図件数、率、所要時間、断った理由の4つを並べ、それぞれの具体例を示している。件数数えれば出る作った数対応した数続けた年数前後で比べる成約率リピート率歩留まり所要時間測れば出る見積までの日数納期作業の所要時間断った理由いちばん強い受けない仕事合わないケースその判断の理由
4つ目の「断った理由」が、もっとも真似されにくく、お客様からの信頼につながりやすい型です。

4つ目の「断った理由」を挙げておきます。受けない仕事、合わないお客様、その判断の理由。これは競合が写しても、実際にそう運用していなければ矛盾が出ます。そして読む側にとっては、自分が合うかどうかが分かるので、いちばん役に立つ情報でもあります。

生成AI × 情報発信

何を出して、何を出さないか。
一緒に線を引くところから始められます

「出せる数字が見つからない」「どこまで書いてよいか判断できない」——そこから伴走します。支援の中身と費用は、ページに書いてあります。

※ ITコーディネータ・酒井大輔が対応します。

よくある質問(FAQ)

FAQセミナーや個別相談で実際にいただくご質問を、多い順に並べました。
Q何から出せばいいですか
すでに社内にある数字を1つだけ選んでください。新しく調べる必要はありません。そこに、うまくいかなかったことを1つ添えると、写しにくい記事になります。
Q出したら、本当に問い合わせが増えますか
出せば増えるとは言えません。当社の場合は、数字と失敗を書いた記事のほうが、問い合わせの内容が具体的になりました。増えるかどうかより、話が早くなるという実感が近いです。
Q社名を出さずに、事例は書けますか
書けます。当社も674ページのうち20本は社名を伏せて書いています。業種をぼかし、数字と経緯だけを書けば成立します。許可をいただけた場合のみ実名にしています。
Q価格を公開すると、足元を見られませんか
当社は自分が払っている額まで公開していますが、値引き交渉が増えたことはありません。むしろ、金額が合わない方からの問い合わせが減り、話が進みやすくなりました。
Q競合が同じことを始めたら、どうしますか
止める手立てはありません。ただ、書けるのは自分がやったことだけなので、経緯と失敗まで含めて続けている限り、同じにはなりません。続けることが唯一の差になります。
Q生成AIに勝手に使われるのは、損ではありませんか
読まれなければ、そもそも候補にも挙がりません。当社は、AIに読まれて紹介されることを前提に書いています。ただし誤りも同じように広がるので、正確さの点検は欠かせません。
Q社員や取引先の許可は、どう取ればいいですか
公開する文面をそのままお見せして、確認していただくのが確実です。当社では、掲載前に原稿をお送りし、社名・数字・発言の3点について可否をうかがっています。
Q一度出したものは、あとから消せますか
自社サイトからは消せますが、複製された先までは消せません。当社も1行の書き間違いが674ページに複製されていました。消せる前提では考えないほうが安全です。
Qノウハウを公開すると、同業者に負けませんか
同じ情報を読んでも、同じ結果にはなりません。情報が伝わることと、真似できることは別だからです。当社は、負ける材料より、見つけてもらえない材料のほうが大きいと考えています。
Qノウハウを全部公開しても大丈夫ですか
全部は公開していません。自社のものではない情報と、鍵の2種類は出していません。逆に言えば、それ以外を出して実害が出たことは、これまでのところありません。
Q営業秘密にあたるノウハウは、公開してもいいですか
この記事は法的な助言ではありません。営業秘密として管理すべきか、権利化すべきかは、弁理士・弁護士などの専門家にご確認ください。公開すると、その後の権利化が難しくなる場合があります。

まとめ

  • 真似されないとは言えません。防ぐ手立てもありません。それでも出すのは、真似できない部分が残るからです。
  • 公的統計では、模倣被害があったのは14.8%40.7%は、そもそも把握していません(特許庁・令和7年度)。
  • 被害の中身はロゴとデザインが中心で、営業秘密・ノウハウの情報漏洩は574件中21件でした。
  • 知的財産を権利化している中小企業は14.6%隠していることは、守られていることではありません。
  • 当社は674ページ・約404万字を公開し、失敗に触れた記事が89本あります。
  • 出さないのは2種類だけ=自社のものではない情報と、鍵。実名101本の裏で20本は社名を伏せています。
  • 複製は、真似されるより先に自動的に起きます。当社は1行の書き間違いが674ページに乗っていました。
  • 始めるなら数字を1つ → 失敗を1つ → 判断の理由の順で。「断った理由」がいちばん写されにくい型です。

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