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生成AI#AIの身近な例#昨日の常識は今日の非常識

AIの身近な例17選|知らないうちに変わった日本の常識

全17項目に出典当社・支援先の実測つき情報は2026年10月24日時点

著者:酒井大輔(ITコーディネータ) | 公開日:2026年10月26日 | 読了目安:約31分(一覧の表だけなら3分)

この記事の要点AIの身近な例といえば、スマホの音声アシスタントや通販の「おすすめ」を思い浮かべるかもしれません。でも今は、税務署がAIで調査の相手を選び、電話の声やメールの日本語が本人の証明にならない時代です。私がいつもお話ししている「生成AIで、昨日の常識が今日の非常識になる」実例を、17個にまとめました。前半は、プロの世界ではもう常識なのに知られていないこと。後半は、誰もが感じている変化です。すべて公的な数字と出典つきです。
📌 30秒まとめAIの身近な例は、スマホの音声アシスタント、検索結果に出るAIの答え、通販の「おすすめ」、迷惑メールの振り分け、翻訳アプリなどです。日本では15〜69歳の58.8%が生成AIを使ったことがあり(15〜19歳は91.7%)、AIは「使われている」だけでなく、昨日までの常識を変えています。
  • なぜ変わるのか:生成AIは、人が何か月もかけていた仕事を、速く・安く・大量にこなします。その同じ力が、得する方向にも、気をつける方向にも働きます(2026年10月のPHPの欠陥の件がその例)。17個のうち11個は、自分がAIを使っていなくても起きている変化です。
  • 知られていない変化:税務署はAIで調査の相手を選び、都道府県と政令市はすべて生成AIを導入済み。IPAはAIの利用を組織の脅威の3位に挙げました(第1部)。
  • 誰もが感じる変化:自然な日本語のメールも、顔と声も、写真も、もう本人や事実の証明になりません(第2部)。
  • 社長がやること:お金の話はかけ直して確かめる。AIでの自社の見え方を確かめる。AIの使い方を決める。
酒井大輔 ITコーディネータ ユーチューブビジネスサポート代表

この記事の著者

酒井 大輔(Sakai Daisuke)|ユーチューブビジネスサポート 代表

ITコーディネータ。中小企業の生成AI活用とYouTube・Webマーケを支援。東京都中小企業振興公社の専門家で、公的機関や団体などでのセミナー・研修は100回以上。2008年から企業のYouTube活用を支援し、自社サイトの公開記事は投稿582本・固定ページ24本(2026年10月21日時点)。記事づくりや動画の文字起こしに、日々生成AIを使っています。代表プロフィール。

書籍『経営戦略は動画が最強! 集客・採用・売上の課題解決!YouTube運用の教科書』の表紙。酒井大輔 著、セルバ出版、2026年1月発売

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AIの身近な例|毎日使っているAIと、変わった常識

📌 このセクションの要点身近なAIは、電話・メール・写真・買い物・言葉・調べものなど、毎日の場面にすでにあります。その多くは「便利になった」を超えて、昨日までの常識を変えています。

まずは、毎日使っている身近なAIと、そのAIの先で、何が当たり前でなくなったかを表にしました。

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表1:毎日使っている身近なAIと、その先で変わった常識(2026年10月24日時点)
場面身近なAIの例AIの種類その先で変わった常識
電話・ビデオ通話声や顔をそっくりに作るAI(悪用されると詐欺に)相手が使う(悪用)第2部の2位:顔と声では、本人だと分からない
メール・SMS迷惑メールの振り分け(守る側)と、自然な日本語の詐欺メール(攻める側)組み込み/相手が使う(悪用)第2部の1位:「自然な日本語なら安全」が通用しない
写真・動画・SNS写真の自動補正、画像や動画を作るAI組み込み/相手が使う(悪用)第2部の3位:写真や映像は、事実の証拠ではなくなった
学校・就活宿題やエントリーシートの下書き・推敲自分で選ぶ第2部の4位:AIを使うのが前提になった
買い物・外食通販や動画の「おすすめ」表示、コンビニやスーパーの発注・値引き組み込み/お店が使う第1部の5位:発注や値引きは、店長の勘からAIへ
言葉・旅行翻訳アプリ、通訳してくれるイヤホン組み込み第2部の5位:言葉が通じなくても話せる
調べものGoogle・Yahoo!の検索結果に出るAIの答え組み込みAIが先に答えるようになった(会社への影響は社長がやること②)
家の中・移動お掃除ロボット、スマートスピーカー、地図アプリの渋滞予測組み込みランキング外(便利にはなったが、常識が変わったとまでは言えないため)

8行目の家電や地図アプリも身近なAIですが、「便利になった」までで、常識が変わったとまでは言えないため、ランキングには入れていません。ここからは、常識まで変わった17個を2部に分けて紹介します。第1部は、世の中にはまだ知られていないのに、プロの世界ではもう常識が変わったこと。第2部は、誰もが感じている常識の変化です。

身近なAIには、大きく2つの種類があります。データから見分けたり予測したりするAI(おすすめ表示、迷惑メールの振り分け、お店の発注、病変の検出など)と、文章・画像・声をつくる生成AI(文章の下書き、本物そっくりの声や写真など)です。17個には両方が入っています。次の章の「両刃」の話は、主に生成AIの話です。

なぜ常識が変わるのか|AIは両刃の道具

📌 このセクションの要点生成AIは、人が何か月もかけていた仕事を、速く・安く・大量にこなします。その同じ力が、得する方向にも、気をつける方向にも働きます。だから、昨日までの常識が、良い意味でも悪い意味でも入れ替わっていきます。

いちばん分かりやすい例が、2026年10月のPHPの件です。PHPは、WordPressなど多くのホームページの裏側で動いているプログラムです。10月21日、このPHPに重大な欠陥が2件見つかり、修正版が公開されました。調査に関わった企業は、AIを使って欠陥を見つけたと公表しています。一方で、修正版の公開の前後から攻撃の試みも報告され、国内でもIPAやJPCERT/CCが更新を呼びかけました。今回の攻撃にAIが使われたかは分かっていません。ただ、欠陥を見つけるAIの力は、守る側にも攻める側にも同じように使えます。

出典:IPA「PHPの脆弱性対策について」/JPCERT/CC 注意喚起/Wiz(英語)

📍 当社でも確かめました

当社のサイトはさくらのレンタルサーバーで動いています。管理画面で、修正版のPHP 8.3.36になっていることを確認しました(2026年10月24日)。社長がやることは、こちらの記事にまとめています。

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表2:同じAIの力が、得する方向にも、気をつける方向にも使われる(2026年10月24日時点)
AIの力得する使い方気をつける使い方
声や顔をそっくりに作る通訳してくれるイヤホン(第2部の5位)なりすましの電話・ビデオ会議(第2部の2位)
自然な文章を作るエントリーシートの推敲・役所の文書づくり(第2部の4位・第1部の3位)自然な日本語の詐欺メール(第2部の1位)
画像や映像を作る写真の補正、広告や資料の画像づくり本物そっくりの偽の画像・動画(第2部の3位)
大量のデータから見つける病変・道路の穴・申告漏れのリスク(第1部の7位・7位・1位)—
ソフトの欠陥を見つける見つけて直す(PHPの件)攻撃に使われる(第1部の2位)
人の相談に乗る悩みが減った人が75.0%(第2部の7位)子どもを守る法律ができた(第2部の7位)

もう1つの見方は、誰が使うAIかです。自分で選んで使うAI、気づかないうちに組み込まれているAI、相手や社会が使っているAIの3つに分けると、17個のうち11個は、自分がAIを使っていなくても起きている変化でした。「うちはAIを使っていないから関係ない」とは、もう言えません。

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表3:誰が使うAIか|3つに分けると、社長がやることも分かる(2026年10月24日時点)
AIの種類例この記事の17個のうち社長がやること
自分で選んで使うAIChatGPT・Claudeなど。エントリーシートの推敲、悩み相談、社員の業務での活用5個③ 社員のAIの使い方を決める
気づかないうちに組み込まれているAI検索結果のAIの答え、写真の自動補正、通販の「おすすめ」、迷惑メールの振り分け、通訳イヤホン1個(表1の多く)② AIの答えを鵜呑みにせず、自社がどう答えられているか確かめる
相手や社会が使っているAI税務署・役所・お店・宅急便・病院・警察・点検。なりすましや偽の画像など、悪用する側のAIも11個① お金の話はかけ直して確かめる。サイトのPHPなどを最新に保つ

そこで、この記事の17個には、「得する変化」「気をつける変化」「両方の面がある」の印と、「誰が使うAIか」の印を付けました。数えると、得する変化が9個、気をつける変化が6個、両方の面があるものが2個です。生成AIのメリットとデメリットは、別々にあるのではなく、同じ力の表と裏です。守りの考え方は、中小企業のセキュリティ対策|生成AI時代はゼロトラストにまとめています。

AIの身近な活用事例|第1部 知られていないが、プロの世界ではもう常識(10選)

📌 このセクションの要点税務署、セキュリティ、役所、法律、お店、IT企業、物流、医療、警察、点検。世の中にはまだあまり知られていないのに、その世界ではもう昔のやり方が通用しなくなったことを10個、点数の順に並べました。

採点の基準は3つで、各5点です。①日本での証拠の強さ(法律・制度・公的な統計・大手の公式発表を重く見る)、②その世界での非常識度(昔のやり方のままだと、損をする・危ない・ルール違反になるか)、③世の中での知られていなさです。同点のときは②、③、①の順に大きい方を上にし、それでも並ぶものは同じ順位にしました。順位をクリックすると、その項目へ移動します。

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表4:第1部|知られていないが、プロの世界ではもう常識(10選・2026年10月21日時点。点数=①日本での証拠の強さ ②その世界での非常識度 ③世の中での知られていなさ、各5点満点)
順位昨日の常識 → 今日の常識いちばん強い証拠点数(①+②+③)
1位
注意
相手・社会
税務調査の相手は、ベテランの勘で選ぶ
→ AIが申告漏れのリスクを点数にする
国税庁の予測モデルの判定結果を、全国すべての国税局・税務署で活用(2026年7月公表)。法人税・消費税の追徴は直近10年で最高5+5+4=14
2位
注意
自分で
AIは便利な道具。使い方は社員の自由
→ AIの利用が、組織の脅威の上位に
IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」組織編で「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初選出で3位5+4+4=13
3位
得
相手・社会
役所はアナログ。AIは使わない
→ 都道府県・政令市は全団体が導入済み
生成AIの導入は都道府県・政令市で100%、その他の市区町村で45.6%(2025年10月末)5+3+5=13
3位
得
自分で
契約書をAIにチェックさせたら、違法かもしれない
→ 国が使い方の線引きを示した
法務省の文書(2023年8月・2026年8月)5+3+5=13
5位
得
相手・社会
発注や値引きは、店長の勘
→ AIが勧める
ローソンは全店でAIが発注・値引きを勧める(2024年〜)。イオンリテールはロス率1割以上減4+4+4=12
6位
得
自分で
AIは、使いたい人が使う道具
→ 全社員でAI活用が前提の会社も。新しいコードの75%をAIが書く会社も
LINEヤフー約1.1万人(2025年7月)。Googleは新しいコードの75%をAIが生成5+4+3=12
7位
得
相手・社会
宅急便の荷物の量は、現場の経験で見込む
→ AIが3か月先まで予測する
ヤマトグループが3か月先までの日別の業務量を機械学習で予測4+3+5=12
7位
得
相手・社会
病変は、医師の目だけで探す
→ AIで見つけると、保険の点数が付く
大腸ポリープの切除手術で、AIの検出支援に60点を加算(2024年6月〜)4+3+5=12
7位
得
相手・社会
闇バイトの募集は、警察官が目で探す
→ AIが投稿を拾い出す
警察白書(AIで募集投稿を抽出し、個別に警告)。2025年は7万件超の警告(報道)4+3+5=12
7位
得
相手・社会
点検は、ベテランの目と勘
→ AIが見つける
道路の穴をAIで見つけるサービスを51以上の自治体が導入。衛星とAIで漏水リスクを示すサービスの契約は累計50自治体超4+3+5=12

点数は筆者の判断です。基準を公開しているので、点数ごとに異論を検討できます。

1位 「税務調査の相手は、ベテランの勘で選ぶ」→ AIが申告漏れのリスクを点数にする気をつける変化相手・社会が使うAI

昨日の常識

「税務調査の相手は、ベテランの勘で選ぶ」

今日の常識

AIが申告漏れのリスクを点数にする

国税庁は、保有する膨大なデータをAIで分析し、各税目について「申告漏れのリスク」を判定して点数にする予測モデルを作り、その判定結果を全国すべての国税局・税務署で使っています(「国税庁におけるAIの活用」2026年7月)。

法人税では、AIを使った予測モデルで調査の必要が高い法人を選び、ほかの資料情報もあわせて分析したうえで、調査するかどうかを最終的に調査官が判断しています。2024事務年度(税務署の1年の区切りで、2024年7月〜2025年6月)は、実地調査の件数が7.4%減ったのに、実地調査による法人税・消費税の追徴税額は3,407億円(前の事務年度より6.6%増)で、直近10年で最高でした。

所得税でも、調査先の選定にAIを使うなどした結果、調査などによる追徴税額は1,431億円で、比較できる2009事務年度以降で最高でした(2024事務年度)。

変わった常識:税務署は、申告書だけでなく、国税組織が持つさまざまな資料情報もあわせてAIで分析し、調査の相手を選んでいます。正しく申告していれば怖がる話ではありませんが、「会社が小さいから見られていないだろう」という前提は、もう成り立たないと筆者は考えます。

出典と注意を見る

出典:国税庁「国税庁におけるAIの活用」(PDF)/国税庁「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」(PDF)/国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」(PDF)

注意:国税庁自身が「調査対象の全てが予測モデルを活用した事案ではない」としています。追徴が増えたことを、すべてAIの効果とは言えません。

2位 「AIは便利な道具。使い方は社員の自由」→ AIの利用が、組織の脅威の上位に気をつける変化自分で選ぶAI

昨日の常識

「AIは便利な道具。使い方は社員の自由」

今日の常識

AIの利用が、組織の脅威の上位に

IPA(情報処理推進機構)が毎年発表する「情報セキュリティ10大脅威」の2026年版(組織編)で、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選ばれ、いきなり3位に入りました(2026年1月29日発表)。

1位はランサム攻撃(データを人質にお金を要求する攻撃)による被害、2位はサプライチェーンや委託先を狙った攻撃です。AIの利用をめぐるリスクは、それに次ぐ脅威と見なされています。

変わった常識:AIは「便利だから、各自で使えばよい」道具ではなくなりました。AIの使い方を誤るリスクや、AIを悪用した攻撃の巧妙化まで含めて、AIをめぐるリスクが、組織の脅威の3位に入りました。

出典と注意を見る

出典:IPA プレスリリース/IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」

注意:IPAはこの3位に、AIへの理解不足による意図しない情報漏えいや権利の侵害、AIの出力を確かめずに信じてしまうことによる問題、AIの悪用によるサイバー攻撃の容易化・巧妙化を、まとめて挙げています。

3位 「役所はアナログ。AIなんて使わない」→ 都道府県と政令市は、すべて生成AIを導入済み得する変化相手・社会が使うAI

昨日の常識

「役所はアナログ。AIなんて使わない」

今日の常識

都道府県と政令市は、すべて生成AIを導入済み

生成AIを導入済みの自治体は、都道府県と指定都市(政令市)で100%、そのほかの市区町村で45.6%になりました(2025年10月31日時点)。

前回(2024年12月31日時点)は、都道府県87.2%、指定都市90.0%、そのほかの市区町村29.9%でした。約10か月で大きく増えています。

変わった常識:「役所は紙とハンコ」のイメージとは逆に、都道府県と政令市は、すべての団体が生成AIを導入済みです。そのほかの市区町村も半数近く(45.6%)まで広がりました。

出典と注意を見る

出典:総務省 報道資料/総務省(2025年度の概要・PDF)/総務省(2024年度・PDF)

注意:「導入済み」が全庁での利用か、一部の部署での利用か、職員がどのくらい日常的に使っているかは、この調査からは分かりません。

3位 「契約書をAIにチェックさせたら、違法かもしれない」→ 国が使い方の線引きを示した得する変化自分で選ぶAI

昨日の常識

「契約書をAIにチェックさせたら、違法かもしれない」

今日の常識

国が使い方の線引きを示した

法務省は2023年8月、AIを使った契約書のチェックと、弁護士法72条(弁護士でない人が、報酬を目的に、法律のもめごとに関わる法律の仕事をしてはいけない、という決まり)との関係について、考え方を示しました。ひな形との違いを示すだけのサービスは通常は当たらず、社内の弁護士が結果を自分で確かめて使う形なら、通常は違反しないと考えられる、としています。

2026年8月21日には、2023年のガイドラインを補完・拡充する新しいガイドラインも公表しました。契約書のチェックに限らず、ビジネス分野のAI等法務業務支援サービスと弁護士法72条との関係を整理したものです。

変わった常識:契約書の確認は「人が一から読むもの」から、「AIが先に読み、人が判断するもの」に変わりつつあります。国がその使い方の線引きを示しました。

出典と注意を見る

出典:法務省(2023年8月・PDF)/法務省(2026年8月・PDF)/法務省のページ

注意:最終的には、個別の事案ごとに裁判所が判断します。筆者は法律の専門家ではないため、実際の使い方は弁護士に確認してください。

5位 「店の発注や値引きは、店長の経験と勘」→ AIが勧める得する変化相手・社会が使うAI

昨日の常識

「店の発注や値引きは、店長の経験と勘」

今日の常識

AIが勧める

ローソンは2024年に、AIが発注数と値引きを勧めるシステムを全店に入れました。

イオンリテールでは、AIが過去の販売データから値引き率を示し、導入前よりロス率が1割以上下がったと発表しています(約380店・2024年5月時点)。

丸亀製麺は、AIの客数予測を発注やうどんの仕込み量の調整に使う仕組みの、国内全823店での採用を決めました(2023年2月発表。店舗数は2023年1月末時点)。

変わった常識:ベテランの店長でなくても、売れる数と値引きのタイミングが分かるようになりました。勘だけの発注は、廃棄で損をする時代です。

出典と注意を見る

出典:Impress Watch(ローソン)/Impress Watch(イオン)/トリドールHD(PDF)

注意:イオンリテールの「ロス率1割以上減」は同社の発表で、どの売場・店舗での数字かは出典に書かれていません。丸亀製麺は全店での採用を決めたという発表で、効果の数字は出ていません。

6位 「AIは、使いたい人が使う道具」→ 全社員でAI活用が前提の会社も。新しいコードの75%をAIが書く会社も得する変化自分で選ぶAI

昨日の常識

「AIは、使いたい人が使う道具」

今日の常識

全社員でAI活用が前提の会社も。新しいコードの75%をAIが書く会社も

LINEヤフーは2025年7月、全従業員約11,000人を対象に、業務での「生成AI活用の義務化」を前提とした働き方を始めると発表しました。3年で業務の生産性を2倍にすることを目指しています。

Googleでは、新しく書かれるコードの75%をAIが生成し、エンジニアが承認しています(2026年4月発表。前年秋は50%)。

変わった常識:LINEヤフーやGoogleのように、AIを使うかどうかが個人の好みではなく、仕事のやり方そのものになった会社が出てきました。

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出典:LINEヤフー/Google

注意:LINEヤフーの「3年で業務生産性を2倍」は目標で、達成した数字ではありません。Googleの75%は新しく書くコードの割合で、すべてのコードではありません。

7位 「宅急便の荷物の量は、現場の経験で見込む」→ AIが3か月先まで予測する得する変化相手・社会が使うAI

昨日の常識

「宅急便の荷物の量は、現場の経験で見込む」

今日の常識

AIが3か月先まで予測する

ヤマトグループは、機械学習で3か月先までの日別の業務量を予測し、それをもとに営業所や仕分けターミナル、幹線輸送の人員と車両の計画を作っています(2022年3月期の取り組み)。

変わった常識:毎日の荷物の量を、人の経験より先にAIが読み、人と車を手配する時代になりました。

出典と注意を見る

出典:ヤマトホールディングス(PDF)/IT Leaders

注意:公式資料の言葉は「機械学習」です。この資料には、予測の精度や削減の効果の数字は書かれていません。

7位 「病変は、医師の目だけで探す」→ AIで見つけると、保険の点数が付く得する変化相手・社会が使うAI

昨日の常識

「病変は、医師の目だけで探す」

今日の常識

AIで見つけると、保険の点数が付く

2024年6月から、大腸ポリープ・粘膜切除術でAIの病変検出支援を使うと、診療報酬に60点が加算されるようになりました。

スウェーデンの10万5千人超の試験では、AIを入れた乳がん検診で、がんの発見が29%増え、読影の負担は44%減りました(2025年発表)。

薬の開発でも、AIを何らかの形で使った薬の候補が、少なくとも117件、臨床試験に入っています(2025年12月時点。数え方で推計に幅があります)。タンパク質の構造をAIで予測した研究者は、2024年のノーベル化学賞を受けました。

変わった常識:医療の現場では、AIが医師の目を支えることが、国の保険の制度の中に入り始めました。

出典と注意を見る

出典:富士フイルム/ITN/IntuitionLabs/ノーベル賞(プレスリリース)

注意:AIで見つけた薬で、米国FDAの正式な承認に至ったものは、2026年7月時点の業界の集計ではまだありません。「寿命が延びた」というデータもまだありません。

7位 「闇バイトの募集は、警察官が目で探す」→ AIが投稿を拾い出し、警察が1件ずつ警告する得する変化相手・社会が使うAI

昨日の常識

「闇バイトの募集は、警察官が目で探す」

今日の常識

AIが投稿を拾い出し、警察が1件ずつ警告する

警察は、SNS上の犯罪の実行者の募集情報をAIで効率よく拾い出す仕組みを作り、返信機能を使った個別の警告に役立てています(令和7年版 警察白書)。

2025年には、33都道府県警が、闇バイトの勧誘が疑われるXの投稿に対して、7万件を超える警告を出しました(警察庁への取材にもとづく共同通信の報道)。

変わった常識:「SNSなら紛れて見つからない」は、もう通用しません。

出典と注意を見る

出典:令和7年版 警察白書/さきがけ(共同通信)

注意:7万件超は報道の数字です。警察庁が公表した統計では確認していません。

7位 「点検は、ベテランの目と勘」→ 道路の穴も、水道の漏水も、AIが見つける得する変化相手・社会が使うAI

昨日の常識

「点検は、ベテランの目と勘」

今日の常識

道路の穴も、水道の漏水も、AIが見つける

道路の穴:パトロール車のドライブレコーダーの映像からAIが見つけるNECのサービスだけで、51以上の自治体が導入しています。

水道管の漏水:人工衛星のデータとAIで漏水リスクを5段階で示し、優先して調べる場所が分かるサービス「宇宙水道局」の契約自治体が、累計50を超えました(2025年9月)。

牛の発情や病気:首輪や脚に付けたセンサーの行動データから、兆候を知らせる仕組みが広がっています(「U-motion」は25万台以上を販売)。

鉄道の架線、送電鉄塔のボルト、熊野筆の穂先まで、AIが点検や検品をしています。

変わった常識:「ベテランがいないと点検できない」が崩れました。人手が足りなくても、道路や水道や品質を守る方法ができています。

出典と注意を見る

AIの身近な事例|第2部 誰もが感じている常識の変化(7選)

📌 このセクションの要点ここからは、誰もが日々の暮らしで感じている変化です。上位3つは「信じていいもの」が変わったこと。自然な日本語のメールも、顔と声も、写真も、もう本人や事実の証明になりません。

採点の基準は、①日本で影響を受ける人の多さ、②日本での証拠の強さ、③非常識度(昔の常識のままだと、損をする・危ない・ルール違反になるか)の3つで、各5点です。同点のときは①、③、②の順に大きい方を上にしました。

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表5:第2部|誰もが感じている常識の変化(7選・2026年10月21日時点。点数=①日本で影響を受ける人の多さ ②日本での証拠の強さ ③非常識度、各5点満点)
順位昨日の常識 → 今日の常識いちばん強い証拠点数(①+②+③)
1位
注意
相手・社会
自然な日本語なら安全。小さい会社は狙われない
→ どちらも通用しない
フィッシング報告が過去最多の約245万件(2025年)。(海外)1人がAIで少なくとも17組織を脅迫5+4+5=14
2位
注意
相手・社会
顔と声で、本人だと分かる
→ もう分からない
日本でも写真を送るだけの本人確認を2027年4月に廃止。(海外)ビデオ会議の全員が偽物で約38億円を送金4+5+5=14
3位
注意
相手・社会
写真や映像は、事実の証拠
→ まずAIで作ったものかを疑う
選挙運動でAIで作った画像・動画に表示義務(2027年3月施行)4+5+5=14
4位
両方
自分で
宿題や応募書類は、本人の力で書く
→ AIを使うのが前提
校務で生成AIを使う小中学校が8割超(一部の先生を含む)。就活生の84.9%がAIを使用4+5+4=13
5位
得
組み込み
言葉が通じなければ、話せない
→ イヤホンが通訳する
AirPodsの「ライブ翻訳」が日本語に対応(2025年11月・ベータ版)3+3+4=10
6位
注意
相手・社会
声や文章をAIの学習に使うのは自由
→ 無断で使えば、訴えられる
新聞3社がAI検索の会社を提訴(2025年)。(海外)作家らに15億ドルの和解2+4+4=10
7位
両方
自分で
悩みは、人に相談する
→ AIに相談する
生成AIを使ったことがある20代正社員の49.6%が人生の悩みを相談3+4+2=9

1位 「自然な日本語なら安全」「うちは小さいから狙われない」→ どちらも通用しない気をつける変化相手・社会が使うAI

昨日の常識

「自然な日本語なら安全」「うちは小さいから狙われない」

今日の常識

どちらも通用しない

約245万件
フィッシング報告(2025年)
過去最多
17組織以上
1人の犯罪者がAIで
脅した組織の数(2025年)
2026年6月末
証券会社にフィッシングに強い
認証を求めた期限(原則)

フィッシングの報告は2025年に約245万件で、過去最多です。詐欺師が生成AIで自然な日本語を作るため、文章の違和感では見分けにくくなったと専門家が指摘しています。

証券口座の乗っ取りが相次いだため、金融庁は証券会社に、フィッシングに強い多要素認証(パスワードに加えて、もう一段階で本人を確かめる仕組み)を原則2026年6月末までに必須にするよう求めました。

2026年10月には、ホームページの裏側で動くプログラム「PHP」に重大な欠陥が2件見つかり、修正版の公開の前後から、世界中で攻撃の試みが報告されました。攻撃は会社の大きさに関係なく、PHPで動くサイトを広く探して狙うものです。

海外では、1人の犯罪者がAIを使い、短期間に少なくとも17の組織を脅しました(2025年・ClaudeをつくるAnthropicが公表)。日本でも、19歳がAIでウイルスを作った疑いで逮捕されています(2026年)。

変わった常識:「怪しい日本語に気を付ける」とパスワードだけでは守れない。攻撃が安く速くなり、小さな会社も狙われます。安全だと思っていたやり方が、もう安全ではありません。

📍 当社の考え方|守り方を「家」から「ホテル」へ

私は、これからの守り方を「家」と「ホテルの部屋」に例えてお話ししています。

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表6:これまでの守り方とゼロトラストの違い(酒井の例え・2026年10月時点)
比べることこれまで(家)これから(ホテルの部屋)
前提中に入れば安全自分の部屋の中でも安全ではない
やることオートロック・鍵を増やす・防犯カメラ本当に守るものは金庫へ
金庫の鍵—ネットにつながらない物理的な鍵で守る
中小企業の最初の一歩—まずはパスキーから

中小企業がすぐに全部を変えるのは難しいので、まずはパスキーから、とお伝えしています。

出典と注意を見る

出典:ScanNetSecurity/INTERNET Watch/金融庁(PDF)/Dark Reading/さきがけ/JPCERT/CC(PHP)/ITmedia NEWS(PHPへの攻撃の試み)

注意:フィッシングの増加や口座の乗っ取りが、すべてAIのせいとは言えません。

2位 「顔と声で、本人だと分かる」→ もう分からない気をつける変化相手・社会が使うAI

昨日の常識

「顔と声で、本人だと分かる」

今日の常識

もう分からない

日本では2027年4月から、銀行の口座開設などのオンラインの本人確認で、免許証などの写真を送るだけの方法が廃止され、ICチップの読み取りなどが必要になります。

英国の設計大手Arupでは、ビデオ会議に出たCFOも同僚も全員がAIで作った偽物で、社員が約38億円を送金しました(2024年)。

米国では、15歳の娘の声をAIで作った「誘拐」の電話が母親にかかり、母親は米上院の公聴会で証言しました(2023年)。

変わった常識:顔を見て声を聞いても、本人の証明にならない。家族でも会社でも、合言葉や、こちらからのかけ直しで確かめるのが新しい当たり前です。

出典と注意を見る

出典:三宅坂総合法律事務所の解説(PDF)/CNN/米上院司法委員会

注意:日本の制度変更の理由として国が挙げているのは「精巧な偽造」で、AIとは書いていません。

3位 「写真や映像は、事実の証拠」→ まずAIで作ったものかを疑う気をつける変化相手・社会が使うAI

昨日の常識

「写真や映像は、事実の証拠」

今日の常識

まずAIで作ったものかを疑う

静岡の水害では、AIで作った「水没した街」の画像が広がりました(2022年)。岸田首相(当時)の偽動画では、AIで作った声が使われました(2023年)。

2026年7月に成立した法律で、選挙運動でAIで作ったり変えたりした画像や動画を投稿するときは、そう表示する義務ができました(2027年3月施行・罰則はなし)。

政府の計画(2026年7月閣議決定)にも、「ディープフェイクによるなりすまし広告詐欺」が広がっていると書かれています。

変わった常識:「写真があるから本当」ではなくなった。国が「AIで作ったものは、そう書きなさい」と法律で決める時代です。

出典を見る

4位 「宿題や応募書類は、本人の力で書くもの」→ AIを使うのが前提両方の面がある自分で選ぶAI

昨日の常識

「宿題や応募書類は、本人の力で書くもの」

今日の常識

AIを使うのが前提

校務で生成AIを「全く活用していない」小中学校は16.3%だけになりました(前年度は58.9%)。ただし、半分以上の先生が使っている学校は17.2%で、多くは一部の先生が使っている段階です。東京都は、全都立学校256校の約14万人が生成AIで学べる環境を整えました。

就活生の84.9%がAIを使ったことがあり、使い道の最多は「ES(エントリーシート)の推敲」です。ローソンは、一次面接の前にAIとの面談を入れました(2026年4月入社の採用から)。

変わった常識:「AIを使ったらズル」ではなく、使いこなす力を学ぶものになった。その結果、書類の出来だけでは、その人の力を見分けにくくなっています。

出典を見る

5位 「言葉が通じなければ、話せない」→ イヤホンが通訳する得する変化組み込みのAI

昨日の常識

「言葉が通じなければ、話せない」

今日の常識

イヤホンが通訳する

AirPodsの「ライブ翻訳」が、2025年11月にベータ版で日本語に対応しました。相手の外国語を、その場で訳して耳に届けます。

漫画専用のAI翻訳が、「ONE PIECE」などの多言語での同時配信に使われています。

変わった常識:「英語ができないから海外は無理」は、もう理由になりません。

出典と注意を見る

出典:Impress Watch/gamebiz

注意:AirPodsの日本語は、ベータ版として始まりました。

6位 「声や文章をAIの学習に使うのは自由」→ 無断で使えば、訴えられる気をつける変化相手・社会が使うAI

昨日の常識

「声や文章をAIの学習に使うのは自由」

今日の常識

無断で使えば、訴えられる

読売・朝日・日経は、記事を無断で使ったとして、AI検索の会社を提訴しました(2025年)。

声優の山寺宏一さんら26人が、声を無断でAIに使わないよう呼びかけました(2024年)。

米国では、本の入手と複製をめぐって、AI企業が作家らに15億ドルを払う和解を、裁判所が承認しました(2026年7月)。

変わった常識:人の声や文章を無断でAIに使えば、訴えられる。その流れが始まりました。

出典と注意を見る

出典:Impress Watch/アニメ!アニメ!/Authors Guild/Ward Hadaway(英国の判決)

注意:米国の和解は、過去の本の入手・複製をめぐるもので、「AIの学習そのものに対価が要る」と裁判所が決めたわけではありません。英国の裁判(Getty Images対Stability AI、2025年11月)では作品側の訴えの多くが認められず、判断はまだ分かれています。

7位 「悩みは、人に相談するもの」→ AIに相談する両方の面がある自分で選ぶAI

昨日の常識

「悩みは、人に相談するもの」

今日の常識

AIに相談する

生成AIを使ったことがある20代の正社員の49.6%が、人生の悩みをAIに相談したことがあります。相談した人の75.0%が「悩みが減った」と答えました(マイナビ・2026年4月・20〜50代の正社員32,392人の調査)。

米国では13〜17歳の72%がAIを話し相手に使ったことがあり(2025年)、カリフォルニア州では子どもを守るための法律が2026年1月に施行されました。

変わった常識:若い社員や子どもが、上司や親に話す前にAIに相談しているかもしれません。

📍 当社でも起きています|社長の相談相手にもAIが入った

私自身、Claude(生成AI)にはマイクの音声で話しかけて相談しています。ただし、お客様からお預かりした資料や個人名を含むものは渡さないと決めています(社長がやること③)。

出典と注意を見る

出典:マイナビキャリアリサーチLab/Axios/TechCrunch

注意:49.6%は「生成AIを使ったことがある20代」の中での割合です。

AIで変わったこと|この1年の数字

📌 このセクションの要点17の変化を支えているのは、使う人と取り入れる組織の急増です。高校1年生・就活生・企業・市区町村のどれもが、この1年ほどで16〜28ポイント増えました。年代の差は大きく、15〜19歳の91.7%に対して60代は33.5%です。
58.8%
生成AIを使ったことがある人
(15〜69歳)
91.7%
15〜19歳
84.9%
就活生
(2027年卒)

図1:生成AIを使う人と、取り入れる組織は、この1年ほどで16〜28ポイント増えた

図1:生成AIを使う人・取り入れる組織の割合の変化(前回と最新)高校1年生59.9%から87.4%、就活生66.6%から84.9%、生成AIの活用方針がある企業49.7%から68.9%、生成AIを導入済みの市区町村(指定都市を除く)29.9%から45.6%。前回最新増えた幅(ポイント)高校1年生59.9%87.4%+27.5就活生66.6%84.9%+18.3企業(活用の方針あり)49.7%68.9%+19.2市区町村(導入済み)29.9%45.6%+15.7
出典:①総務省「青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査」2024・2025年度(高校1年生。「使ったことはない」以外の割合=100−40.1、100−12.6の計算値)/②マイナビ キャリアリサーチLab(就職活動でAIを使ったことがある学生。2026年卒・2027年卒)/③総務省『令和8年版 情報通信白書』図表Ⅰ-2-1-1(企業。「積極的に活用」か「領域を限定して活用」の方針がある割合。2024→2025年度)/④総務省「地方自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」(指定都市を除く市区町村の生成AI導入済み。2024年12月31日→2025年10月31日)
図1の元データ(数字の中身)を見る

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表7:生成AIを使う人・取り入れる組織の割合|前回と最新(図1の元データ)
対象数字の中身前回最新差
高校1年生生成AIを使ったことがある(計算値)59.9%87.4%+27.5
就活生就職活動でAIを使ったことがある66.6%84.9%+18.3
企業活用の方針がある(管理職以上が回答。回答の約7割が大企業で、中小企業だけだと58.1%)49.7%68.9%+19.2
市区町村生成AIを導入済み(指定都市を除く。2024年12月末→2025年10月末)29.9%45.6%+15.7

調査ごとに聞き方と対象が違うため、対象どうしの数字は比べず、それぞれの差を見てください。

図2:生成AIを使ったことがある人(年代別)|15〜19歳と60代で約2.7倍の差

図2:生成AIを使ったことがある人の割合(年代別・日本・15〜69歳)15〜19歳91.7%、20代78.2%、30代56.3%、40代49.0%、50代44.2%、60代33.5%、全体58.8%。15〜19歳91.7%20代78.2%30代56.3%40代49.0%50代44.2%60代33.5%全体58.8%
出典:総務省『令和8年版 情報通信白書』図表Ⅰ-1-1-7(2026年1〜2月調査・日本のn=1,236・15〜69歳。生成AIサービスを「使っている(過去使ったことがある)」の割合)

つまり、社長の世代と、社員・お客様・求職者の世代とで、AIの当たり前が違うということです。社長が「まだ早い」と思っている間に、若い社員やお客様の側では、もう昨日の常識が入れ替わっています。

中小企業の社長が、明日からやること3つ

📌 このセクションの要点ここからは本業の話です。17の変化のうち、会社にすぐ効くのは「確かめ方」「見え方」「使い方の決まり」の3つで、どれも費用をかけずに始められます。当社と支援先で実際に起きたことも、ここにまとめました。

1つでも当てはまったら、下の3つから始めてください

  • ☐ 振込先の変更や急ぎの支払いを、電話・メール・ビデオ会議だけで受けている
  • ☐ 自社の名前を、AIに聞いてみたことがない
  • ☐ 社員がAIに何を入れているか、把握していない

3つのやることは、表3の「誰が使うAIか」の3つに対応しています。

① お金の話は「かけ直し」で確かめる

第2部の1位と2位のとおり、顔や声も、自然な日本語のメールも、もう本人の証明になりません。振込先の変更や急ぎの支払いの話は、電話やビデオ会議の中で決めず、こちらから登録済みの番号にかけ直して確かめる。これを社内の決まりにしてください。ログインは、パスキーのような偽サイトに強い認証から始めるのがおすすめです。ホームページも同じで、PHPやWordPressが最新かどうかを、サーバー会社や制作会社任せにせず確かめる担当を決めておきましょう。

② AIに、自社がどう答えられているか確かめる

お客様も求職者も、会社を比べる前にAIの答えを読むようになりました。当社のサイトでも、Googleの検索結果のAI機能(AIによる概要など)に当社のページが表示された回数は、2026年5月18日〜9月18日で167,269回。直近28日は、その前の28日の1.9倍でした(Search Console。Google側の機能の広がりを含みます)。

📍 当社サイトのデータを見る|AIの答えに、当社の記事が使われ始めた(表と画像)

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表8:当社サイトで起きていること|AIが先に答える検索(当社調べ)
見たもの結果期間・条件
Googleの検索結果のAI機能(AIによる概要など)に、当社のページが表示された回数167,269回。直近28日(8/22〜9/18)は、その前の28日の1.9倍2026年5月18日〜9月18日(Search Consoleの「生成AI機能」レポート。この日から計測)。表示回数だけで、クリック数はこのレポートにない
AIからサイトへの訪問(GA4の参照元)2024年後半はほぼ0。2025年に立ち上がり、2026年に増加当社と支援先4社の計5サイトで同じ形(支援先の業種は伏せています)
「AIによる概要」の引用元「youtube バナー サイズ」の検索で、当社の記事が引用元に表示2026年8月22日・ログイン状態・1回の結果
GA4で見たytbs.jpのAI経由セッション推移。ChatGPT・Perplexity・Gemini経由の流入が2025年以降に増加している
当社サイトへのAI経由の訪問(GA4・参照元別の月次推移・2026年8月取得)。右端の月は途中までの値の可能性があります
Googleの「AIによる概要」が「youtube バナー サイズ」の検索結果でユーチューブビジネスサポートを引用元として表示している画面。2026年8月22日取得・ログイン状態・1回の結果
2026年8月22日・ログイン状態・1回の結果。AIの答えの引用元は、人や時期で入れ替わります

意外だったのは、AIの答えに多く表示されたのが、AIについて書いた記事ではなかったことです。いちばん多かったのは「YouTubeチャンネル登録はバレる?」、2番目は「YouTube登録者数は何人からすごい?」という、ふつうの実用記事でした。AIの答えの材料になるかどうかは、テーマよりも「質問への答えが具体的に書いてあるか」で決まる、と当社では考えています。

但し書き:計測の始まった週を起点にせず、28日どうしで比べています。AIからの訪問は、まだ当社サイトの主な入口ではありません。また、AIから来た訪問の一部は「どこから来たか」が記録されないため、GA4の数字は実際より少なく出ます。

では、AIは会社のことを正しく答えられるのか。当社は2026年8月27日に、愛知の中小企業20社について、GoogleのAIモードに同じ質問をしました。質問は「◯◯(会社名)の代表者はどんな経歴の人ですか?料金と納期の目安も教えてください」です。

図4:AIは、サイトに書いていないことを、他人の情報で答えていた(愛知の中小企業20社)

図4:愛知の中小企業20社について、AIが答えられた項目と、自社サイトに書いてあった項目の社数代表者の経歴をAIが答えられたのは4社、自社サイトに書いてあったのは0社。料金の目安はAIが1社、サイトは0社。納期の目安はAIが4社、サイトは1社。AIが答えられた自社サイトに書いてあった20社中経歴4社0社料金の目安1社0社納期の目安4社1社
当社調べ(2026年8月27日・Google AIモード・1回の結果)。「答えられた」の判定方法は、代表挨拶の書き方の記事の表3に書いています

AIが答えられたのは、経歴が4社、料金が1社、納期が4社だけでした。ところが各社のサイトを見ると、代表者個人の経歴を書いていた会社は0社、料金の目安も0社です。AIは、サイトに書いていないことを、求人サイトや業界紙など他人が書いた情報で答えていました。5社に1社は、別の会社として紹介されていました。当社自身も、Perplexityに「働く会社として」聞くと、職場の情報は限られていると答えられ、名前の似た別の会社の口コミが混ざりました。

Perplexityの回答画面。ユーチューブビジネスサポートを働く会社としてどうかと尋ねた結果、社員・元社員による職場評価は公開情報が限られていると回答され、名前の似た別会社の口コミが検索結果に混在していると注記されている。別会社名は黒塗り。2026年8月28日・未ログイン状態で実施
当社を名指しで尋ねた例(2026年8月28日・Perplexity・未ログイン・1回の結果。別会社名は黒塗り)
📍 求職者の場合を見る|会社選びもAIに聞いている(表と画像)

当社がPerplexityに、求職者と同じ聞き方で尋ねてみると、AIは次のような答えを返しました。

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表9:求職者と同じ聞き方でAIに尋ねた結果(2026年8月28日・Perplexity・未ログイン・1回)
聞いたことAIが根拠に挙げたもの会社側への意味
愛知県の建設業の中小企業の求人愛知県労働協会の中小企業100社の採用情報、求人サイト公的なリストや求人サイトに載っているかが効く
愛知県のドライバー職月給40〜50万円以上、賞与・昇給制度、免許の取得支援、職場見学働き方を「数字と制度」で書いている会社が、選ばれる理由つきで挙がる
Perplexityの回答画面。愛知県で建設業の中小企業の求人を尋ねた結果、愛知県労働協会「愛知で働く、という選択。」(中小企業100社の採用情報)と求人アット東海建築・スタンバイ・Indeedなどの求人サイトが根拠として挙げられている。2026年8月28日・未ログイン状態で実施
建設業の中小企業を尋ねた例
Perplexityの回答画面。愛知県のドライバー職で挙がった会社に、月給40〜50万円以上、賞与・昇給制度、中型・大型免許の取得支援、職場見学可能といった働き方の数字と制度が、選ばれる理由として添えられている。2026年8月28日・未ログイン状態で実施
ドライバー職を尋ねた例

但し書き:AIの答えは、聞く人・時期・聞き方で変わります。どれも1回の結果です。

まずは、お客様や求職者と同じ聞き方で、自社のことをAIに聞いてみてください。答えが足りなかったり違っていたりしたら、自社のサイトに、経歴・料金・納期・働き方のような事実を書くところからです。

③ 社員のAIの使い方を決める

第1部の2位のとおり、AIの利用は組織の脅威の3位になりました。一方、商工中金が取引先の中小企業に行った調査(2026年1月・有効回答3,892社)では、64.9%が「会社での導入は行っておらず、使用も個人の判断に任せている」と答えています。社員は使い始めているのに、会社としての決まりがない状態です。

出典:商工中金「中小企業の生成AIの利用にかかる調査(2026年1月調査)」(PDF)

📍 当社・支援先でも起きています|使う前に、2つだけ決める

当社の支援先でも、約15社のうち10社以上で生成AIの活用が進んでいます(2026年9月10日時点)。そこで支援先とは、使い方の相談より先に「学習の設定をオフにする」「お客様や社員の個人情報を入れない」の2つを最初に一緒に決めています。学習オフは「企業で使うなら絶対に設定しなければいけない事」とお伝えしています。当社自身も、お客様からお預かりした資料や個人名を含むもの、パスワードやAPIキーなどの「鍵」にあたるものは、生成AIに渡さないと決めています。

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📍 当社・支援先で起きたこと|小さな会社でも、AIで回せる仕事が増えた

当社では以前、動画の文字起こしを、人が動画を見ながら手で打っていて、4分の動画で約2時間かかっていました。担当も分けていました。今はAIで文字にして、人は社名や数字の間違いを確かめるだけで、1本5〜10分です。お客様に自動字幕を見せると「もう文字になっていたんですね」と驚かれる社長もいます。

図3:当社の動画の文字起こし|人が手を動かす時間

図3:当社の動画の文字起こしにかかる人の作業時間(以前と今)以前は4分の動画を人が見て手で文字起こしし約2時間かかっていた。今はAIで文字にして、人は社名や数字の確認だけで1本5〜10分。以前(手作業)約120分今(AI+人の確認)5〜10分(人の確認だけ)
当社の実測。以前は4分の動画で約2時間、今は1本あたり5〜10分(人が手を動かす時間)。2026年9月21日時点の手順。棒の長さは10分で描いています

支援先の株式会社伊勢通様(創業1919年)では、サイトとECの担当は役員1名、広告費は0円です。当社が2026年5月から支援し、6〜7月の約2か月、担当の役員の方が生成AI(Claude)に作業を任せながら、何を直すかを決めて毎週回しました。その結果、EC(ネット販売)の月商は2026年7月に前年同月比で約2.5倍、サイトの成約率(CVR=訪問のうち注文に至った割合)は3.81%から6.11%に上がりました。実装したのはお客様ご本人で、当社は助言の立場です。

この取り組みで、伊勢通様はITCA表彰2026の優秀賞(社内変革賞)を受賞しました(2026年10月13日発表)。ITCA表彰は、中小企業のIT活用とDXを支える専門家(経済産業省推進資格・ITコーディネータ)が、全国から投票して選ぶ表彰です。

但し書き:伊勢通様の数字は、季節要因を含む1社の実績です(2026年7月時点・同社の成果報告書)。同じ成果を保証するものではありません。

まず相談したい方へ

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60分のオンライン無料診断では、ホームページや集客のご相談に加えて、生成AIを社内でどう使うかのご相談も受けています。今のやり方を伺い、どこから始めるかを一緒に決めます。

※ ITコーディネータ・酒井大輔が対応します。

よくある質問(FAQ)

FAQAIの身近な例について、よくいただく質問にお答えします。
Q一番身近なAI(人工知能)は何ですか?+
スマホに入っているAIの機能です。顔認証、写真の自動補正、音声アシスタント、迷惑メールの振り分けなどにAIが使われています。2024年からは、検索結果にもAIの答えが出るようになりました。
Q身近なAIの活用例には、どんなものがありますか?+
スマホの音声アシスタント、通販の「おすすめ」、迷惑メールの振り分けのほか、コンビニの発注・値引き、道路の穴の点検、宅急便の荷物量の予測、税務署の調査先選びにも使われています。
QAIで変わったことは何ですか?+
「顔と声で本人だと分かる」「自然な日本語のメールなら安全」といった当たり前が通用しなくなりました。税務署や役所のように、知られないうちにAIが使われている仕事もあります。
Q生成AIのメリットとデメリットは何ですか?+
メリットは、人が時間をかけていた仕事を速く・安く・大量にこなせることです(病変の発見、通訳、点検など)。デメリットは、同じ力が偽物づくりや詐欺、攻撃にも使われることです。この記事では17の変化に「得する」「気をつける」の印を付けています。
QAIを使っていない会社にも関係がありますか?+
あります。この記事の17の変化のうち11個は、税務署・お店・詐欺をする側など、相手や社会が使っているAIによるものです。自分が使っていなくても、常識はもう変わっています。
Q「昨日の常識は今日の非常識」とは、どういう意味ですか?+
昨日まで正しかったやり方が、今日には通用しなくなるという意味です。生成AIが広がったことで、この入れ替わりがとても速くなっています。
Q中小企業は、まず何をすればいいですか?+
①お金の話は「かけ直して確かめる」を社内の決まりにする、②自社がAIにどう答えられているか確かめる、③社員のAIの使い方と、AIに入れてはいけない情報を決める、の3つからです。

まとめ

  • AIの身近な例は、スマホや買い物の中にすでにあり、その多くが昨日の常識を今日の非常識に変えています。
  • 理由は、AIが人の何か月分もの仕事を速く大量にこなすからです。その力は得する方向にも気をつける方向にも働き、PHPの欠陥の件では、見つける側も攻める側もAIを使いました。17個のうち11個は、自分がAIを使っていなくても起きている変化です。
  • 第1部(知られていない変化):税務署はAIで調査の相手を選び、都道府県と政令市はすべて生成AIを導入済み。IPAはAIの利用を組織の脅威の3位に挙げ、法務省は契約書のAIチェックの線引きを示しました。
  • 第2部(誰もが感じる変化):自然な日本語のメールも、顔と声も、写真も、もう本人や事実の証明になりません。
  • 15〜69歳の58.8%、15〜19歳の91.7%が生成AIを使ったことがあります。高校1年生から市区町村まで、この1年ほどで16〜28ポイント増えました。
  • 明日からは、①お金の話はかけ直して確かめる、②AIでの自社の見え方を確かめる、③AIの使い方を決める、の3つから始めてください。

この記事に入れなかった話

「AIで変わった」と書くと言い過ぎになるもの、根拠がまだ弱いものは外しました。たとえば、介護の見守りセンサー(中心はセンサーで、AIとは言えない)、119番の多言語対応(人の通訳者による電話通訳)、建設現場のICT施工(デジタル施工で、AIではない)、気象庁のAI予報(まだ計画の段階)です。点数が次点だったのは、損害保険の事故査定、体操の採点、検索のクリック、YouTubeの自動吹き替えでした。

※Claudeは、Anthropic社が提供する生成AIで、同社の商標です。当社は、同社の公認・提携先ではありません。当社の作業はClaude(Cowork)で行っています(2026年10月時点)。

▶ 執筆者・酒井大輔(中小企業の集客・採用をYouTubeとClaudeで解決するコンサルタント)のプロフィールを見る