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AI時代に動画は意味がある?企業YouTubeがAI検索でも強い理由

YouTubeコンサル18年・100チャンネル以上AI各社の公式ドキュメント19本を確認2026年8月28日時点

著者:酒井大輔(ITコーディネータ) | 記事内のデータは2026年8月28日時点 | 読了目安:約14分

この記事の要点「AIが答えてくれる時代に、動画をやる意味はあるのか」——2026年に入ってから、いちばん多く聞かれるようになった質問です。答えははっきりしています。AI検索がいちばん引用しているドメインは、YouTubeでした。ただし、ここから先を誤解すると投資先を間違えます。AIがWebを見に行くときに読んでいるのは、映像ではありません。(動画そのものを渡せば、AIは読めます。ページを見に来る場面とは別の話です。)この記事は、新しく動画を作る話ではなく、いま会社にある動画の「どこに手をかけるか」の話です。
📌 30秒まとめ動画は「AIが読む文字」と「人が確かめる映像」の二階建てでできています。AIがWebを見に行くときに読んでいるのは1階の文字で、映像そのものではありません。だから、手のかけ方は階によって変わります。
  • 1階=タイトル・説明欄・字幕・構造化データ。ここが空だと、AIには動画が無いのと同じです。
  • 2階=顔・声と間・手つきと時間・現場の空気。AIには読めません。ここが信頼になります。
  • マイクは1階に効き、4Kはどちらにも効きません。投資先はここで決まります。
酒井大輔 ITコーディネータ ユーチューブビジネスサポート代表

この記事の著者

酒井 大輔(Sakai Daisuke)|ユーチューブビジネスサポート 代表

ITコーディネータ。2008年より企業向けYouTubeビジネス活用を開始し、100チャンネル以上のコンサルティング実績。公益財団法人 東京都中小企業振興公社 専門家(No.1738)。専門は動画経営戦略・YouTubeマーケティング・ウェブマーケティング・SEO。代表プロフィール

書籍『経営戦略は動画が最強! 集客・採用・売上の課題解決!YouTube運用の教科書』の表紙。酒井大輔 著、セルバ出版、2026年1月発売 書籍『ビジネスユーチューブで売れ!』の表紙。酒井大輔 著、2021年6月発売

著書:『経営戦略は動画が最強! 集客・採用・売上の課題解決!YouTube運用の教科書』(セルバ出版・2026年1月)/『ビジネスユーチューブで売れ!』(2021年6月)。書籍の紹介ページ

AIがいちばん引用しているのはYouTube。ただし読まれているのは映像ではありません

📌 このセクションの要点AI検索が日本でいちばん引用しているドメインはYouTubeです。ただしAIが読んでいるのは映像ではなく、動画についている文字——ここを取り違えると、効かないところにお金をかけることになります。

お客様から、こう聞かれることが増えました。「AIが全部答えてくれるなら、うちの動画は意味がなくなるんじゃないですか」。

結論から言うと、逆です。AI検索が日本で引用しているドメインを調べた調査(Ahrefs Brand Radar)では、1位がYouTubeでした。2026年4月版と6月版で2期連続の首位。しかも業界を問わず上位という結果です。ちなみに2位はnote、3位はWikipediaの日本語版でした。

検索窓の中でのYouTubeは3位です。それなのに、AIが答えを作るときにいちばん参照されているのはYouTubeでした。この調査の中身と、検索行動そのものがどう変わったかは、別の記事で詳しく書いています。

▶ 詳しくは:検索エンジンの利用率ランキング|YouTubeが3位、AI検索の今は

私はずっと「企業は動画を持ちましょう」と言い続けてきました。その理由が1つ増えた、というのが正直な実感です。昔は「見てもらうため」でした。いまはそれに加えて「AIに引用してもらうため」が乗ってきました。

ただ、ここから先で多くの会社が投資先を間違えます。

「AIに引用されるなら、いい動画を作らないと」——そう考えて、カメラを買い替えたり、編集を凝ったりする。ところが、そこはAIに1ピクセルも伝わりません。AIが読んでいるのは、映像ではないからです。

動画とAI、どちらも実務でやっている立場から書きます

先に立場を書いておきます。私は2008年から企業のYouTube運用を支援していて、100チャンネル以上を見てきました。それと同時に、ITコーディネータとして中小企業の生成AI活用を支援していて、自社サイトでもAI対策を毎日試しています。

動画とAI、どちらも実務でやっている——ここが、この記事を書ける理由です。AIの側だけを見ていると「動画はもう要らない」と言いがちですし、動画の側だけを見ていると「AIは関係ない」と言いがちです。実際には、この2つは具体的な場所で噛み合っています。この記事は、その噛み合う場所だけを書きます。

ちなみに、実験台はいつも自社サイトです。お客様のところで試す前に、まず自分のところで全部やります。

ytbs.jpのGoogle Search Console画面。16か月間で合計341万回の表示があったことを示す折れ線グラフ
自社サイトのSearch Console。16か月で合計341万回の表示(2026年6月時点)。
WordPress管理画面の投稿一覧。公開済みが1,170件と表示されている
公開記事は1,170本以上(2026年6月時点)。この規模で試したうえで書いています。

なぜ今この話をするのか(調査データを2つだけ)

1つ目。民間の調査会社である帝国データバンクの調べでは、生成AIを「活用している」中小企業は32.4%でした(大企業46.5%・小規模企業28.0%)。3社に1社です。

2つ目のほうが、この記事には効きます。総務省の情報通信白書に、「生成AIを使うための環境整備として、何をしているか」を4か国で聞いた調査があります。日本だけ、突出して低い項目があります。

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表1:生成AIを使うための環境整備の状況(総務省『令和8年版 情報通信白書』概要 p.9)
設問日本
n=326
米国
n=276
ドイツ
n=270
中国
n=293
生成AIに社内データを学習させたり、生成AIが参照可能なデータベースを構築したりしている24.5%57.2%54.4%73.0%
特に実施している施策はない・把握していない19.9%0.7%0.7%0.3%

出典:総務省『令和8年版 情報通信白書』(概要)p.9(2026年7月24日公表・調査は2026年1〜2月)/帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(有効回答10,312社・2026年5月14日公表)。⚠この2つは別々の調査で、実施主体も母数も設問も違います。並べているのは傾向を見るためです。

「特に何もしていない」が、日本だけ19.9%。米国とドイツは0.7%、中国は0.3%です。裏を返せば、AIに読ませる準備をするだけで、日本国内ではまだ差がつくということでもあります。

AIは動画の「どこ」を読んでいるのか(公式ドキュメントで確かめた)

📌 このセクションの要点「AIは動画を見られない」とは言えません。渡せば読みます。ただしAIが自分でWebを見に行くときは、動画を対象外にしている——これを、同じGoogleの公式ドキュメント2枚が別々に書いています。推測ではなく、作った会社自身の記述です。

この章は、私の意見をほとんど書いていません。各社の公式ドキュメントを実際に開いて、書いてあることだけを並べます(2026年8月時点。仕様は変わります)。

① AIに動画を「渡した」とき=読みます

Googleの開発者向けドキュメントには、Geminiが動画を処理できると明記されています。映像と音声の両方を扱い、映像はおおむね毎秒1コマの間隔で見て、「何分何秒のところ」という指定にも答えられる。YouTubeのURLをそのまま渡すこともできます(公開されている動画に限る)。

つまり「AIは動画を見られない」という言い方は、正確ではありません。渡せば読みます。

参照:Google「Video understanding(Gemini API)」(2026年8月26日更新)

② AIが自分で「見に行った」とき=動画は対象外と書いてある

ところが、同じGeminiに「このURLを読んで」と頼むための機能(URL context)の公式ドキュメントには、対応していないものとして「YouTube動画」「動画および音声ファイル」がはっきり列挙されています。しかも「YouTubeのURLの扱いは①のドキュメントを見てください」と注記まで付いている。同じ会社が、自分で線を引いているわけです。

他社も同じ方向です。Anthropic(Claude)の公式ドキュメントでは、URLを取りに行って読める形式はテキスト・HTML・PDFの3つだけと書かれています。Perplexityにいたっては、アップロードした動画について「音声は文字起こしするが、映像のシーンは索引化も検索もしない」と、できないことのほうを公式に書いています。

参照:Google「URL context」(2026年8月17日更新)/Anthropic「Web fetch tool」Perplexity「File Uploads」(2026年7月16日更新)

③ 検索やAIの回答の裏側では、何を見ているのか

ここは正直に書きます。AIによる概要やAIモード、ChatGPTの検索が、ページに埋め込まれた動画の中身を見ているのかどうか。今回の調査範囲では、それを述べた記述を確認できませんでした。「見ている」とも「見ていない」とも確認できていません。分からないことは、分からないと書きます。

図1:AIと動画の3つの層(同じAIでも、場面で扱いが違う)

AIと動画の関係を3つの層に分けた図動画を直接渡した場合は読む、URLを読みに行く場合は動画が対象外、検索やAI回答の裏側は今回の調査範囲では確認できなかった、の3層を左から右に並べた図 ① 動画を渡す 読みます 映像と音声の両方 おおむね毎秒1コマ 時間の指定にも答える 出典:Gemini公式 ② URLを読みに行く 動画は対象外 YouTube動画 動画・音声ファイル を非対応として列挙 出典:Gemini公式 ③ 検索・AI回答の裏側 記述を確認できず 見ているとも 見ていないとも 今回の調査範囲では不明 4社とも確認できず 2026年8月時点で各社の公式ドキュメントを確認。仕様は変わります。
図1:「AIは動画を見られない」とも「AIは動画を見ている」とも言い切れません。場面によって扱いが違います。

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表2:AI4社の動画の扱い(2026年8月時点・各社の公式ドキュメントで確認)
提供元公式に確認できたこと今回の調査範囲では確認できなかったこと
Google(Gemini)渡された動画は映像と音声の両方を処理する。一方でURLを読みに行く機能は動画・音声を非対応と明記検索やAIによる概要の裏側で動画をどう扱っているか
Anthropic(Claude)URLから読めるのはテキスト・HTML・PDFのみ「動画を見ない」と明言した記述そのものは、今回の調査範囲では確認できませんでした
Perplexityアップロードした動画の音声は文字起こしする。映像のシーンは索引化も検索もしないと明記Web検索時にどう扱っているか
OpenAI公式ガイドが定義しているのは画像入力まで。動画入力のガイドは、今回の調査範囲では確認できませんでした動画を読むとも読まないとも、今回の調査範囲では確認できませんでした

ここまでを合わせると、答えは1つに寄ります。AIが読んでいるのは、動画そのものではなく、動画のまわりにある文字です。この仕組みの詳しいところは、実務者向けに別記事でまとめます。

だから動画は、二階建てで考える

📌 このセクションの要点動画は1階=AIが読む文字2階=人が確かめる映像の二階建てです。役割が違うので、手のかけ方も、お金のかけ方も変わります。ここが分かると、投資先で迷わなくなります。

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

図2:動画は二階建て|AIが読む文字と、人が確かめる映像

動画の二階建て構造とAIが読む範囲2階は顔・声と間・手つきと時間・現場の空気で人が確かめる部分。1階はタイトル・説明欄・字幕・構造化データでAIが読む部分。マイクと結論から話すことは1階に効き、顔出しと台本を読まないことは2階に効き、4Kはどちらにも効かないことを示した図。 2階|人が確かめる映像 顔 / 声と間 / 手つきと時間 / 現場の空気 AIは読めません。ここが信頼になります。 1階|AIが読む文字 タイトル / 説明欄 / 字幕 / 構造化データ AIが引用しているのは、映像ではなくここです。 投資はどこに? マイク → 1階 結論から話す → 1階 顔出し → 2階 台本を読まない → 2階 4K・凝った編集 → どちらにも効かない 1階が空だと、AIには動画が無いのと同じ。2階が薄いと、人は確かめに来ません。
図2:手のかけ方は階によって違います。マイクは1階(字幕)に、顔出しは2階に効きます。

1階の中身は、この5つです

「動画のまわりの文字」と言われても分かりにくいので、分解します。

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表3:1階(AIが読む文字)の中身と、見るところ
1階の中身何を見るか誰が書くか
タイトル動画ごとに固有か。「会社紹介①②③」の連番になっていないか自分
説明欄1〜2行で終わっていないか。誰が・何を・どこで話しているかが書いてあるか自分
字幕自動字幕が生成されているか(=音は足りているか)YouTube
サムネイルの文字文字と顔が入っているか自分
チャプター説明欄に「00:00 〜」の章立てが書いてあるか自分
構造化データ「ここに動画がある」とサイトが機械に伝えているかサイト側

この中でいちばん効くのは、タイトルと説明欄です。字幕は条件が合えば自動で作られますが、タイトルと説明欄は、誰も代わりに書いてくれません。ここが空のまま何百本あっても、AIから見れば手がかりがない状態です。

説明欄には、もう1つ使い道があります。章立て(チャプター)です。Googleは、動画の中のセグメントを自動で検出して「主な出来事」として出そうとしますが、サイト側が説明文で指定したキーモーメントを優先すると公式に書いています。つまり、説明欄に「00:00 はじめに」のように章立てを書いておけば、どこを拾ってほしいかを自分で決められます。

図3:タイトルと説明欄は、動画のどこにあるのか

YouTubeの動画ページで、タイトルと説明欄がどこにあるかを示した図動画プレーヤーの下にタイトルがあり、その下にチャンネル名、さらに下に説明欄がある。字幕は再生画面の中で切り替える。構造化データは自社サイト側のHTMLに書く、という位置関係を示した模式図。 YouTubeの動画ページ(模式図) 動画プレーヤー 字幕 CC 動画のタイトル ① タイトル = 自分で書く チャンネル名/登録ボタン 説明欄(概要欄) 誰が・何を・どこで話しているか/関連リンク ② 説明欄 = 自分で書く この2つは誰も代わりに書きません ③ 字幕 = 音がよければ自動で付く ④ 構造化データ = 自社サイト側 (YouTubeではなく、自社のHTMLに書く)
図3:AIが読む「1階」は、この位置にあります。①と②は自分で書くしかありません。

▶ 説明欄の書き方とリンクの扱いは 採用・求人動画の説明欄リンクが飛ばない原因と、上級者向け機能/サムネイルの文字と顔は 採用動画のサムネイル|応募につながる文字と顔の入れ方

なぜ「マイク」が1階に効くのか

ここが、いちばん意外に思われるところだと思います。

YouTubeの自動字幕は、音声認識で作られます。YouTubeの公式ヘルプには、自動字幕が生成されない理由として「音質が悪い」「音声を認識できない」が挙げられています。つまり——音が悪いと、字幕が作られません。字幕が作られないということは、AIが読む文字がそもそも生まれないということです。

私はもともと「スマホで撮るなら、足すべきはマイクです」と書いてきました。理由は「聞き取りやすいから」でした。いま、そこに理由がもう1つ乗りました。

参照:YouTubeヘルプ「自動字幕起こしを使用する」/機材の選び方は 企業YouTube撮影の機材|スマホで大丈夫?

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表4:どこにお金と手間をかけると、どちらの階に効くのか
投資先1階
(AIが読む文字)
2階
(人が確かめる映像)
ひとこと
マイク効く効く音が悪いと字幕が作られない=文字が生まれない
結論から話す効く効く字幕と説明欄が読みやすくなる。人も離脱しない
顔を出す効かない効くAIは顔を読めない。だからこそ人には効く
台本を読まない効く読むと「文字の代わり」になり、2階の価値が消える
4K・凝った編集効かないほぼ効かないいちばん多い誤解。HDで十分です

私は昔から「画質や編集の質ではなく、情報の質を上げてください」と言ってきました。AIの時代になっても、この結論は変わりませんでした。むしろ根拠が増えました。画質はAIに1ピクセルも伝わらないからです。

YouTubeに4K撮影は必要?企業動画はHDで十分な理由

実例|「クオリティが大丈夫か」がいちばんのネックだった方の話

支援先の中小企業診断士の先生と、対談したときの話です。YouTubeを始めて約3か月、30本目のあたりで、同業の中小企業診断士の方から問い合わせが入りました。ご本人も「こんなに早く成果が出るとは思っていなかった」とおっしゃっていました。

私が印象に残っているのは、そこではありません。ご本人がいちばん気にされていたのは「動画のクオリティが大丈夫なのか」だったということです。そして、依頼された側は「問題ありません」と言った。

選ぶ側は、画質を見ていませんでした。これは私が「画質より情報の質」と言い続けてきたことの、いちばん分かりやすい実例だと思っています。

動画:【成功事例】中小企業診断士YouTube集客、30本で受注!依頼が来た経緯編(11分26秒/2025年11月23日公開)。クリックするとその場で再生します。

▶ 記事はこちら:【成功事例】中小企業診断士YouTube集客、30本で受注!依頼が来た経緯編

「うちの動画は、1階が埋まっていますか?」

この記事でやっている確認は、全部0円でできます。ただ、自社サイトの何を見ればいいのか分からない、という段階でしたら、支援の中身と費用をまとめたページをご覧ください。売り込みはしません。

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信頼は、要約できません

📌 このセクションの要点2階がなぜ効くのか。答えは信頼です。AIは「何を」は要約できますが、「誰を信じるか」は要約できません。だから2階が残ります。

ここまで「AIには読めないから2階が残る」と書いてきましたが、それは”読めない理由”であって、”効く理由”ではありません。効く理由をはっきり書きます。信頼につながるからです。

顔が見えないと、話を聞いてもらえない

私は「仕事でやる以上、顔出しは絶対に必要」と言い続けてきました。理由は単純です。顔の見えない人から、真剣に話が聞けるでしょうか。

採用で考えると分かりやすいと思います。顔を出さない人に「僕と一緒に働いてみませんか」と言われても、信用できないですよね。同じことが、商品でも起きています。

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表5:顔出しと信頼をめぐる、3つの事実
事実意味するところ
顔出しなしの説明には、約3分の1がネガティブな印象を持つ「顔を出さない」は中立ではなく、マイナスから始まる
車・家・保険など、高額な商品ほど「誰から買うか」で判断される金額が大きいほど、2階が効く
Googleの品質評価ガイドラインはE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を重視している顔出しは信頼性と権威性を高める

▶ 詳しくは 企業YouTube動画、顔出しは絶対に必要です

AIが要約する時代になって、この話には別の意味が加わりました。AIは顔を読めません。要約にも引用にも、顔は入ってきません。つまり「誰がやっているのか」は、AIがどれだけ賢くなっても代わりに答えられない部分として残ります。

実例|YouTubeを見て、旅館に入社を決めた社員の話

支援先の旅館で、YouTubeを見て入社を決めた社員の方に、その経緯を聞いたことがあります。対談の動画にして公開しているのですが、私にとっては忘れられない一言がありました。

「写真とか文字では表せない、親切さとか、動画じゃないと伝わらないものが、ひしひしと感じられた」

もう1つ、その方が言っていたのは「本当にそうなのかな、って、まず疑問が湧くんです」ということでした。求人票にどれだけ良いことが書いてあっても、「これは作ってるでしょ」と一度は疑う。だから確かめに行く。そのときに見られるものがあるかどうかで、結果が変わります。

これが、この記事で言っている「2階」です。親切さは、要約できません。文字にすると「アットホームな職場です」になってしまい、それはもう何の情報でもない。この旅館のコンセプトは「ありのままを出す」でした。

動画:【旅館求人】YouTube見て入社した社員に、実際の経緯を聞いてみた!(11分51秒/2022年10月25日公開)。クリックするとその場で再生します。

▶ 記事はこちら:YouTube見て旅館に入社した社員に、実際の経緯を聞いてみた!

2階にしかないものが、4つあります

①顔|誰がやっているのか。上に書いたとおりです。顔が見えている安心感は、文字では作れません。

②声と間|台本を読んでいないこと。「動画は残るし、誰が見るか分からないから、ちゃんと話さないと」——よく言われます。私はこれに対して、台本やカンペは要りませんと答えてきました。営業の場でもセミナーでも、台本を読む人はいません。読むと目線が外れ、見ている人に不信感が生まれます。
ここもAIの時代に意味が変わりました。台本を読み上げた動画は、実質「文字の読み上げ」です。それなら、AIが要約したほうが速い。台本を読んでいない動画——言い淀みも、間も、その場の言葉も含めて——だけが、要約では代われない情報になります。

企業YouTube運用、撮影で台本やカンペは必要ありません!

③手つきと時間|実際どれくらい大変なのか。作業の手つき、かかる時間、道具の扱い。これは文字にすると、どうしても薄くなります。「丁寧に施工します」と書いてある会社と、実際に手を動かしている10分の動画では、伝わる量が違います。
ちなみに、話す順番は変えたほうがいいです。テレビは最後に山場を持ってきますが、YouTubeは逆で、最初にピークを作ります。結論から話す(PREP法)と、離脱もされにくく、字幕にしたときAIにも読みやすくなります。1階と2階の両方に効く、数少ないポイントです。

テレビとYouTubeは動画の構成が真逆!離脱されない作り方YouTube動画の構成はPREP法!効果的な作り方を解説

④現場の空気|きれいだと書いてあっても、確かめたくなる。工場の中、店内、車両、休憩室。「清潔です」と書いてある文字は、いくらでも書けます。だから見る側は確かめたくなる。AIが要約を出したあとに、人がわざわざクリックする理由があるとすれば、ここです。

【後半】「流れる動画」ではなく「残る動画」に置く

📌 ここから後半です残りは3つだけです。この章で「どこに置くか」、次の章で「業種別」、最後に「今日やること3つ」。お急ぎなら、最後の章だけでも役に立ちます。
この章の要点は1つ。再生回数を目標にするのをやめてください。効くのは、多くの人に見せる動画ではなく、決める直前の一人が確かめる動画です。

まず、仕組みの話から(ここを飛ばすと意味が分かりません)

よく「フロー型・ストック型」という言い方をしますが、これは動画の中身で決まるのではありません。流れ方の仕組みが違います。

縦型ショートは、スマホで自動再生され、つまらなければスワイプで次へ行きます。視聴者は探しに来たのではなく、流れてきたものを見ています。そして流れていきます。

横動画は違います。関連動画・トップ画面のおすすめ・YouTube検索という3つの入口から、探して見つけてもらうものです。だから、公開してから時間が経っても見つかります。

ここがAIの時代に効いてきます。AIが要約を出したあとに「本当かな」と確かめに来る人は、公開直後に来るわけではありません。調べていて、必要になったときに来ます。そのとき見つかる場所に置いていなければ、意味がありません。

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表6:流れる動画と、残る動画|仕組みが違います
流れる動画(縦型ショート)残る動画(横動画)
仕組みスマホで自動再生。スワイプで次へ関連動画・おすすめ・YouTube検索の3つの入口から見つかる
見つかり方流れてくる(受け身)探して来る(能動)
どんな動画になりやすいかトレンドに乗せたもの/イベント速報/告知会社紹介/お客様事例/作業工程/よくある質問への回答/料金の説明
出すのを止めたらすぐ止まる残り続ける
AIが要約する時代受け皿になりにくい受け皿になる

私は昔から「企業の撮影は横向きで」と言ってきました。理由は流入経路でした。いまはそこに、AIの受け皿という理由が乗ります。

お客様事例こそ、残る側に置いてください。「この会社に頼んで大丈夫か」を確かめたい人が、いちばん見たいものだからです。

▶ 仕組みの詳しいところは 縦型ショート動画と横動画はアルゴリズムが全く違う/使い分けは 縦型ショートより横動画が企業集客に強い理由

業種でいうと、どの動画が「確かめる材料」になるか

📌 このセクションの要点すでに持っている動画の種類は、業種でだいぶ違います。共通しているのは「現場・人・手つきが写っているものほど、確かめる材料になる」ということです。

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表7:業種別・確かめる材料になりやすい動画
業種効きやすい動画2階のどれが写るか
製造業加工の様子、工場内、検査工程手つきと時間/現場の空気
建設・工事施工中の現場、職人の手つき、片付けの様子手つきと時間/現場の空気
旅館・観光部屋からの景色、食事、館内の動線現場の空気
運送・採用1日の流れ、車両、休憩所、社員の話顔/声と間/現場の空気
士業・コンサル面談の様子、考え方を話す動画顔/声と間

もし「うちには当てはまる動画がない」と思われたら、新しく撮る前に、いまある動画の1階を埋めるほうが先だと思います。次の章がそれです。

この記事に置いた動画も、新しく撮ったものではありません

ひとつ、正直にしておきます。下に置いた動画は、当社が2026年1月に公開したものです。この記事のために撮り直してはいません。言っていることを、自分でやっているというだけの話です。

動画:2-1 動画マーケティングの基本は、Googleが提唱してる3H戦略!(8分10秒/2026年1月28日公開)。クリックするとその場で再生します。

今日やること3つ(全部0円)

📌 このセクションの要点新しく動画を作る前に、いまある動画の1階が埋まっているかを確かめてください。3つとも無料で、合わせて30分ほどです。

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表8:今日やること3つ(費用0円)
やること見るところ目安
1動画のタイトルが動画ごとに違うか見る「会社紹介①②③」のような連番になっていないか10分
2説明欄が1〜2行で終わっていないか見る誰が・何を・どこで話しているかが文字で書いてあるか10分
3自社の動画に自動字幕が付いているか見るYouTubeで動画を開き、字幕ボタンを押す。付いていなければ音の問題を疑う10分

この3つは0円です。外注して費用がかかるのは、たいてい「動画を新しく作る」部分であって、いまある動画の1階を埋める部分ではありません。順番としては、確かめるのが先です。作ってから1階が空だったと分かるのが、いちばんもったいない。

なお、動画制作が止まっている会社の理由は、だいたい共通しています。そちらは調査データつきで別に書いています。

もっとやるなら|企業YouTubeのAI対応チェックリスト10項目

※ 横にスクロールできます

表9:企業YouTubeのAI対応チェックリスト(上の3つが終わってから)
#チェック項目どちらの階か
1動画のタイトルが、動画ごとに固有になっているか1階
2説明欄に「誰が・何を・どこで」が書いてあるか1階
3説明欄に章立て(00:00〜)があるか1階
4自動字幕が生成されているか(=音は足りているか)1階
5サムネイルに文字と顔が入っているか1階
61本1テーマになっているか(詰め込みすぎていないか)両方
7顔が写っているか2階
8台本を読み上げていないか2階
9お客様事例の動画があるか2階
10自社サイトにも埋め込み、本文に要点を文字で書いているか両方

10項目を一度にやろうとしないでください。上の3つが終わってから、1つずつで十分です。

動画制作が進まない理由|課題データと、内製で解決する方法を解説

それでも「AIに引用される」と断定はできません

⚠ ここは書けません「1階を埋めればAIに引用される」とは、当社は書けません。引用の条件は、各社が公式に説明していないからです。2026年8月時点の話です。仕様は変わります。

当社は自社サイトで、動画についても「AIに伝えるための実装」を一通りやって、Search Consoleで前後を測りました。数字は動きましたが、それでも「引用される」と言い切れるところまでは行っていません。

この実装の中身と実測は、経営者の方が読む話ではないので、別の記事に分けます。構造化データやインデックス登録の話は、そちらでまとめて書きます。

最後に、この記事でいちばん言いたかったことを書きます。

Googleが品質の目安にしているE-E-A-Tの、最後のTはTrust——信頼です。AIは「何を」は要約できます。でも「誰を信じるか」は、要約できません。

だから私は、これからも顔を出して、台本を持たずに話します。それが、要約されない側に残る方法だと思っているからです。

まずは現状を知るところから

いまある動画の「1階」、埋まっていますか

当社は自社サイトで、同じことを先に全部やっています。うまくいったことも、取りこぼしたままのことも、そのままお伝えします。売り込みはしません。

※ ITコーディネータ・酒井大輔が対応します。

よくある質問(FAQ)

FAQ経営者の方から実際にいただいた質問を、関心の順に並べました。
Q何から始めればいいですか
新しく動画を作る前に、いまある動画のタイトルと説明欄を見てください。1階でいちばん効くのはこの2つで、誰も代わりに書いてくれません。3つで30分、費用はかかりません。
Q費用はいくらかかりますか
この記事で挙げた3つの確認は0円です。費用がかかるのは動画を新しく作る部分で、いまある動画の文字を埋める部分ではありません。
QAIは動画を見られないのですか
渡せば読みます。Geminiは映像と音声の両方を処理すると公式に書かれています。ただし同じGeminiでも、URLを読みに行く機能では動画を対象外と明記しています。
Q4Kで撮ったほうがAIに評価されますか
評価されません。画質はAIが読む文字に一切影響しないためです。人が見る分にもHDで十分で、当社は以前から画質より情報の質を優先することをお勧めしています。
Q顔出しはどうしても必要ですか
仕事で動画をやる以上、必要だと考えています。顔出しなしの説明には約3分の1がネガティブな印象を持つとされ、高額な商品ほど「誰から買うか」で判断されるためです。
Qショート動画ではだめですか
確かめる材料としては向きません。スマホで自動再生されスワイプで流れていく仕組みで、探して見つけてもらう動画ではないからです。拡散の入口としては使えます。

まとめ

  • AI検索がいちばん引用しているドメインはYouTube。ただし読まれているのは映像ではなく、動画についている文字です。
  • 動画は1階(AIが読む文字)と2階(人が確かめる映像)の二階建て。手のかけ方が違います。
  • 1階でいちばん効くのはタイトルと説明欄。字幕は自動で作られますが、この2つは誰も代わりに書いてくれません。
  • マイクは1階に効きます。音が悪いと字幕が作られず、AIが読む文字が生まれません。4Kと凝った編集は、どちらの階にも効きません。
  • 2階が効く理由は、信頼です。AIは「何を」は要約できても、「誰を信じるか」は要約できません。
  • 置き場所は「流れる動画」ではなく「残る動画」へ。確かめに来る人は、あとから探して来ます。
  • 日本の企業の19.9%が「特に何もしていない」(米独0.7%/中国0.3%)。準備するだけで、まだ差がつきます。

▶ 執筆者「YouTubeコンサルタント 酒井大輔」の詳しいプロフィールを見る